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一句《チョコと掛け 古典かと解く 現代か 》紀尾井ホール、神戸市室内管弦楽団のコンサートへ行きました

2023年2月13日月曜日19時、

紀尾井ホールで神戸市室内管弦楽団の演奏を聴いてきました。タイトルは「音の謎かけ」です。

なぜ「音の謎かけ」なのか、

プログラム・ノートによると、私達は当たり前のように百年前、二百年前の音楽を聴いています。これは近代以降の習慣であり、よく考えてみると、なぜ昔の音楽を聴くのか、それは昔の音楽が優れているからなのか、だとしたら、昔の演奏を再現することが「良い」演奏なのか、最新の技術を用いることこそ「良い」演奏なのか、つきつめて考えてみると答えの出ない疑問ばかり。

だから「音の謎掛け」という演奏会です。


プログラムは定番の、古楽器も使ったモーツァルトのセレナーデ2曲から始まり。

休憩をはさみ、ガラッと雰囲気は変わり、古典を題材とした現代音楽、シュニトケの「モーツァルト・ア・ラ・ハイドン」です。

照明が落とされ、音楽ともノイズともいえそうな怪しいヴァイオリンの音を奏でながら演奏者がひとりづつ舞台中央に集まり。

次第に音量も上がり、舞台が明るく照らし出され、不況和音を奏でるストリングスが緊張感をかもし出しながら、フロントのヴァイオリン2台がメロディーを演奏します。このメロディーの多くはシュニトケがモーツァルトの未完成作品から引用したもの。

(こじつけてみると)モーツァルトの頭の中にヴァイオリンのメロディーが浮かんでは、後が続かずにボツ、また浮かんでは、ボツ・・・、の繰り返しを追体験しているようにも感じます。

演奏の終了はハイドン交響曲45番「告別」のアイディア(1772年当時に、演奏者がひとりづつ舞台から去る演出が施されてた)と同様に、演奏しながら演奏者がひとりづつ舞台から去ってゆきます。

(似たような演奏の動画はこちら

すばらしい古典と現代音楽の融合で、演出、照明、舞台、指揮、演奏も最高でした。


そして、

絵や写真の世界で古典を現代アートとして表現している人といえば、森村泰昌やすまささん。1985年から「セルフポートレイト」という手法で名画に扮して写真撮影を行い、元の絵画に「なってみる」ことで、作者の意図をより深く考察するという作品を発表し続けています。

森村さんは、若い頃、迷ってさまよって、いろいろなことに手を出してみて失敗したそうです。例えば、役者として失格、絵もいまいち、写真もいまいち・・・、

で、それらを合わせてみたら、どこにもないものが生まれた。

そんな「美のトライアスロン」により創作されたのが「セルフポートレイト」という芸術。作品の一部が森村さんのサイトで公開されています。ギャラリーはこちら


そして、私も絵画の一部に「なってみた」ことがあります。

1年前くらい前に国立新美術館で「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」という企画展が開かれていて、ひととおり展示を見た後、売店で自分の顔写真をラ・トゥールの描いた絵「女占い師」の一部にできるという仕組みがありまして、記念に一枚撮ったのです。

その写真をバナーとしてみました。


オリジナルの絵はこれです。

青年を4人の女性が取り巻き、右の老女は占い師で青年からコインをもらい、左端の女性はポケットから財布を抜き取り、その右隣の黒髪の女性へ手渡そうとし。右から2番めの青白い顔の女性は装飾品を盗もうとしています。


よく考えてみると、私が名画の一部となって、その画像をnoteのバナーとする行為は・・・、

青白い顔の女性が青年から装飾品を盗むのと同じようなこと?

著作権的には大丈夫ですよね?

「絵の謎掛け」です。


読んでいただき、ありがとうございます。

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