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夜な夜な東京ラブストーリーに怒り狂っている

 今週からAmazonプライムで『東京ラブストーリー』を拝見している。気持ちは全く穏やかでない。
 とにかく主人公全員に本気でイラついている。みんな嫌いだ。けれど、6話までみている。仕方なく、毎日観ている。胸糞が悪すぎるドラマなのに、毎日観ないと眠れない。

 まず、主人公のカンチ。あいつは一回目の前で正座させてピンヒールの先っぽで何度も太ももを踏みつけながら「テメェ!!!!!」と全力で説教しないと万事に至る全てが分からないんだろうし、残念ながらそんなことをしても分からないだろう。私がどれだけ痛めつけても、私がそのピンヒールのせいでバランスを崩してよろけてしまったら、怯えながら「……大丈夫……ですか?」と聞いてくるような、猛烈にバカで鈍くて目が離せない男だ。そんな男だと分かっているから、私も彼が泣くほど痛がるまでは、ピンヒールを刺せない。刺させないのだ、天然の出立で。本気でムカつく。のに愛おしい。

 一番ムカつくのは、関口。頭が普通に狂っている。そもそも高校のときの仲良し3人組は、2人の男が関口を好きだからこそ成り立ってた関係だというのに、そこをまず完全に見て見ぬ振り。怖い。2人の優しさをそもそもの人間性として捉えていて、カンチも三上くんも大切でとっても良いお友達、でも三上くんは……三上くんだけは何だか……みたいなスタンス何? 2人の下心ありきの好意を、本物の美しい善意だと思い込んでいるところが全力で恐ろしい。ああいう女がこの世で最も男とその周りの女たちを滅ぼす。魂まで殺す。必殺技は、料理だ。自分をかつて好きだと言ってくれた男とその彼女に平然と手料理を振る舞う……鬼か? 
 そもそも、そんな地獄に彼女を誘うカンチもカンチだ。お前は自分の彼女がかつて青春時代の全てを注いだ男、しかも彼女が全力で片想いしていた男が物凄いカッコいいポジションで出るサッカーの試合を彼女と観に行くか?しかも、めちゃくちゃ彼のプレーがよく見える席に招待までしてくれてる。何があっても行きたくないだろう。カンチと関口には、本気でハラワタが煮え繰り返る。リカの気持ちを考えろ。と言いたいところだが、このリカがキテレツすぎて全く手に負えない。

 リカはこの中で一番ムカつかないけど、ぶっ飛びすぎて同情できない。なのに、時々ちゃんと乙女なので「そうだそうだ」と激しく共感する。登場人物のなかで唯一共感できる人物だ。が、しかし。その共感も束の間、目を離した隙に「なんでそんなことする?」と頭にハテナが100個くらい浮かぶ奇行に走るので、寄り添えない。けれど4人の中で一番まともだと思う。

 最後に三上くん。ほら、こんなに怒りに打ち震えているというのに、「くん」付け。もう女をメロメロにさせるのが彼の仕事。とにかく根っからのクズ。ドクズ。最低極まりない。余裕で浮気する、彼女の入院中も女と食事にでかける、挙句他の女に邪険に扱われたら彼女を乱暴に抱く。極悪非道、地獄に落ちるべき男、絶対に許せない、絶対こんな男と付き合いたくない、のに、三上くんが、好きだ。そもそもイケメン。しかも顔だけじゃなく、お金持ち、お育ち200点満点、将来は医者、高身長、学生にしてマンションと車を所有、グルメ、かっこいい。クズで当たり前、むしろ国宝。こんな男は国内生産量ぶっちぎり第一位のメンヘラ製造機なので、本来であればこんな男はこの世から滅びるべきではある。が、イケメンなので仕方ない。生きて私たちの目の保養となってもらわねばならない。
 何度女を泣かせても、一視聴者として「最低だな」と一度は女に同情しても最終的には「仕方ないよな」とこの最低男の肩を持ってしまうような、なぜかこの男は同情を誘う猛烈な哀愁を漂わせており、それがそもそものフェイスの整い具合も相まって爆裂な色気を生み出しているのだ。 

 こんな具合の4人の恋愛ドラマ。見ていられないほど、見事にすれ違う。登場人物の個性が嫌な方向に強すぎるが故、必然的に物語もこじれる。みんな頼むから器用にやってくれよ、と呆れ返ってしまうほどだ。そろそろ韓国ドラマばりの胸キュンと壮大な感動があってもいい頃なのに、とにかく予兆がない。男と女の嫌なところをでかでかとクローズアップしすぎているおかげでリアル過ぎるため、ドラマを観ていると私がもう1人の保育園の先生みたいなスタンスになって勝手に怒っている。もう、続きが気になって仕方がない。

 ここで大切なことは、私がまだ東京ラブストーリーを6話までしかみていないということだ。現時点ではとにかく怒りながら、毎晩欠かさずに観ているが、7話以降、この怒りはピタリと静まるかもしれない。まだ分からない。とにかく、今は東京ラブストーリーに怒り狂いながら、困り果てながら、毎晩見る他ない。
 東京ラブストーリー、今の夜の楽しみだ。早く7話が観たい。早く明日の夜に、なってほしい。

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