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「大丈夫、誰も死なないから」 というお守り。自分の“働く”は、誰かと働いた経験でできている。

働きはじめて11年。最近感じるのは、自分が働くに向かう姿勢は、20代のうちに誰かと働いた経験でつくられている、ということ。

仕事で活かされる知識や技術は、本や仕事そのものを通じて学ぶということもあるけど、自分のスタンスというのか、「こりゃ困ったな」「どうしてこんな理不尽な要求を?」なんて難しい局面で「どうする?どう切り抜ける?」というとき、過去の経験や言葉がひょっこり顔を出して、自分を助けてくれる。

大丈夫、誰も死なないから。

以前働いていた職場に、ゴリゴリのIT企業から転職してきた人がいました。とても仕事ができる人。だけど愛嬌満載で、オカンみたいなやさしい空気をつくってくれる人。

ぼくがいたチームは、だいたい定時の18時には帰宅できる環境でした。楽というわけではなく、時間内にとても効率よく仕事をする風土で、毎日濃密な8時間を過ごしてた。

あるときから複数プロジェクトが重なったりして、平穏が一転。毎日が慌ただしく、チームもちょっと殺伐とした雰囲気になった。

こういうときは、アクシデントがつきものなのか。。。

ぼく自身の対応ミスでお客様からお叱りを受けたり、理不尽な依頼をしてくる人があらわれたり、急に仕事が上手くいかなくなった。気持ちも落ち込んでしまい、自分もチームもちょっと暗い状態になっていました。

そうやってチームの雰囲気が悪くなるとき、彼女は決まって言う言葉がありました。

「大丈夫。誰も死なないから」

と。

「誰がこんなことしたんだよ」「絶対に間に合わないでしょ...」と場の空気が落ち込んでいるとき、まるで自分にも言い聞かせるよう、明るく、笑顔で、繰り返し繰り返し言っていました。

そんなこと言ったって、納期は伸びないし、ミスした事実は消えない。でもなんでだろう、その人が言うと何だか「大丈夫だな」という気がしてくる。

上手くいかないループにはまったとき、不安や焦りや怒りや悲しさによって、目の前のことに集中できなくなる。あいつが悪い、自分のせいじゃないと、余計な雑念で目の前のことが見えなくなります。

そんなとき、「大丈夫。誰も死なないから」の言葉に、肩の力が抜けて、感情が落ち着いて、今、やるべきこと・出来ることがくっきりと浮かび上がってくる

ギャハハと笑いながら取り組んでいくと、解決の道筋が見えてきたり、思わぬ協力者があらわれたり。事実、なんとかなった

彼女はおせっかいに色んなことに首を突っ込むものだから、いつも大変そうだった。けど、彼女のまわりはいつも楽しい雰囲気に包まれていました。

働いていれば、「ああ、やべえ」「なんでこうなるかなあ...」って、自分の影響が及ばない範囲でどうしようもない事ってある。うんざりすることも、自分の不甲斐なさに悔しくなることもあります。

そんな苦しいとき、ひょっこりと思い出す。

「大丈夫、誰も死なないから」という言葉を思い出しては、なんだ、まだまだやれることはあるじゃないか。大丈夫大丈夫。という気持ちになってきます。(人によっては、生死を分けるシビアなシーンもあると思います。ただぼくにとってこの言葉は、心を落ち着かせるお守りみたいになっています)

ユーザーにとって何がいいの?

それから。ぼくは「食えたら一緒でしょ」タイプで、けっこう雑なところがあります。

新卒時代は会社名に「半角スペース」が2箇所も入っていた。よく「全角スペース」で書いていて、訂正させられていました。

自分の名前だとこんな感じ。

半角:藤吉 航介
全角:藤吉 航介

読めれば一緒じゃん、と思ってました。(そう思いません??)

これまた以前働いていた職場で、プロジェクトの広報原稿を作成したとき。原稿が真っ赤になって返ってきたことがあった。「まあ、何ということ...」というほど、ぼくの言葉の原型は残っていませんでした

例えば、これはほんの一部のことなのだけど、

引用符(“”)の向きとか、
漢字とひらがなの使い分けとか、
単語一つ一つの選び方とか。

とにかく徹底的に、「この文章を読んで、受け手はどう感じるか?どう思うか?」を考えて、言葉を生み出していました。

読めれば一緒じゃんと思っていたぼくは、「そこまでやる??」と疑問でしかなかった。細部にこだわれば当然、時間もかかるから。

ただ、その文章が世の中に出たあとの反応を見て、神は細部に宿るとはこういうことか、と気づかされたんですね。

なんだろう、書くというよりも、ほんとうに気持ちを込めて一文字一文字を生み出していました。ぼくが書いた文章が「情報として過不足なく伝わる文章」だとすれば、手直し後は「誰か一人の心を大きく揺さぶる文章」になり、実際にその文章を受け取った人からの反響は大きかった

今でも企画を考えたり、文章を書くとき。

「ユーザーはどう思う?ユーザーにとって何がいいの?」

という言葉がふっと浮かんでは、「わ、いま形だけ整えようとしてた」と気づかせてくれます。

誰かと働いた経験が、自分の働く(への姿勢)をつくる

働きはじめて11年。自分の働くへ向かう姿勢は、たくさんの人と働いた経験でつくられている。「困ったなあ」「ここが勝負どき!」というときに、ひょっこりと顔を出して助けてくれる。

ぼくも30代。
自分はまわりに返せているかな?と思う。
だからたまには、良いことも言いたい。

うんちと悩みは溜め込みすぎず、ガンガン出していこう!


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