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男性育休が広まったら、雇用保険が破綻する?

育休中には、給付金が給付されます。
財源は、雇用保険です。
もし、男性育休が広まったら、雇用保険の財源はどうなるのでしょうか。

育児休業給付金の財源

育児休業給付の財源は、労使折半している雇用保険料と国庫です。

財源の8分の1が国庫で賄われているそうです。

給与明細を見ると、毎月、天引きされている雇用保険料。

4/1000が育児休業給付金の財源となっています。

雇用保険には、4種類の給付があります。

そのうちのひとつが、雇用継続給付。

雇用継続給付のなかに、育児休業給付があります。

育児休業給付の支給状況が下の表(第145回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会「資料2-1育児休業給付」)です。

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給付総額も確実に増加しています。

6000億円に迫る勢いです。

女性受給者数の増加と給付期間の長期化が主な要因だと思われます。

ここ数年で、男性受給者が増加し、2年で2倍のペースで男性受給者数が増加しているようです。

男性の給付期間は3カ月程度と、女性の11~12カ月に比べ短くなっています。

したがって、男性受給者の増加に比例し、給付総額が増加していることはありません。

男性への給付総額は、男女合わせた給付総額の2~3%程度と少なく、影響も少ないと捉えられます。

今後、男性受給者がさらに増加し、給付期間も長期化すれば、男性育休が給付総額を増加させる要因になることも考えられます。

育児休業給付の財源が独立

雇用保険と聞くと、育児休業給付よりも失業給付のイメージです。

給与から天引きされる雇用保険料で、失業給付も育児休業給付も賄われています。

景気により給付が変動する失業給付。

男性育休が広まることで増加が予想される育児休業給付。

性質の異なるこれらの給付の増加が重なると、雇用保険の財源が確保できなくなりそうです。

そこで、育児休業給付金の財源を、他の給付の財源から独立させることになりました。

令和2年3月、今後の失業給付と育児休業給付の安定を目的に雇用保険法が改正、4月に施行されています。

この改正で、育児休業給付を保険料率(1,000分の4)を設定し、経理を明確化、育児休業給付資金を創設しました。

失業給付については、これまで以上に、景気の動向に応じて判定できるよう算定方法を見直し、保険料率を決定できるようになりました。

育児休業給付資金の創設により、育児休業給付のために徴収された雇用保険料は、他の給付のために使われることなく、次年度以降に繰り越されるということになります。

政府目標では、男性育児休業取得率を2025年までに30%としています。

今後、目標の30%まで受給者が増加した場合を想定し、保険料率が1000分の4と設定されたようです。

男性育休30%で2週間ならば、雇用保険は破綻しない

令和2年の雇用保険法の改正により、育児休業給付を独立させ、今後の受給者の増加を想定した保険料を徴収することになりました。

この改正により、政府目標の30%まで男性育休が広まったとしても、雇用保険が破綻することはなくなりました。

でも、そんな単純な話なのでしょうか。

制度改正の財政影響等(育児休業給付費)」(職業安定分科会雇用保険部会)を見て、もっと複雑かもと感じました。

この資料には、男性育休の「休業日数は平均2週間程度と仮定」と書かれているのです。

先ほどの育児休業給付の支給状況の表では、男性の育児休業給付の給付期間は平均で約3カ月となっていました。

今後、増加するであろう男性育休は、現状の平均3カ月よりも短いものが多くなると思われます。

でも、平均2週間程度の仮定よりもかなり長くなれば、雇用保険が破綻するおそれは残っています。

2025年、男性育休取得率が30%、その期間が2週間程度になったとしても、雇用保険がすぐに破綻することはありません。

女性と同じように、男性の約80%がほぼ1年の育休を取得する。

ホントに男性育休が広まった社会になったら・・・

逆に言えば、男性が女性と同じぐらい育児に関わるようになるためには、育児休業給付金の財源が、今の約2倍必要になるということになります。

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