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夏至のチコリのマイクロノベル 他3篇 #93

 夏至の日、菜園に設置された銀の鏡。その鏡に反射した陽の光にきっかりと照らされた一輪のチコリの花。その花を摘んで菜園の石門にぴたり嵌まったなら、畑は突然ひび割れて裏返り、あなたを地下世界へと導くだろう。

 梅雨時、ここらに巨大なエノキタケが生えてくる。それを刈って巨大鍋で煮て味付けし、巨大な瓶に詰めて罠を仕掛けておく。すると、瓶詰めが食べたくて巨人が出てくるので、奴らを狩って食べる。手がかかるが美味い。

 梅雨入りしただろう、もう今年のドングリの数は決まってるんだよ。ほら、これが貴重な三つ子のドングリの一つ。ありかは教えないけどね。これを秋まで大事に大きくして成らせれば、三つの願いごとをかなえてくれる。

 すずかけの木の実の予約が、もうはじまっている。今年は、不作でとても高値になっているという。でも、この実の鈴を鳴らさないと、橋を通してもらえないからね。間もなくおとずれるという世界の終わりのそのときに。

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