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自然と都市

「アメリカ 大都市の死と生」 この本にはまちの普段が詰まっていて、それをちゃんと形に表してくれています。(かなり読むの大変やけど・・・)

その中で、ジェイン・ジェイコブスは都市を自然に例えました。

私たちは都市の生態学を学習しているのだと気がつきました。
(中略)
自然の生態系は「任意の規模の時空間単位内において機能する、化学・生物学的なプロセスで構成される」と定義されます。都市生態系は都市とその密接な依存物において、任意の時点で活動している物理・経済・倫理プロセスでこうせいされています。この定義はわたしが類推ででっちあげたものです。
(中略)
致命的な妨害を受けなければ、生態系は力強いし抵抗力があります。そしてプロセスが十分に機能していれば、生態系は安定して見えます。でも重要な意味で、その安定性は見せかけでしかありません。ギリシャの哲学者ヘラクレイトスがずいぶん昔に述べたように、自然界の万物は変動しています。静的な状態を目にしたと思っても、実はプロセスの始まりと終わりが同時に起きているのです。静的なものは何もありません。都市も同じです。したがって自然の生態系と都市生態系とは、どちらも調べる時に同じ考え方が必要です。「もの」に着目して、それだけで自然に全体がわかると期待してはいけません。常に重要なのはプロセスです。ものはそのプロセスに参加することで重要性を、良かれ悪しかれ持つのです。

この文は新装版の序文として1992年に書かれたものです。本文はもっと古いですが、この文章も約30年前に書かれたもの。しかし、とても本質をついているし、モノがあふれコトを重要視する現在の流れを指摘しています。
いま、いろんな分野で『物語』が重要視されています。いまっぽく言えば『ナラティブ』ってとこでしょうか。物語にはプロセスが大切です。そして、そのプロセスは人間だけではなく自然も持っているもの、ただ違うのは『物語』を『物語』として認知・共有する能力を人間は持っている。だからこそ、都市を語るにおいても自然の一部のように扱いながら、文脈を読み取っていくことが大事なんだと思います。

全部で904文字でした。(タイトル除く)

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