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【前編】BLと女性オタク向けコンテンツの相関関係 BL実写ドラマ爆発期に突入!

BLとアニメ、ドラマ、ソーシャルゲーム、同人即売会の10年を比較してトレンドを探り、さらにそのトレンドを踏まえて今後の展開を考えていこうと思います。
前編となる今回は「BLとコミック・ドラマの10年史」について考えてみました。

まずは2023年、どんなニュースがBL界隈を賑わせていたのか振り返ってみましょう。

2023年のBL視点ニュースランキング

世はまさにBL実写化戦国時代!2023年は特にコミック原作のメディアミックスに注目が集まる1年となっていました。
『美しい彼』のシーズン2から始まり、『4月の東京は…』『みなと商事コインランドリー』『体感予報』などなどBLアワード受賞作品の実写ドラマ化が続出!

ここ10年の日本BLドラマ(映画)の制作数

グラフにしてみると改めてその凄さが分かるのですが、2022年と比較して2023年はBLドラマ・映画が約3倍の製作本数となっていました。
思い返してみれば、多い時には週に3本のBLドラマが放送されていたシーズンもあったような…。BLウォッチャーの方にとっては嬉しい悲鳴をあげる日々だったのでは?

ここ10年のタイBLドラマ(映画)の制作数

2020年からの韓国BLドラマ(映画)の制作数

さらにBLコンテンツの制作が盛んなタイ、韓国でも2020年からBLドラマの制作本数が急増しています。

腐女子が熱狂したドラマ・映画10年史

実写ドラマは2016年まで男性2人の強い絆を描いたバディ物が多く描かれ、大人気でした。
一方で2018年以降は、ダイレクトに男性同士の恋愛・関係性を描いたドラマが多く制作されている傾向にあります。
しかし制作数急増後も日本のBLドラマヒット数は1~2本とそれまでと大きくは変わらず、ヒット率が極端に悪化している結果に。

腐女子マーケティング研究所では、特にメガヒットとなった『おっさんずラブ』『チェリまほ』『美しい彼』の人気となった要素が研究されず、ただ量産されるだけのBLドラマが増えてしまっていることを懸念しています。

BL原作作品はこれまで数多く実写化されてきた少女漫画原作作品と似ている部分はあるものの、ファンが求める核心部分は異なっています。
そうであるにもかかわらず、そのことに気がつかない上層部がこれまでと同様な作品の作り方をしてしまう…。
BLに嗜みがあるマネジメント層が現場に入って制作しないと、ファンが求める作品像との乖離は免れません。
せっかく盛り上がっている実写ドラマの需要が停滞しないように、何とかこの流れを断ち切ってほしいところです。

…少し暗い雰囲気になってしまいましたが、気を取り直して商業BLの出版数と10年間のトレンドを見てみましょう!

ここ10年間のBLコミックスの出版タイトル数と反響の高かった商業BL

出版タイトル数の推移を見てみると、2013年から2023年までの10年間でBLコミックスの市場がおよそ2.5倍の大幅拡大!
特に電子媒体のみでの出版点数の伸びが凄まじく、2016年に転換期を迎えたことが分かりますね。

さらにBLアワード受賞作品を中心に、現在も第一線で活躍されていらっしゃる作家さんたちの作品をまとめてみました。
こうして見ると、「あの作品が発売してからもう〇年!?」と驚いてしまうかもしれません(笑)

2016年までの闇の時代、2020年代は光の時代

暗いニュースが毎日のように報道され、不安や喪失感などに苛まれることも多い昨今。そんな世の中の動向がBLにも反映され、平穏や癒やしをテーマにノンストレスで読み進められる作品が求められるようになりました。

心が引き裂かれそうになる大きな葛藤やすれ違い、息をのむほどのドラマチックな展開は何だか疲れてしまう……そんな意見もちらほら耳にします。
身近にありそうな設定とささいな日常が描かれていて、安心してハッピーに読める内容の作品がここ数年のトレンドとなっているようです。

同じハッピー展開でも、ドキドキラブコメ展開が多いタイBLドラマとは真逆の方向性かも?
また、『夜画帳』をはじめとする韓国webtoon作品群は、攻めのキャラクターなどに不満ストレスを感じながら読み進めるケースが多くなっています。物語後半でその不快さが解消され一気に気分が晴れるという、苛つきから愛への相転移が体験できる作品が人気となっている傾向から、日本の商業BL独自の特徴と言えそうです。

いかがでしたでしょうか?
後編となる次回は「BLとアニメ・ソシャゲ・同人誌の10年史」をテーマに書いていこうと思います。お楽しみに!


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