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頭痛キャラメル 第九話【してはいけない想像】

僕には二人のおばあちゃんがいる。

僕は、時々、良くないことを想像していた。

「二人のおばあちゃんが喧嘩したら、どっちが勝つのだろう」と。

とってもくだらない考えだけど、なぜだか、おばあちゃんを見ていると、その想像が出てくるのだった。

きっと、二人のおばあちゃんは、喧嘩なんかしない。なぜなら、二人のおばあちゃんは、立派な大人だし、喧嘩なんかしても良いことなんて、ひとつもないから。それが分かっているから、喧嘩なんかしないのだと、安心していた。

父方のおばあちゃんは、体が大きく、ふっくらとしているので、痩せていて、腰の曲がった母方のおばあちゃんよりは、体力的には勝っているし、母方のおばあちゃんは、お嬢様だから、なんだか、喧嘩には弱そうだった。

しかし、このくだらない話の根本は、僕が二人のおばあちゃんの喧嘩を想像したことだ。人はなぜ、喧嘩をするのだろう。と、二人のおばあちゃんの喧嘩を想像していたら、益々、喧嘩をする事自体が馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 僕は、二人のおばあちゃんの喧嘩を想像する事で、喧嘩をする事の馬鹿らしさを感じることができた。

僕のおばあちゃんは、僕にとっても大切なことを、語らずとも、教えてくれた。

そのおばあちゃんの存在が、

二人のおばあちゃんの生きざまが、

笑顔が

見えるだけで、僕には理解できた。

おばあちゃんって、凄い。

第10話につづく

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