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ここではないどこか 韓国ドラマの世界(せともも)

家にいます。とても小さな世界。
でも、ここは私がいるから存在している世界なんだ、と変な愛着を感じたり。
今回のことで、重い気持ちになるのは、
広いひろいと思っていた世界が、もうこんなにも狭くて、近いんだ。
ここではないどこか、なんてない。
ということに気がついてしまったからかもなあ、なんて思ったりします。

でも、知らない世界はまだまだあります。
映画、ドラマ、小説、漫画・・・
こんな時だからこそ、開いたことのなかった世界を覗いてみて、足を踏み入れてみたら、
もっともっと、世界は・・・考えているだけで
ここではないどこか、がまた広がっていきます。

おすすめの、ここではないどこか、韓国ドラマの世界。
脚本の勉強をしている頃、勧められて観始めたらすっかり夢中になりました。
キリがないので、私はミニシリーズと呼ばれるものに絞って観ています。
ミニといっても、1時間(しっかり60分以上)を週に2回、だいたい16〜20回を
2ヶ月間で放送しているもの。
連ドラが週に2日(月火ドラマ、水木ドラマと二日続けて放送されています)観れるというのは、ドラマ好きにはたまらない!
いつか韓国ドラマの脚本を書いてみたい。
いつか日韓のドラマは、どちらの国でも同時に観れるようになればいいなあと思います。


第一回
君の名前

韓国ドラマを観るようになって、最初カルチャーギャップが大きかったのが、
登場人物の名前です。
韓国は苗字が少なく、作品の中に、家族じゃなく同じ苗字が複数出てくるのも当たり前という世界なので、登場人物につける名前の意味や重さも、全然違うのだと思います。
欧米と違って見た目が近いだけに、その違和感に移入しずらかったのですが、慣れてくると、そこにすでに注入されているストーリーや設定の大きさに気づきました。
タイトルに名前が入っているものも多いです。
今回は、韓国ドラマを見るきっかけになる人も多い人気作の中から、名前が重要な鍵になっている作品を選んでみました。


私の名前はキムサムスン(2005)
 15年前の作品ですが、いまだにこれが一番!という人も多い、ラブストーリー。
 ラブストーリーは、主人公の持つコンプレックスが大きいほど移入できてカタルシスもあって面白いですが、このキムサムスンは、まさに溢れるほどのコンプレックスが、とてもありふれていて古い、自分の名前に集約されています。
 ピアノを弾く年下男を弾けない女が見つめるシーンは、『ロングバケーション』を思い起こします。御曹司、ハイスペックな男と、パッとしない年上女が反発しあっているうちに、という王道ストーリーですが、名前という変則的な、さらに年齢というコンプレックスまで加わって・・・苗字が少ないとはいえ、そこまで自分の名前を嫌がるヒロインがなかなか理解できなかったのですが、ついに改名するまでにいたった主人公を男が止めた時には、すっかりはまりこんでいました。日本にはない調味料の味を知った感じでしょうか。

美男〈イケメン〉ですね(2009)
 これも日本でリメイクされたほど、エポック的な作品です。
 女の子が、双子の兄のふりをして、アイドルになる。という物語。
 同居ものであり、当時流行った、男のふりをする女の子(絶対バレてはいけない!)の話。
 最初、タイトルにすごく違和感がありました。
 原題は「美男ですね」なのですが、美男は韓国語の読みだとミナムで、兄の名前です。
 兄のふりをする主人公に、「(本当に)ミナムですね?」と聞いているダブルミーニングのタイトルになっていて、韓国語を勉強してこれを知った時、わ!とすっきり感動しました。

主君の太陽(2013)
 「美男(イケメン)ですね」と同じ、ホン姉妹脚本の、ホラータッチのゴーストもの。
 韓国ドラマは、ゴーストものもすごく多いのですが、これはゴーストに好かれ、見えてしまうことで人生が一変してしまったヒロインが、触れるとゴーストが離れていく救世主のような相手に出会い、お互い自分のために側にいることになるが・・・ストーリーです。
ヒロインのあだ名がテヤン(太陽)で、救世主である相手のあだ名が主君、というタイトルになっています。さらに韓国語で、死んでいる人(ゴースト)の太陽、というヒロインの存在自体のタイトルでもあります。
 一話完結ものですが、観ていたとき、ヒット作を書き続けているホン姉妹、このあと書くのかな、と思うほど素晴らしい脚本だなと思いました。

まだまだたくさんあるのですが、今回はどれも(期間限定などで)無料で観られる作品から選んでみたので、もしよろしければこの機会にぜひ。
韓国ドラマは、脚本と音楽が素晴らしい。衣装、美術が豪華!撮影が大規模!と、結局全部見どころなので、新しい世界として一度覗いてみてほしいです。


次回は、
「心の闇(病み)という光」
精神疾患を扱った韓国ドラマ作品について書きたいと思います。


せともも
ラジオを中心に、脚本などを書いています。
韓国ドラマを、できるだけ、俳優以外の視点で紹介します。
http://www.setomomo.net
 

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