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日常を学びに変える振り返りの3層構造と1つの心がけ

今年は数社、オンラインや対面による新入社員研修をご一緒させていただきました。

入社間もなくオンライン環境で出社・研修を受けるというハードモードな環境ですけど、適応力と学習力がほんとにすごいです。

何より驚くのは、その日報のボリュームでした。A4一枚ほどの枠にビッシリと、何ができて、できなくて、明日はどうするか。どんな発見があって、何を考えて、これからどうしたいか。読む側が圧倒され疲れてしまうくらい書かれているんですね。

「あ〜そこまで日々の振り返りできてなかったな…」と思わされたわけです。

日報を読みながら「教えるあなた自身がちゃんと振り返りできてますか?」と言われてる気持ちになりました。

そこで今日は、自分自身にまなざしを向けて、日々の経験を学びに変えるために実践している3つのルーティンと1つの心がけについて書くことで、自戒を込めようと思います。(みなさんの「振り返り」についても聞いてみたいです!)

言い訳がうまくなった

振り返りときくと、日報をイメージする人も多いと思います。

ちなみにぼくは、日報ってやつが苦痛で苦痛で、嫌いなことの一つでした。

新卒で入社した会社では、営業をしていました。

営業スタイルはなかなか、泥臭くてですね。(もちろん、事前にアポイントを取ってスマートに営業している先輩もいました。ぼくにそれだけのお客さんとの関係値と能力が無かった、という話です)

あるお客さんと会うために、いつ通るかもわからない中、大きな施設の廊下に立ち続ける日もありました。

1日に8~10件のお客さんと商談すると目標が決まっていたので、それをもとに訪問計画を立てるわけですが、「お客さんと会えない日」もあれば、会えたとしても「成約につながらない」こともある。何の成果も得られずに営業所へ戻る日も少なくはありませんでした。

そんなの日の日報が、辛くて辛くてですね。

何か書かないといけないんですが、何の成果も手がかりも無い中で書くことと言えば、「なぜ成果がなかったか」「自分がいかに頑張ったか」という言い訳を交えながらもっともらしく作文することぐらいでした。

いま振り返ると、このときの日報は「会社への実績報告」のためで、「自分の学びや成長」との関係は全く見えていませんでした。(「それっぽい文章がかける力」は、この時身についたと思います)

自分のための振り返り

次の職場では、1日の売上や訪問件数目標はありませんでした。日報はノルマを達成するための実績報告ではなく、自分自身のスケジュール管理やチームメンバーへの体調の共有、日々の仕事から気づきを得るためのもので、「仕事の生産性をあげる」ことが目的でした。

そうやって「自分のため」に振り返りをするようになってから、1日の出来ごとすべてが学びになるような感覚がありました。(すべてとは、流石に言い過ぎたかも)

理不尽な要求をするお客さんの一言も、時間通りに到着しない電車も、「ぐああああああああ....」と落ち込んでしまう経験一つ一つが、学びになっていく感じです。

ある人が「誰よりも、振り返りができるチームであろう」と言っていました。

「誰よりも売上をあげよう」とか「誰よりも早く昇進しよう」など、どんな言葉に心が動くか、動機づけられるかは違うと思います。

僕は、誰よりも目の前の出来ごとから学んで、結果として成果を出そう、というその人の姿勢にとても共感しました。

振り返りと一言でいっても、行うタイミングや切り取る時間軸、潜る深さによって得られるものは変わってきます。

ここでは、「何をした」「できた」「できなかった」の振り返りを「タスク」、「自分はどう振る舞ったか」「どう考えたか」「何を感じたか」の振り返りを「プロセス」に分けて整理してみます。 

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(目に見える出来ごとを「タスク」、目に見えづらい行動パターンや感情を「プロセス」とした場合のイメージ)

1日、1週間は「出来ごと」を振り返る

タスク:プロセス=8:2
タイミング:1日の振り返り(寝る前)、1週間の振り返り(日曜日の夜)

1日や1週間は、その日、その週に「何があったか」「何をやったか」「できたか・できなかったか」「次はどうするか」。そうやって、「出来ごと」を中心に振り返りをしています。

1日の振り返りはタスク管理、1週間の振り返りは、どんな経験からどんな学びがあったか?を整理するイメージです。

だいたい、毎日寝る前の5分ストレッチと日曜日の夜に時間を取ってやっています。(最近は、あまりしっかりと時間が取れてないんですが..)

1週間の振り返りは、ノートを開いて、出来ごと、印象に残っていること、上手く応えられなかったこと、頭にもやもやと残っているキーワードを書き出します。

「一芸を磨く以外に”自分の活躍できる場所を見つける”方法はないのかな?」とか「”やりたいことがないんです”と言っても、僕もないんだけどな」とか。誰かと話して感じたこと、消化不良な言葉をとにかく吐き出します

このときの内容の一部は、構成を整えてnoteに書くようにしています。

1ヶ月、四半期は「行動パターン」を振り返る

タスク:プロセス=5:5
タイミング:月末か月初の平日午前中(2−3時間)

1ヶ月や四半期は、「出来ごと」に加えて、「自分の振る舞いはどうだったか」「何を考えて行動・発言していたか」。もう少し深く潜って、「出来ごと」と「プロセス」が半々ぐらいのイメージでやっています。

このときは「KPT」といった振り返りのフレームワークを使います。

「K:よかったこと、維持したいこと」「P:悪かったこと、やってみてできなかったこと」「T:次に挑戦したいこと」。

振り返りは、極端に「いいことばかり」か「悪いことばかり」に関心が向いてしまいがちなので、僕の場合は3つの枠組みがあることで冷静に状況を見つめることができます。

「やるべきこと」に埋め尽くされている日常の中では、非効率な進め方に気づかないまま続けていたり、自分がやるべきことではないことに必死になってしまっていることがあって。

この振り返りで色々と思いつくこと、気づくことがあって、「こんなテーマでプロジェクトをやりたいな」「この仕事は仕組み化してチームでやる体制にしたいな」「来期の予算のためにあれをやろう」とか。

未来に必要なことや、自分自身が「やりたい」と思えることと向き合う時間になっています。

1年は「感情や価値観」を振り返る

タスク:プロセス=2:8
タイミング:年末に半日〜数日単位

最後は「1年」の振り返り。1年の中で「何があったか」からはじまり、「そのとき何を考えていたか」「何を感じていたか」「自分は何を大事にしていきたいか」とか、ぐっと潜って深いところの「価値観」なんかを中心に振り返りをしています。

自分一人では気づけ無いことも多いので、チームメンバーから「どう見えているか」のフィードバックをもらうことも。

なんというか、「自分の枠組み」を観るような時間です。

良くも悪くも自分自身は、これまでの経験から「判断の軸」や「どう振る舞うか」はつくられていて。「AときたらB」「BときたらC」みたいに、その枠組の中で動くと早くて効率的なのだけど、それだと解けない問題や出来ることの限界が見えてきてしまうんですね。

「自分がやったほうが早い」と考えて、ずっと仕事や責任を手放さずにメンバーが育たないのは、その典型かもしれません。

「出来る人がいない」と考えがちだけど、相手側よりも自分側の考え方に問題があることが多くあって。

それを邪魔しているのは、「自分だって認められたい」とか「あの人には言われたくない」とか、そんな恥ずかしい自分の中の子どもな部分だったりします。

1年の振り返りは、見栄やプライドやポジションという鎧を脱いで、一人の人間として向き合うみたいなイメージでしょうか。(たいした体ではないですが、どうぞどうぞ好きなだけ見てやってくださいよ、みたいな)

こうやって、振り返りの「深さ」を変えることで、日々の経験の中から学ぶことができています。(と信じたい)

「なに?」で問いかけてみる

振り返りが苦手ですという人は、自分を必要以上に追い詰めてしまっていないでしょうか。

「なぜ、できなかったんだろう?」「なぜ、自分はこうなんだろう?」と自分に問いかけては、できない理由や自分の特性ばかりに関心が向かい、具体的な解決策が浮かびづらいです。

そんなときは、なぜ(Why)ではなく、なに(What)の形で自分に問いかけてみてはどうでしょうか。「なぜ」と「なに」、たった1文字の小さな心がけですが。

例えば、大事なプレゼンで緊張のあまりうまく話せなかったとき。

「何が、自分をそうさせているんだろう?」「何があると、できるようになるだろう?」と問いかけてみると、

『メンバー内では上手く話せるのに、知らない人たちの前で自分は緊張してしまう。知らない人という環境が、自分を緊張させているんだろうか。相手の反応が気になって、話すことに集中できないのかも。だったらプレゼン前に、参加する人と雑談をして、相手の人となりを知ってからプレゼンするようにしたらどうだろうか』

と、状況を冷静に観ることができて、自分以外の環境要因を変えることにも目が向けられ、解決への糸口が見つかりやすくなると思います。

さっき食卓で「お父さん、あとは脳ミソが腐っていくだけだね」と6歳の娘に言われました。最近、忘れ物が多いからかな。強烈なツッコミでした。

お父さんは、大事なこともくだらないことも大切にしたいので、今日から改めて振り返りをしていこうと思います。

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