器用貧乏のキャリアは、向こうからやってくる。

「◯◯をやりたい!」「この専門性を極める」

なんて、自分の向かう方向を宣言して歩いている人は本当にすごいと思う。

一方で僕自身、「これができる!」「この道を極めたい」と腹から声を出して言えることは持ち合わせていない。

器用貧乏タイプの人にとって、「自分はこの方向で生きていく」と決めきることができないもやもやを感じている人もいるんじゃないでしょうか?(そんな人とはぜひ一緒に話したい...!)

突き抜けた「何か」を持ち合わせていないことに焦燥感は無いーーとは言い切れないのですが。一方で、その場その時の状況に合わせて「今、何が必要か」を考え、自分を変化させて価値提供することに努めてきた(つもりです)。

環境を観察し、何が必要かを見出し、自分を変化させて価値提供する。そんな変化と「適応力」は器用貧乏な人にとっての武器になるんじゃないかなと思うんです。

そして適応力が活きるのは、やることが多く複混乱していて、何が正解かわからない曖昧さがある環境。スタートアップやベンチャー、あるいは第二第三創業期にあるカオスでファジーな環境でこそ、力を発揮できる。

そんな環境でひたすら「目の前のこと」に打ち込んでいるうちに、「キャリア」は向こうからやってきてくれる。

環境に合わせて、変わり続ける

事業を前にすすめるためとあれば、営業、広報、企画、システム保守、イベント運営、研修講師、総務的なお仕事、なんでもやりましたし、やっています。

営業の仕事をしながら執筆編集した記事が布石になり、全国放送に取り上げていただいたり。(棚ぼたでもありますが、数撃ちゃあたるということで!)とにかく必要とされることに打ち込むことで、自分の出来ることも広がり、役に立てる瞬間も少しずつ増えてきました。


適応力を辞書で引くと、こう書いてあります。

適応力:環境に従って行動や考え方をうまく切り替える能力

Aの手法がダメなら手放し、Bを学習して試す。

例えば、コロナ禍で「対面営業」が多くの業界で制限されました。すぐさまオンライン体制に移行できた会社もあれば、未だに社内会議すらオンライン化できていない会社もたくさんあるはずです。

これまでの対面営業に慣れている人にとっては、プレゼンに入る前の雑談、間の取り方も変わる上に、「ちょっと近くまで来たので」とアポ無し訪問もできません。

対面とオンライン営業とでは行動や考え方も変わります。

「対面営業」が封じ込められた以上、何かしらの「代替手段」を取る必要があるんですが、過去の成功体験や慣習を捨てられず、変わりたくても「変われない」人や会社はたくさんあります。(みなさんの会社はどうですか?)

コロナのようにこれまでの前提がガラッと変わるタイミングでは、とにかくトライアンドエラーを早く繰り返し、他者から素直に学ぶこと。そして、積み上げた成功体験を捨てる潔さがあるかどうか。

環境が変わるとき、いち早く環境に合わせて行動や考え方を切り替える「適応力」は大きな武器になります。

「キャリア」は、向こうからやってくる

それから、「大手からベンチャーへ転職」のような大きく環境が変化するとき。

事業の成長過程では、営業やマーケティング、経理といった「担当業務」をスルスル通り抜ける業務が山ほどでてきます。

例えば、
・メディア取材時の同行対応
・メンバーや部署間の軋轢を察知し調整する
・社長が「誰かやっておいて」といった仕事
・誰宛でもない「担当者さま」宛のメールへの返信対応

もっと小さいことで言えば、
・玄関の電球が切れた
・傘立ての傘が置きっぱなし
・会議室のマーカーペンの補充 … などなど。

明確に「◯◯さんの担当」とは言えない仕事が日々モリモリ発生しては、行き場もなく職場の中を転がっています

誰もが忙しいのに、あえて拾いにくいく人はあまりいません。ただ、この「こぼれ球」とも言えるスキマを抜け落ちる仕事こそ、器用貧乏が活きるチャンス。(だと僕は思ってます)

・みんなが嫌がる「問い合わせ対応」をやり続けたお陰で、新しく生まれる「カスタマーサクセス」の立ち上げ責任者としての話が舞い込んだり

・社長の「誰かやっといて」をやり続けたことで社長から「実は...」と組織運営に関する悩みごと相談が舞い込み、人事の仕事をするようになったり

・忙しいから自分がやるかと引き受けたメディア対応で担当記者さんからPRに関する知見を得たり

こぼれ球を向き合い続ける先に、自分も予想ダしていなかった偶発的な出来事が生まれやすくなると思うんです。

たくさんの目の前の仕事、目の前の人、目の前の機会に向き合うこと。そうすることで、キャリアは向こうからやってくるんだと

忙しくてカオスで曖昧な環境の中、こぼれ球に向き合い続けることで磨かれる武器、そして気づいたらつくられている「キャリア」があると思います。

必要なときに、必要な場所にいる 

こぼれ球に向き合い続けることで「キャリア」が向こうからやってくると書いたけど、自分の人生を流れに任せるようで少し頼りなさも感じてた。

ただ、キャリアや人生設計について、日本初のネット生保創業者であり、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長として働く出口 治明さんは記事の中でこんなことを言っていました。勇気づけられたので、最後に紹介します。

運と適応と言っていますけど、必要なときに、必要な場所にいて、なおかつ適応力がある人。その中で、サル山のボスがしっかりしていればその集団は生き残る。

(中略)

同様に人生は100年もあるのだから、それほど当てにならない詳細な設計図を描くより、自分の能力をわきまえた上で川の流れに身を任せて流れていく方がはるかに豊かな人生だと思うのです。「運も実力のうち」「運を引き寄せる」などという人もいますが、そんなことができるわけがありません。新型コロナウイルスの蔓延を考えれば、運や偶然を人間が左右できると思うのは実に傲慢な考え方であることがわかるでしょう。

(太字は著者によるもの)
出口治明が語った、コロナ時代には「人生設計より適応力が重要」なワケ

よければ記事リンク先も読んでみてくださいー!

いただいたサポートは書籍の購入代に充てさせていただきます!