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再読 『評価と贈与の経済学』

久しぶりに読んでみたのだけど、先日読んだ『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で出てきた課題に対する1つの答えが書いてあるように思えたので。

この本では思想家の内田樹さんと社会評論家の岡田斗司夫さんによる対談(対談は2011年9月、発行は2013年3月)で、その当時から見た未来はこうなるだろう、こうなるといいよねという話をしているのだけど、その中で印象的なくだりをいくつか記す。

毎度のことなのだけど、僕は書評というのは得意ではない。
僕の捉え方の問題もあるかもしれないが、僕がその本を読んで印象に残ったことやここが良かったから、誰かにも知ってほしいと思って書いているので私的な文章になっているように感じるからだ。けれど、そもそも本を読んで感じることは人それぞれだから、それでもいいのかな?と少しだけ思っている。自分と同じようなことを感じてくれる誰かがもしこれを読んでくれたらそれだけで書いた意味を成すのかもしれないから。

おなじ空間に寝起きして、「おなじ釜の飯」を食う。「おはよう「おやすみ」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」その八語を家族全員が適切なタイミングできちんと口にできるだけで、家族制度は十分もつと思うけど。

(第3章拡張型家族 ~拡張型家族の作り方~から引用) 

その前には、家族像のあり方を考えたときに血縁に基づく実際の家族よりSNSを介して実際の家族以外の人(例えば友人)とマメに連絡をとっている。家族とは何なのか?ネット時代に他者との結びつきのありようが変わったように家族像のありようが変わってもいいのではないか?というような投げかけ(ちょっと端折りながら引用)があり、それに対する回答。

家族に限らず、おなじ釜の飯を食ったり、挨拶をすることはコミュニティの維持やご近所付き合いではとても大切だと思うし、それらがきちんとできれば「困ったときはお互い様」の精神と機能(これ嫌がられそうな表現だけど)が働くと思うので、これらは重要だと思う。

人の世話をするということを。自分が「持ち出し」でやっていて、その分「損をしている」というふうに考えるところに最初のボタンの掛け違いがあるんだと思う。

(第5章贈与経済、評価経済 ~情けは人のためならず~から引用)

人のお世話をするというのは、かつて自分が贈与された贈り物を時間差をもってお返しすることなんですから。と続く。

僕は世界中あちこちのレースに出ているのだけど、行く先々でたくさんの人に助けられながら旅をしたり、走ることができている。だから、僕が直接彼らにお返しできなくともその家族や友人に何らかの形でお返しをする(例えば日本に走りに来る選手がいたら積極的にサポートをする。滞在のアドバイスはもちろん可能であれば我が家で過ごしてもらったり)。また、僕のチャレンジに興味を持つ子がいたら将来彼らがチャレンジしやすいように窓口となることもしたい。そんな思いで活動をしているのでとてもよく理解できる。

引用するとキリがないのでここでは省略するけど、
この項の続きの「良きパッサーたれ」もオススメ。

いくつかと書き出したけれど、長くなりそうなのでこの2つで止めておく。

雑感というかまとめというか



僕は日本はあまり景気が良くない状態がずいぶんと続いているように思っている。
もちろん、景気の良い業種もあるだろうけれど、全体としてはどちらかというと苦しくて、でも、世間体から苦しいと言いづらいのでそれが表に出てきにくい。(この辺りは少子化対策の本で指摘する通りだと思う)また、自治体も財政的な余裕がないから地域住民へのサポートもジリ貧だ。

以下、保育園についてはすごく雑に書きます。

園を増やせていないし、保育士を増員するための余裕もないから待機児童が減らない(逗子市の1歳児クラス400人程度の子供に対し待機児童は述べ195人!)、もしくは待機児童は減っても保育の質がついてこない(東京の話だけど園庭のない保育施設の多いこと!)。

保育のことならば、いざという時ご近所に預けることのできるママ友だったりそういうつながりが大切になる。同じ様に野菜をシェアしたり、困った時に相談したり貸し借りしたりお裾分けできる人がいるだけで安心感が全く違う。うちも小さな子がいるから挨拶をするご近所さんや息子に声をかけくれるお兄さんお姉さんはありがたい存在。

歳を取った時、病気になった時、怪我や事故…。いつ自分がどこで普段の生活を維持できなくなるかは分からない。だからこそ、セーフティーネットとしてもご近所付き合いが大切でそういう安心が身近に何気なくあるだけで、暮らしやすさは大きく変わると考える。公的な制度ではないけれど、ネット時代に他者との結びつきのありようが変わったことを踏まえつつこういうものが見直され、また、新たな形のご近所付き合いが見出されたら…と思っている。

少子化対策本への1つの回答であり、読み返してみてすごく僕には腑に落ちることが多かったので、もし興味を持ってもらえたら、逗子図書館にもあるので読んでみてください。

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