「終末時計」のマイクロノベル 他3篇 #35
あー、ここの終末時計ね。歴史は繰り返すというか、人間にはそういうところあるみたいでね。悪いけど、もう12時過ぎちゃったんだわ。また、一からやり直してもらえるかな。今度は、もうちょっと勉強してきてな。
配線は複雑に分岐し、それでも不具合はなく、遠く発電所から鉄塔を経てきた電気を配り、家の灯りをつけ、炬燵をあたため、テレビを映し、電子レンジをチンとする。そんな絡まったような電線に、わたしはなりたい。
あ、せめてもう一回くらいはリサイクルされたかったなぁ。もし叶うなら、もう一度オロナミンCの瓶になって、元気ハツラツを満たして、必要とする人のもとへ届ける瓶になりたい。
水面に映りし横顔が目を開き、「うわん」と叫んで立ち上がり、街を壊さんとするとき、「うわん」と言い返せばたちどころにそれは消え失せ、何もなかったかのごとく、静けさが戻ったという。「角川武蔵野縁起」より
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