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ヒアリングで相手の本音を引き出すには?:デザイン思考実践レシピ#05

お悩み:
普段お客様にヒアリングする際、事前に準備したヒアリングシートに沿って質問していますがどうも物足りません。デザイン思考で本質的な課題、あるべき姿に着目するために、建前の裏にある「本音」を引き出したいのですが、どんな聴き方をすればいいでしょうか。

富士通の社内サイトの人気コーナー、ノンデザイナーのお悩みにデザイナーがお答えする「デザイン思考実践レシピ」シリーズをnoteをお読みのみなさんにもご紹介します。

★10秒でわかるこの記事のポイント★

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回答:

​​​​​​​こんにちは、デザインセンターのアリです。

「自分は相手の本音を引き出せていない」という気づき、それだけ相手に興味があり理解したいということですから、デザイン思考の第一歩だと思います。
​​​​​​​​​​​​​​本音を引き出す聴き方にはいくつかポイントがあります。順を追ってご説明します。​​​​​​​


ラポール(信頼関係)の構築

まずは相手に「この人には何を話しても大丈夫だ」と安心していただくことが大事です。
ヒアリングの最初の数分間を使って、今回のヒアリングの主旨、得られた情報の使用範囲を明確に伝え、録音・録画の許可を取ります。自分が何者か自己開示」するのも信頼関係には欠かせません。また、とりあえず何を話してもいい、もし話したくないことがあれば無理に話さなくてもいい、と相手に寄り添う態度を示しましょう。
​​​​​​​自分の味方に対しては、安心してのびのびと話せますよね。


クローズクエスチョン、オープンクエスチョンを組み合わせる

Yes/Noで答えられる質問がクローズクエスチョン、相手に叙述を求める質問がオープンクエスチョンです
例えば、「最近旅行しましたか」はクローズクエスチョン、「旅行に行った時のことをなるべく詳しく教えてください」はオープンクエスチョンです。
​​​​​​​Yes/Noで答えられる質問の方が相手にとって楽ですが、クローズクエスチョンだけで話題を深堀りするのは困難です。
最近旅行に行ったことがわかったら、次はオープンクエスチョンでその時のことを相手の言葉で話してもらうことで、思いもよらなかったエピソードや、旅に対する価値観などを語っていただけることがあります。

クローズクエスチョンとオープンクエスチョンの効果を考えて、組み合わせて使いましょう


わからないことは素直に聴く(師匠に弟子入りするつもりで)

もし相手に気持ちよく話してもらいたければ、あなたが業界に詳しかったとしても、「詳しく教えてください」の姿勢で聴きましょう。口で説明するのが得意でない師匠に弟子入りするような気持ちで、少しでもわからない言葉があれば「〇〇とは何ですか、教えていただけませんか」と聞いてください。
​​​​​​​相手の〇〇が、自分が合点している〇〇と同じだと思いこむのは危険です。
「話の腰を折るようで質問しにくい」と遠慮する方がいらっしゃいますが、自分の話に耳を傾け、適切に問いをはさんで聞いてもらうことは気持ちがよいものです。決して失礼にはなりません。

師匠に弟子入りするつもりで、わからないことは素直に聴く


フレームワークなどで可視化して

相手の話を聴きながら、仕事のプロセスは時系列に、業務の人間関係は相関図を作っていくと、まんべんなく聴きだすことができます。対面であれば、一緒にペンをもって相手にも手を動かしていただきましょう。手を動かすなど作業しながらだと、話がすらすら出てきやすいものです。オンラインでは画面共有しながら「この役割をするのはどなたですか」など聴きながら記入していけば一緒に作業している気分になれます。​​​​


場をコントロールして脱線から戻す

「相手が饒舌で時間がなくなり、聴きたかったことが聞けなかった」というケース、たまに聞きます。相手に寄り添って、気持ちよく話してもらうのは大原則ですが、自分の100%を相手のペースに合わせては、ヒアリングの目的を達成できません。
相手に寄り添って傾聴している自分が7割、全体を俯瞰して内容や時間配分を管理している自分が3割いる感覚がちょうどいいと思います。「盛り上がっているけど残り時間が少ないな」と気になったら、「とても興味深い話ですが、目的の〇〇についてもう少し伺ってもよろしいでしょうか」と軌道修正しましょう。
​​​​​​​最初の「ラポール構築」でヒアリングの主旨を伝えているので、軌道修正は失礼になりません。

「寄り添う自分」で傾聴し、「冷静に俯瞰する自分」で場をコントロールしましょう


妄想を投げかけて本音を引き出す​​​​​​​

相手の口が重くてなかなか話してくれない、話そうとしているけど思い出せずにフリーズしてしまっているときには、あなたの妄想を相手に投げかけてみましょう。
妄想って何?お客様に投げていいの?と不安になったあなた、ヒアリングする前に相手の会社や業界のことを下調べしますね。そのとき「この会社はあのビジネスをしたらいいのでは」「あの技術を生かしたら」など思いつきをめぐらせていませんか。そのときの思い付きを、相手が話せなくなった時に投げかけるのです。
​​​​​​​大抵は的外れです。ですが、「うちはそんなビジネスできる会社じゃないよ。だってね・・・」と、外れているからこそ会話がまた動き出します


最後のひと絞り

聴きたいことは全部聴けた!と思ったら、ヒアリングで伺ったこと全体を簡潔に振返って共有し、「他に言い残したことはありませんか」「最後にこれだけは言っておきたいということは?」と聞いてみましょう。この最後のひと絞りで結構いい話が聴けます。「本筋と関係ないと思って言わなかったんだけどね」「話しながら思い出したんだけどね」と、最後の最後に本質に迫る話を聴けることが少なくないです。最後のひと絞り、忘れずに聞いてください。


ヒアリング上達は実践あるのみ

ヒアリングは実践で磨かれます。最初から上手にできなくても当たり前です。
​​​​​​​社内など失敗してもいい相手で練習する場合にも、自分のヒアリングしている録音を聴いて振返り、何が良かったか、良くなかったか反省することで、限られたヒアリング機会を最大限活用し上達することができます。

失敗を恐れずまずは実践してください!


デザイン思考実践レシピをまとめ読み!


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