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ロシアの美少女と失恋の乗り越え方。

前回、荷物の中身の事を途中まで書いて、
続きを書きたかったのだけど、
今日まで怒涛のように過ごしてきて、
やっと睡眠時間と、文を書く時間を確保した所だ。

書きたい事は山ほどある。
残りの荷造りの話、
この1週間でのベトナムでの出来事、
あと、学芸員資格取得のための大学のレポート5つ。

泊まってるモデルズアパートメントには
二人ルームメイトがいて、
マレーシア人のジャニスとロシア人のアミナ。

二人とも美しい本当に性格が良くて、面倒見がよく、
最早私のベビーシッターをさせてるみたいで悪いが、

「お互い様でしょ。私たちはいつだって支えわなきゃ。」

と言ってくれる。優しすぎて泣きそうだ。

ってか一回色々あって泣いた(仕事では無い)

この二人がルームメイトじゃなかったらどうなってた事やら。

本当は今日の朝、フリーマーケットに3人で出かけようかと言っていたのだけど、
ジャニスが朝4時起きの撮影が入ったので来週にしようという事になった。

夜はチャイニーズフードでも食べに行こうかとなったけど、

昨日オーディションから帰ってきた私は、
自由時間だ…!と浮かれた。
うぅ…本が…読める!
角田光代さんのベトナムの旅行記も入ってる本を半分まで笑いながら読んだ。
アミナとロマコメの映画を笑いながら見た。
落語を聞いてるうちに昼寝をして、
夜中に起きた。

多分この文章を部屋で書いているうちにジャニスは撮影に行った。

今、私は、文章書きハイになっている。
もう手首痛い。
夜中だ。話し相手はパソコン。
文章はいつだって私の聞き上手な大親友だ。

書きたいと思った事を書き始めようとしたら、
結果、関係ない文が何本かできた。

とりあえず一つ目を。

一昨日くらいだろうか、撮影から帰ってきて、
シャワー浴びて、寝ようかと思っていたら、
アミナから「もう寝た?」とメールが来た。
部屋を出て隣の部屋を覗くと、
アミナが泣いた後の顔をしている。

なんともまぁ、失礼な話かもしれないが、
心配より先に、泣き顔の美しさにあっけにとられた。

マスカラがこう、映画みたいに頬に崩れても
綺麗な子って綺麗なんだなぁと思った。

はっと意識を戻して、「どうしたの?」ときくと、
元恋人にブロックされたという。
元恋人とはベトナムに来る直前、
2週間前に別れたけど、
ずっとメールでやりとりをしていて、
ついにSNS全てブロックされた、
お前のせいだと言われたという。

っかー!何が理由か知らないから、
勝手な事言うのもなんだが、
こんな綺麗な性格の良い子を手放すなんて気が知れない。

カップルの話は大体片方から聞いても情報は偏るから、あれだけど、
色々今までされきた事をきくと、まじかよ。
こんな素晴らしい子にそんな…と、

「そんな奴別れて正解だよ!」が
口から飛び出しそうになるが、
多分、彼女がききたいのはそんな言葉じゃない。

「他に良い男はいっぱいいるよ」とかも違う。

まだ19歳の彼女にはもっと必要な言葉があるはず。
伊達に30年苦虫を噛み潰してきたわけじゃない。
今ここで彼女を泣き止ませなきゃ女が廃る。

oh…とため息をついてから、隣に座って、
話をきいた。

「頭ではこんな悪い人、別れて正解だって分かってるんだけど、心が…良い思い出がね、恋しいの。」と言う。

oh…恋は盲目かぁ…こんな可愛くてよく笑う明るい子にこんな顔させるなんて…恋の神様がいたらこの状態を見て、こんなはずじゃなかったと頭を掻きむしったのちに、相手にグーパンしに行くだろう。私がロシアまでぶっ飛んでいってグーパンしてやりたい。アミナは望まないだろうからしないけど。

でも、とりあえず、この子の笑顔を取り戻そう。

「あのね、これは私の個人的な経験だけどね、多分、短くて三日以内、それか2、3週間、普通で3、4ヶ月後、長くても1、2年以内にまた連絡くると思うよ。」

「本当?」

「うん。私、元彼から連絡こなかった事無い。」

「でも、ブロックされちゃった…」

「うん。恋愛はね、フラれた方が得だと思うんだ。私は。

もうどうしようもないって、
最初にすごく悲しむのは、フラれた方。
だから、今、アミナはすっごく傷ついてるよね。
悲しいよね。
悲しんでいいんだよ。いくら泣いてもいい。
でもね、なんで悲しいかっていうと、
これで終わりって思うと悲しいでしょ。
一生会えないって思うと。
でもね、意外と会えるんだよ。生きてる限り。

それに会えなくてもね、これは私が高校の時に初恋に敗れて保健室で落ち込んでたら、保健室の先生が言ってくれた言葉なんだけどさ、

『今好きになってもらえなくても、大人になって、
もっと素敵になった時にまた出会ったら好きになってくれるかも。タイミングが違っただけよ。

運命の人なら必ずまた出会えるわ。

それにね、また出会えなければそれは運命の相手じゃなかっただけ。

他にもっと相性の合う、風ちゃんを愛してくれる、運命の人に出会う可能性を、今あなたは手にしたの。

そして、そうじゃなくても、大人になって素敵になった風ちゃんの目には、もうその好きだった人は魅力的に映らなくなってるかもよ。

もっと良い恋をしたり、もっと楽しい事をいっぱい知ってるはずだから。』

って言ってくれたの。

でさ、私その数年後に偶然ばったりその人に会ったの。

ファッションショーの後でさ、モデルやってる男友達二人と見にいってて。
ショーが終わって、トイレ行って、化粧も完璧に直して、服も髪も完璧で、廊下に出たの。男友達にお待たせって言ったら、その横にいて。

目があったら面食らった顔してたのよ。

私達が学生の頃、彼は先輩で、とてもお洒落でね、
私は、まだまだ普通の15歳で。

「住む世界が違う」って言われてフラれたの。
それでも好きでね、頑張って、お洒落した。
いっぱい綺麗になって、
彼の世界に近づこうとしたの。

でも、やっぱり彼女にはあの頃なれなかった。

で、久しぶりに会った彼は、
なんというか、普通だった。
びっくりした顔した男の子だった。

あんなに好きだったのにね。

「お久しぶりです」って声かけたら
「あ、うん、お久しぶりです。」ってなんか、
ぼやけてるのよ。

ピンヒール履いて、完璧に綺麗な私と、その両脇に180cm以上のハンサムがいるんだもんね。

「あ、そのうち、お茶でもしましょう」って言ってくれた。
「ぜひ!」って言って、手を振って、

もうそれから会ってないよ。

あなたもきっとそうなる。

だって、あなたは綺麗だもの。
性格良いもの。モデルよ。かっこいいもの。
もっとかっこよくなれるよ。」

「本当に?」
「本当。信じて。」

「でもなんで、フラれた方が得なの?」

「ブロックされたら、
こちらからは手も足も出ないじゃない?
最初は痛いほど悲しくても、
具体的な対策がもう出来ないのよ。

相手の事で頭がいっぱいで、
どうしよう、
なんて言おう、
なんて返事しよう、
どうしたら仲直りできるかな、
でもこれは許せないし、
直して欲しいけど、
直んないのは分かってるし、
どう伝えよう?
悲しい。
なんで?
どうしたらいいの?

こんな事が、考えても、手も足も出なきゃ、
考えても無駄だなって思ってくる。

そうすると、最初に「悲しい」が残る。
「良い思い出」も。
で。良い思い出は、ノートかなんかに書いておくと、
手帳と一緒で、次の予定は〜って考えなくても、
「読めば思い出すから、忘れていいよ。しまっておいていい。」
って脳みそがなるよ。

そうしてくると、脳にスペースが生まれる。
相手の事ばかりじゃなくて、空いたスペースに、

仕事とか生活とか、趣味とか、好きな事、友達や家族、美味しい食べ物、綺麗なもの、可愛いもの、初めて見る世界、自分自身、目標、夢、スケジュール、自分磨き。

自分が幸せになる事が最大の復讐だって気づいて、

幸せになる頃には相手をほとんど考えなくなってる。

だって、楽しい事で忙しいんだもの。」

「そっか。そうかも。そうなる?」
「そうなるよ。でも今は無理にそうなろうとしなくていいよ。」

「でも、どうして、連絡が来るってわかるの?」

「だって、手も足も出るんですもの。
次の対策で頭いっぱいよ。
大体は、少し経てば、罪悪感が湧いてきたり、
やっぱり恋しく思ったり、次の恋人の不満が出てきたりすると
「やっぱり、あの子の方が良かったな。」って思い始めると、
「元気?」みたいな、なんか、こう、「あー」って思わせる連絡が来るのよ。

また私の話になっちゃって、ごめんなんだけど、

すっごく素敵な人とね、初デート行ってた時に、
ボートに乗ってて、天気も良くて、花も綺麗で、最高!って思ってたら

「元気?」ってメールが来たの。
すぐさっとスワイプして消して、通知オフにした。

彼がね、「連絡大丈夫?」って聞いてくれたけど
「ううん、大丈夫!クーポンのお知らせだった。」って答えた。」

「あはははは」

「アミナもそうなるよ。」

「彼は後悔するかな?」

「するよ!

前に元彼に会ったらさ、今カノの愚痴を言うの。

まず、今カノいるなら会いにきたらダメだし、
あんまそんなん元カノに言うもんじゃないし、
意見したくなっても、
元カノの私からは何も言えないって言ったら、

友達の相談だと思って答えてくれっていうの。

じゃあ、言わせてもらいますけど。
誰と付き合ってもいい。どんな人でも。
ただ、私より良い女と付き合いなさい。
私より綺麗で、私より賢く、
私より優しくて、私より懐が広くて、
私より経験豊富な、私より会話が合う、
金銭感覚がちゃんとしてて、
あなたの金をせびらない、
そして、一番は、あなたの存在を肯定し、
あなたの活動を邪魔せず、支え、応援してくれる。
それを私より出来る人と付き合いなさい。

って言ったら、今まで笑ってたのにね、
顔が真っ青になったの。

で、「無理だ…」って呟いたの。

今気づいたんかいって思ったけど。

それですっきりしちゃった。
勝利!って思って。
今カノにじゃないよ。

過去に悲しんでる自分に
「ほら!良い女だって、認めさせたぞ!試合終了!勝ったぞ!もう泣きやめ!長かったなぁお疲れ!」って感じ。

「無理じゃないよ。
君、良い人だもん。かっこいいし。
私は、あなたの才能に惚れ込んでたの。
他にもいるよ。
ただ、私より良い女を探すのは難しいかもだけどね!
へん!
でも、見つかるよ。君なら。」

って言ったら、そのあと彼女と別れちゃって、
ほぼストーカーみたいになっちゃったけど。

ちょっと、良心が咎めましたけど。まぁ、あの、ね。はい。

アミナの彼も絶対そうなるよ。
だってアミナ、良い女だもん。
もっと良い女になっていくもん。」

「本当?」
「本当。本気で言ってる。」

「彼、私が良い女だって気づくかな?」

「気づくよ。もし気づかなきゃ大馬鹿者だし、
大馬鹿者として人生を過ごすよ。ああ可哀想!」

アミナは私の拙い英語をワーオと笑いながら聞いてくれた。

「まだ悲しいだろうけど、大丈夫?」
「うん、笑ったらちょっと元気出た。」
「無理しないでね、良く寝てね、おやすみ」
「ありがとう、おやすみ」

泣いた後でもアミナの笑顔は綺麗だった。

それで次の日の朝。

「彼から連絡が来た!風花が言った通りだ!」
「あははははは思ったより早かったねぇ」

こりゃまだまだかかりそうだな。はは。
そりゃそうか、こんな素晴らしい子、簡単に手放すわけないか。

最後に友達が教えてくれた
面白い失恋を乗り越える考え方を紹介しよう。

「悲しかったんだけどね。
たださ、色々思い返してみるとさ。
すっごいあの人、香ばしいなって。
私も香ばしかったんだけど、

それはたまに夜中に毛布かぶってあーってなるけど。
一旦棚に上げておいて。

でね、香ばしいなって思うと、
言動がダサいなって思うと、
ああ、私はこの人の香ばしさから離れられたけど、
あの人、
一生香ばしい自分と生きていくのかもしれない。
って思うと、可哀想。って思ったの。可哀想な人。」

これを聞いた時、爆笑してしまった。
なんて良い考え方なんだろう。

さようなら、そして、ありがとう。
私の愛おしかった、香ばしい人達。

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