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漫才論| ¹⁰⁶THE MANZAIでの「和牛」と「かまいたち」のネタの作り方が, これからの漫才の"主流"になるのでは❓

今年の THE MANZAI は,個人的には和牛かまいたちがものすごくよかったです。そして,この二組のネタの作り方が,これからの漫才の"主流"になるのではないかと思いました


「システム系漫才」の弱み

「システム漫才」や「システムっぽい漫才」や「自分たちの型がはっきりしている漫才」の最大の欠点は,「飽きられる」ということです。漫才師側も飽きられないように変化をつけ,まったく同じ"システム"やまったく同じ"型"にならないようにいろいろと工夫していますが,そこまで新鮮味を感じることはできません

これが「悪い」と言っているのではありません。あまり新鮮味は感じなくても,「安定しておもしろい」からです。ただ,この「安定しておもしろい」というのは,「『古典』に近いおもしろさ」なのだと思います。もちろん,このような漫才には「存在価値」があります。ファンはそれを楽しみにしていますし,ずっとずっと続けてほしいです

ただ,THE MANZAI で漫才を披露したメンバーの中で,「M-1でも戦える漫才はどれか」という観点でみると,「システム系漫才」の弱みが見えてきます。THE MANZAI に出るようなメンバーはそもそもM-1にはもう出られないコンビがほとんどなので,意味のない話をしているように感じるかもしれませんが,ここで言いたいのは,「おもしろいけど新鮮味は感じられなくなるシステム系漫才」のほかに,「いつまでも新鮮味を感じられる漫才」があるということです。それが,和牛とかまいたちの漫才です

会話を漫才に"昇華"したネタ

和牛とかまいたちの漫才は,システムではなくベースが「会話」です。和牛のネタの作り方はまさにそれで,二人でしゃべりながらネタを作ります。かまいたちはそれとは少し違う作り方をしているかもしれませんが,ネタのベースは「会話」と言っていいと思います

実際の「会話」は,いつも同じパターンになるということはほぼありません。会話の中でボケとツッコミが入れ替わることもあります。話の展開も,同じパターンになるということはほぼあり得ません。和牛とかまいたちのネタは,「そういう会話を漫才に"昇華"したネタ」と言えると思います

このように,会話を漫才にする方法をマスターしてしまえば,「いつも同じパターンの漫才」ではなく,「変幻自在なスタイルの漫才」ができるようになります。「新しいシステム」を生み出すこと自体にもいつか限界がくるはずなので,いずれは「会話を漫才にする」というのがネタの作り方の"主流"になるような気がします

M-1でも通用する漫才師がもう一組

ちなみに,THE MANZAI でのアンタッチャブルの漫才もM-1で通用すると思います。過去にM-1で披露したネタの「2021年バージョン」,グッときました。アンタッチャブルのネタの作り方はまた少し違うので,それについては後日書きたいと思います

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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

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作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】