百鬼夜行シリーズのスピンオフ作品「今昔百鬼拾遺」を読んだ。

 「今昔百鬼拾遺 鬼」「今昔百鬼拾遺 河童」「今昔百鬼拾遺 天狗」の3作品を読み終えた。
 百鬼夜行シリーズシリーズの主人公、中禅寺秋彦(京極堂)の妹中禅寺敦子が主人公である。理知的で慎重な性格。これと真逆な若い女学生として呉美由紀が登場する。女ふたりのバディものである。
 ふたりは休みの日に、子供屋という駄菓子屋で会うことが多い。副業的な探偵だ。
 話は比較的ライトで、枚数も京極夏彦にしては短い。入門用にいいのではないか。
 取り上げるお化け「鬼」「河童」「天狗」はあまり個性的なものではなく、範囲が広く、ぼんやりとしている。「河童」を読むと、そのあたりがよくわかる。地方によって河童の伝説や呼び方が異なり、無理に統一しようとすると「下品」という特性しか浮かんでこないのだ。
 「天狗」の場合は高慢である。最後のほうで、ほんとうに高慢としか言いようのないおじいさんが出てきて、ちょっと笑ってしまった。
 作者によると、「狸・狐・貂」とかまだ続編の構想があるみたいで、出てくることを期待している。

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