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短歌結社誌「かりん」2022年度掲載作品

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短歌結社「かりん(歌林の会)」に掲載していただいた作品です。 2022年2月に入会、4月号から2023年3月号までの掲載作です。
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記事一覧

『かりん』2022年4月号掲載作品

あたたかな場所を探したバラ園で花は光に首を伸ばして いつの日も空を映した海の色ほんとの青…

『かりん』2022年5月号掲載作品

恋してた時のメールを見つけ出し冷めた紅茶のぬくもり僅か 透明でかたいところが似ていると言…

『かりん』2022年6月号掲載作品

人生の何割くらいを片付けに充てているかと夜更けに思う いつの日もひとり暮らしは旅に似て出…

『かりん』2022年7月号掲載作品

目覚ましの音を変えた日よい夢のよいところから引き戻される * 坂下の美味しいパン屋の青い屋…

『かりん』2022年8月号掲載作品

戦争が無ければきっと出なかった岩波『世界』の臨時増刊 * 憧れる仕事を任せてしあわせは? …

『かりん』2022年9月号掲載作品

「人は皆、独立行動」そう言われ育ったわたしもひとりで暮らす 朝食のフレンチトースト甘すぎ…

『かりん』2022年10月号掲載作品

心臓の音を聞かせてほしくって寄り添う影となりたいきみの これからはもっと素敵なひとに逢う あなたのことは二番目になる 生きていて つい気がついて消えそうで くしゃみのようにメモした言葉 必要とされているかはわからない けれど心配する人はいる * 午前九時 魔女は昔のリケジョだと化学の棚で気づくタイトル ** 文と理は分けられそうでそうじゃなく私の身体で繋がっている *: かりん11月号「前月号作品鑑賞 Ⅲ欄」にて久山倫代氏のコメントをいただいた。 **: か

『かりん』2022年11月号掲載作品

友だちと眉間のしわを話題にすこの友情も三十年ごし 返本は書架と書架とのあいだ縫い知識のか…

『かりん』2022年12月号掲載作品

今はもう追いかけないな昔ほど熟して落ちる夢見る気持ち 轢かれても助かるような悪運が強いと…

『かりん』2023年1月号掲載作品

霜降りの垂れるフードを目で追って右手のなかの鉛筆まわす 墨色のアスファルト踏みかよう道 …

『かりん』2023年2月号掲載作品

指先の目まぐるしさが刻む時間 降りたつ駅を待つ人びとの ゆっくりと流れる午後に中国茶ちい…

『かりん』2023年3月号掲載作品*

カフェモカに淡くシナモン振りかけてひとくちめだけスプーンで掬う 誰ひとり取り残さない図書…