滋味礼讃 131 ほうれんそう
昔から大好きな野菜の一つだったのが『ほうれんそう』でした。
いつも母は茹でて切っただけのほうれん草を食卓にあげていました。その横には必ずマヨネーズと醤油。それが我が家の定番の食べ方でした。
それ以外の食べ方を知らなかったものですから、小学校の調理実習でソテーを作ったときに、新天地を見た気分になりました。
けれど、母に「作ってくれ」とは言えなかった自分がいます。子どもながら、母がいつも茹でて出すのには理由があるんじゃないかとか、いつもと違う方法を提案されたら面白くないかもしれないとか、気を遣ったんですね。
実際のところは、母はあまり料理が好きではなかったのでワンパターンだったのと、彼女自身が茹でたほうが好きだったからだと思いますが。
胡麻和えも美味しいですね。パスタに入っていると無性に嬉しくなります。
それに、なんといってもグラタン。とろんとしたホワイトソースの下から濃緑のほうれんそうが顔を出すと心が躍ります。ほうれんそうとチキンのグラタンには思い出があって、思い出すだけでしんみりします。
肉や魚との相性もいいですね。卵とも合いますから、オムレツにもいいですね。
今更ですが活躍の幅が広い野菜なんだなぁと思います。スープにしてもいいんですからねぇ。
どうも私は『ほうれんそう』といえば『ポパイ』なんですけれどね。今の若い人たちは『ポパイ』といえば漫画の主人公よりも雑誌の名前を思い浮かべるのかなぁ。それとも『ほうれんそう』は『報・連・相』なのかなぁ。でも、思い出すなら美味しいほうれんそうがいいですね。
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