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あの日、あの時の冒険

 ポケモンについて調べていこうとしていたところで、ポケモンの公式YouTubeチャンネルから、このような動画がアップされた。

 BUMP OF CHICKENの楽曲「アカシア」とのコラボしたミュージックビデオ「GOTCHA!」は、公開されるやいなや、凄まじい反響を呼び、たった1日で300万回再生を突破した。

 実際に観た僕も、感動しすぎてほとんど言葉が浮かばず、このMVやBUMP OF CHICKENの公式チャンネルにある「アカシア」を何度も再生してしまうぐらいである。(というか、こんなにMVを何度も観るのは、今までの人生で初めてな気もする)

 なぜ僕はこんな作品が作れないのか、本当に悔しくて仕方がない限りである。

 さて、このMVの冒頭は、4人の少年たちが線路を歩くシーンから始まる。
 ご存知の方も多いが、このシーンは映画「スタンド・バイ・ミー」の、中盤にある有名なシーンから引用(というか、少年たちの服以外は完コピ)している。
 最初のゲーム「ポケットモンスター 赤・緑」にも、テレビで放送されている映画として登場し、初期テレビアニメ版ポケモンのシリーズコンストラクション(シリーズ構成)を担当し、かの「ポケモンの没プロット」をコラムとして掲載した、あの首藤剛志氏も、その場面を見て、テレビアニメのテーマを決めたという。

 このように、ポケモンを語る上で欠かせない映画を、これまでお恥ずかしながら未鑑賞の状態だったので、これを機に鑑賞した。

 流石は名作といわれるだけのことはあり、噂で聞いた死体を見つけるために、冒険に乗り出した少年たちが、たわいのない会話をしながら線路に沿って歩いていく一方で、様々な事情が絡みついて起きる大人たちの理不尽に遭い、自分なりにそんな複雑な事情を理解はしながらも、苦悩し続ける様子が丁寧に描かれている。

 苦悩の末、彼らは理不尽をある時は飲み込み、いざとなれば面と向かって立ち向かっていこうとする。
 大人になって思い出してみると、それを行動に移したあの時の思い出が、自分にとって大切な宝物になっていることに気づいた主人公は、「あの頃のような友達は、二度とできることはない」と書き記す。
 スティーヴン・キングが書き、ロブ・ライナー監督が30年以上前に映画として描いたこの物語のエッセンスは、田尻智氏らによって、ポケモンというゲームの中にも取り込まれ、首藤氏はそれをテレビアニメで、さらに深く掘り下げようとした。
 そして、20年以上たった今、MVという形でも描かれるというのは、何だか感慨深いものがある。

 もはや、自分自身の血肉ともなっているポケモンというコンテンツには、このように多くの映画やアニメ、小説などが影響していることを知ることができるのは、とても楽しいことだ。
 そうやって深く掘り下げていくことで、新しい発見や、自分とは何かを追求していくことができるのかもしれない。

 かつて、長い線路の上を進み続けた、あの少年たちのように…

 

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