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研げば研ぐほど切れなくなる理由

最初に答えを言っておきます。
それはあなたが
『研ぎ方を間違えているから』

1.研ぐことの素晴らしさ

冒頭一言、『あなたが研ぎ方を間違えているから』

一見トゲのある言葉ですが仕方ありません。
事実です。受け入れましょう。

そしてこの記事では研ぐ時の「コツの紹介」や「正しいやり方」などの"How to"を書くつもりは全くございません。
(気になる方は記事の最後に関連リンクを載せておきます。)

ではこの記事は何が目的なのでしょうか?

それは
『間違えた研ぎ方から紐解く研ぐことの素晴らしさ』
を伝えるためです。

刃物はメンテナンスしてこそ刃物である。
さもなくば少し鋭利な鈍器にすぎない。

この状況から脱却するには"研ぐ"という行為が必要不可欠であり、最大の壁になっています。

苦い思い出も向き合うことでしか成長はありませんよね?

これから一緒に研ぎ方を間違えてしまった原因を考えていきましょう!

2.なぜ間違えたのか?

その前に一つ断っておきたい。

刃物研ぎで間違えたことのある人は、一度も研いだことのない人より刃物を大切にしてくれている人であり、素晴らしい人です。

刃物の作り手としてこんなに嬉しいことはありません。
本当にありがとうございます。

そんな挑戦者たちの刃物を研ぐキッカケは何だったのでしょうか?

・大切な刃物だったから。
・身近な人が研いでいたから。

様々なキッカケがあると思いますが、共通するのは「使いたかったから」ではないでしょうか。
では肝心な研ぎ方はどこで教わったのでしょうか?

・身近な人に教わった。
・インターネットや本などで自分で調べた。
・なんとなくやってみた。

こちらも様々なストーリーがあると思います。
しかし

『プロに教わった』

方は極わずかではないでしょうか?

「そんなのプロに教わらなくてもできるよ。うちのおばあちゃんも研いでたし。」

では次の質問はいかがでしょう。

『あなたは刃物から教わりましたか?』

この質問にyesで答えられる人は刃物研ぎで失敗なんてしません。

そう。刃物研ぎで間違える最大の理由はプロに教わってない事でもなく、

『刃物から何も教わっていない』

からなのです。

3.刃物は完全なる構造物である。

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刃物を研ぐ共通の理由として"使いたい"という思いがあることは先にも述べましたね。

使うということは道具であり、機能が必ずあります。
刃物は「切る」という機能ですね。

つまり、切れる仕組みがあるのです。

一見形は綺麗でも切れない刃物は役に立ちませんよね。
そしてその機能を生み出すには正しい知識と技術がなくてはなりません。

ますます刃物研ぎのハードルが上がっていますか?

それではある少年の話を一つ。

その少年には月一で包丁を研いでいる祖母がいました。
祖母はおもむろに砥石を取り出しては慣れた手つきであっという間に研ぎ終えていました。
その後には決まって少年の好物である青椒肉絲をつくってあげていたそうな。
そんな少年も大きくなり一人暮らしを始めた頃、祖母のように包丁を大切にしようと よく教わりもしなかった包丁研ぎに挑戦します。
しかし砥石に当てる度歪んでくる刃先。
切れ味がよくなるどころか益々切れなくなってくる現実。
誰でも簡単に研げるシャープナーを買ったりもしたけどダメ。
こんなことになるなら研ぐんじゃなかったと少年は後悔してしまう羽目に。
月日は流れて少年はひょんな事から鍛治職人を目指すことに。
苦い思い出の包丁研ぎ。もう一度挑戦するとき。
ただ今回はプロの先生がいる。絶対できる!
と思っていた矢先に先生の一言。
「人から教わるんやない。包丁から教わるんや。」
注意事項だけリストアップし包丁とにらめっこする日々。
今では少年はプロとして包丁の研ぎ直しに当たっている。

そう。この少年は僕です。

僕も一度は刃物研ぎで失敗をしていた人間でした。

そんな僕が刃物を研げるようになったのは、

・注意事項を抑える
・刃物から教わる

このたった2点を継続しただけでした。

これならあなたにも出来ませんか?
いや

出来ます!

(注意事項は最後に解説動画のリンク載せておきます。)

4.人と刃物は切っても切り離せない

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うまく刃物が研げるようになると欲しくなってくるのが
『育てがいのある刃物』ですよね?

育てがいのある刃物とはメンテナンスすることで長く使えることはもちろん、使っている時の気分まであげてくれるような特別感のある刃物のことです。

ここでは包丁を例にあげてみましょう。

あなたは日々お料理しますか?

一日一時間程度キッチンの前に立っている人も少なくはないでしょう。
そんな人がお気に入りの包丁を使い研いで育て、気持ちよくお料理しているとどうでしょうか?
きっと食卓にも明るさが増してくるんじゃないでしょうか。

何が言いたいのかというと
『お気に入りの刃物は人生を明るくする』
ということ。

いい刃物はいい日常をくれる
いい日常はいい人生をくれる
だからこそ正しいメンテナンスの知識を。
メンテナンスを通して刃物との愛を育む素晴らしさを。
そして
より素晴らしい人生を。

人と刃物は切っても切り離せない。

2020/5/26

---関連リンク---

・包丁のとぎかた,注意事項 /
 MUJUN WORKSHOP TV『TOGIYA』

・鍛治師 藤田純平のyoutube /
 『純平 刃物チャンネル【MUJUN WORKSHOP】』
(刃物メンテナンス動画をノーカットで配信中)

・農家×鍛冶屋 お金を介さない価値を交換 /
  MUJUN WORKSHOP TV『MUJUN EXCHANGE』
(物々交換のような取り組み)

・刃物研ぎ依頼 /
シーラカンス食堂『TOGIYA』

・刃物研ぎワークショップの開催依頼 /
シーラカンス食堂問い合わせ
(※刃物研ぎワークショップの開催依頼 明記)


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