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【自己紹介】プロボクサー、藤田裕崇の半生

藤田裕崇(ふじたやすたか)です。


僕自身について少しお話します。

●生い立ち


三兄妹の長男として生まれました。

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小学校時代は絵を描いていた記憶しかないです。
ちなみに絵は今も得意です。

「ボクシング以外にスポーツはやってたの?」と質問があったのですが、友人の影響で8歳から野球をやっていました。

しかしデッドボールが怖くなり中学でチームを抜けました。またそのくらいの頃から家庭の事情で父と2人暮らしをはじめます。

父とはうまくいかず、毎日のように衝突しました。その反動でたくさん遊ぶようになります。塾をサボる、深夜徘徊…中途半端な少年期を送りました。

そうして1年がたつ頃、いよいよ耐えられなくなって母の暮らす愛知への家出を決心します。1枚の手紙をリビングに残し東京を去りました。

やはり家族なので切なかったです。
そこから5年間、父とは音信不通になりました。

(父と再会して腕相撲をする話はまたの機会に)


●きっかけ

全てが新しくなった家族(母、妹)との時間は楽しかったです。

しかし今度は学校でうまくいかなくなります。

新たな中学は少し荒れていて、いわゆるヤンキー笑がスクールカーストのトップでした。タバコ、飲酒、暴走行為が横行していて、なかなか馴染めません。

中2の秋。

放課後クラスの中心人物に「遊ぼう」と声をかけられます。友達に飢えていた私は、帰宅するなり大急ぎで準備して集合場所へ向かいます。母の「楽しんでね」という優しい顔をよく覚えています。

そして集合場所につくや否やボコボコにされました。笑

理由は「特にない」でした。
(思春期真っ盛りですから、意外とあるあるかもしれません)

これがアニメなら鷹村さんが来て、ボクシングジムに連れて行ってくれるのですが。

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その日は1人で家に帰りました。

生ぬるい生活をしていた自分には悲しい出来事でした。母親は多分気付いてましたが気を遣って深くは聞いてきませんでした。

●変化

そこから波風を立てないことだけを考える、全然楽しくない期間を過ごします。

また順位がつくものや肩書きに敏感になりました。くだらないのは頭ではわかっていましたが、この国の人たちは肩書きが大好きなのも事実で、「結果さえ出せば周りは認めてくれる」そう思って勉強や受験に全てをかけました。大学に入るまでの6年間やり続けました。

そして早稲田に合格した時のこと。
人生で最も努力しました。家族は大喜びでしたし、学校では友人や先生までチヤホヤしてくれました。


しかし心の底から喜べないと言うのが本音でした。


自分を守るためにやっていた努力は所詮ここまでということを実感しました。

「本音で生きなきゃ、何が幸せで何が不幸せかさえもわからない」

そう思いました。


●ボクシングの世界へ

自分が心の底から求めているものは何か?

その問いの答えが『ボクサー』でした。

誰にも言えずにいましたが、本当は小さい頃からずっと憧れていました。


今日までいろんなインタビューでボクシングを始めた理由を説明してきましたが、正直本当の答えはわからないです。


思い返せば、幼い頃野球一筋だった父の目を盗んでスポーツセンターの角にあるサンドバッグを叩いたりしていました。

それが自分の本音とは知らず、結局20年も遠回りしてしまった。

ただ、早稲田大学のボクシング部に入部を決めた時、自信がありました。


「やりたくもない努力でここまで来たんだから、やりたい努力ならきっと高みへいける」


そう思ったからです。

あの日から今日まで、本当にあっという間。

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山あり谷ありのボクサー人生ですが、ボクシングのない生活は考えられません。

そしてボクシングを通して私が確信したことがあるとすれば、努力は形を変えて生き続けるということ。無駄だと思った6年間。しかし目標に向かって頑張った経験は、僕に素晴らしい出会いや考え方をもたらしてくれました。

遅すぎると思ったボクサーとしての人生。エリートがボクシングをしている間、僕はひたすら頭を使っていました。だからこそ、彼らの知らないやり方で勝負ができるんじゃないかと思ったりもします。

●これから

目先の目標は日本ランキングに名を連ねること。もちろん最終着地は頂点に立つことですが、国内(というよりジム内)にも世界クラスの選手はいます。しっかり揉まれて強くなります。

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今や検索すれば世界一の男を見ることもできます。テイラー、ラミレス、クロフォード…どんな人生を歩めばそんなに強くなれるんだろう。僕は彼らとは違います。きっとこれからも遠回りをします。

今の自分にできることは、無駄な頑張りなどないと信じて、前だけを見続けることだと思っています。


●さいごに

ここまで僕の半生をざっくりお話しました。

今、僕は充実した毎日を過ごしています。ひとつだけ後ろめたさがあるとすれば、最愛の母です。

ボクシングは身体を削り合う競技です。
僕の試合を見る時は誰かに支えられないと立っていられないそうです。

だから僕なりの筋を通すために、ボクシングで得たファイトマネーは実家に送っています。綺麗事やカッコつけと言われればそれまでですが。

たぶん、会社で働いているのもそれが理由かもしれません。


ということで心も体も元気なうちは、わがまま貫かせてもらいます。

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