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【児童虐待と男性育休】なぜ、実母がわが子を虐待するのか

男性育休が広まれば、児童虐待を減らすことができるか?
前回の記事で、虐待死事件の加害者の約55%は実母であることをお伝えしました。
なぜ、実母が加害者となってしまうのでしょうか。
実母は、どのような動機で虐待をしてしまうのでしょうか。

3歳未満の虐待死によく見られる3つの動機

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社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会(2020)「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第16次報告)」で加害の動機を調べてみました。

3歳以上の加害の動機では、「しつけのつもり」が最も多くなっています。

3歳未満では、「保護を怠ったことによる死亡」、「子どもの存在の拒否・否定」、「泣きやまないことにいらだったため」が多くなっています。

3歳未満の事例で、これら3つの加害の動機について、細かく見てみようと思います。

実母が加害者で、動機が「泣きやまないことにいらだったため」である事例は、ほとんど見られません。

「子どもの存在の拒否・否定」は、0日目の赤ちゃんの虐待死の事例で多く見られたり、実母と実父または義父などの複数が加害者となる場合でも見られたりします。

「子どもの存在の拒否・否定」は、実母が加害者である事例によく見られるとは言い難い様子です。

消去法的ですが、「保護を怠ったことによる死亡」が、実母が加害者となる3歳未満の事件で最も多い動機だと言えそうです。

実母に多い動機は「保護を怠ったことによる死亡」

PwCコンサルティング合同会社「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等に関する調査研究事業報告書」では、0日目の虐待死と1日目から1歳未満の虐待死の特徴が調べられています。

この報告書によると、加害の動機である「保護を怠ったことによる死亡」は、0日目と1日目から1歳未満の虐待死との間に有意な差があったとされています。

1日目から1歳未満の虐待死において、実母の年齢で最も多いのが「20 歳以上 25 歳未満」(20.7%)でした。

「25 歳以上 30 歳未満」(20.1%)、「35 歳以上 40 歳未満」(18.3%)と続き、「40 歳以上」は 3.0%でした。

これらの状況から、1日目から1歳未満の赤ちゃんの虐待死は、20歳代の実母による「保護を怠ったことによる死亡」が動機になることが多いと考えられます。

0カ月の虐待死では30代実母が約67%

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なお、「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第16次報告)」では、0カ月の赤ちゃんの虐待死で、30~34歳と35~39歳の実母が約67%を占めていました。

0カ月の赤ちゃんの虐待死にも、何か別の特徴がありそうですが、調べた資料には、詳細は記述されていませんでした。

次の資料から推察してみました。

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まず、心中以外の虐待死における精神疾患がある実母の年齢層。

「30歳から34歳」と「35歳~39歳」を合わせて約56%。

続いて、心中以外の虐待死における精神疾患がある実母の年齢層。

「30歳から34歳」と「35歳~39歳」を合わせて約33%。

他の年齢層に比べ、30歳代の実母には精神疾患がある事例が多いようです。

資料の見方としては決して正しいとは言えませんが、精神疾患がひとつの要因となり、虐待死事件を起こしたのかもしれません。

想像すると、0カ月の赤ちゃんの虐待死には、仕事でキャリアを積んできた30歳代の実母が、出産後の数週間に起きた急激な生活の変化に戸惑い、精神的に追い込まれ事件を起こす特徴があるのかもしれません。

「保護を怠ったことによる死亡」を減らすには

保護を怠った。

怠ると言われると、子育て中の親にはとても厳しい言葉です。

子育ての実態の多くは、母親によるワンオペ育児。

多くの家庭では、1人で育児を担う、ワンオペ育児よりも、2人で支え合った方が、保護を怠ってしまう状況が減ることは確かだと思います。

今後も、児童虐待について、もう少し考えていきたいと思います。



3/6回
【児童虐待と男性育休】
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