給付金がなくて3年も休んでいられないから、育休は3年もいらない?
当時の安倍首相が「3年間抱っこし放題での職場復帰」を成長戦略のひとつとして掲げたのは2013年4月。
今のところ、育休3年にはなっていません。
育休は3年もいらないということで収まってしまったのでしょうか。
今回の記事では、育休は3年もいらないとの主張について考えてみました。
全6回
第1回「実際に3年も取得できない」
第2回「3年も取るとスキルを失う」
第3回「女性の活躍支援につながりにくい」
第4回「給付金がなくて3年も休んでいられない」←今回はここ
第5回「保育園に預ける方が、子どもの能力を発達させる」
第6回「産後3年間のことしか検討されていない」
「給付金がなくて3年も休んでいられない」
日本のように雇用が流動的でない社会では、育休後の雇用保障は大切なことです。
育休3年取っても雇用が保障される。
でも、2年目からは給付金がないから、3年も休んでられない。
確かに、その通りです。
たとえ育休2年目からの給付金がなくても、育休3年を選択できる権利があれば、今より育休3年を選択する人が増えます。
今より育休3年を選択する人が増えれば、保育園利用者が減ります。
結果、待機児童や保育士不足問題の解決が進みます。
でも、待機児童や保育士不足問題解決への効果は限定的だと予想できます。
パートナーの収入だけで生活できる世帯という現実
育休3年を選択できるのは、給付金が支給されない2年目からの期間をパートナーの収入だけで生活できる場合です。
たとえ2年目以降に50%の給付金が継続したとしても、こちらの記事で触れたようにボーナス分は考慮されませんから、実際には育休前の50%の収入が得られるわけではありません。
育休3年が制度化され給付金が給付されたとしても、育休3年を選択する人はそれほど多くなさそうです。
多くの方々は育休1年で切り上げ、育児短時間勤務でとなりそうです。
勤務8時間のうち6時間の育短となれば、給与の75%の収入が得られます。
週あたりの労働日5日のうち3日の育短ならば、60%の収入です。
世帯収入を考えれば、育休3年より2年目からは育短が現実的です。
やはり、収入が心配だから3年も休んでいられないとの主張はもっともなことに思えます。
経済的に恵まれない世帯では制度が利用できない
育児に関係する制度が整えられたとしても、給付金がないため、経済的に恵まれない世帯ではその制度が利用できないのでは、健全な社会とは言えません。
そもそも所得や収入は経済の問題です。
経済政策がうまく機能せず、多くの国民にとって将来設計のしづらい日本社会。
消費を拡大し収入を増加させるため方法に関しては、専門家のなかでも様々な考え方があるようです。
経済政策がうまく機能し、国民の所得が増えれば、自治体の税収や雇用保険の掛け金を増やすことができます。
増えた税収で保育園を増やすのではなく、自治体の増収の一部を育児休業給付金の補助として支出する。(←詳細はこちらの記事)
育休3年になっても、2年目からは給付金がなく、収入が心配であることは確かです。
育休3年を誰にとっても利用しやすい制度にするためには、3年間の給付金が必須条件なのかもしれません。