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朝のことごと

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思想断片集
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#作文

朝のことごと 2

朝のことごと 2

 働き蟻は、自分が食べものを採り、巣に持ち帰って、その為に、一族が糊口をしのいでいることを、分かっているのだろうか。
 多分理解していないだろうことは、想像がつくのである。触れれば途端に潰れてしまうような、小さな体だからというわけではない。巣の外へ出て、仲間の出すフェロモンを感じれば、そこへ行き、また感じれば、そこへ行き、感じて、そこに行き、食べものの匂いを嗅げば、そこへ行き、それを掴む。しかし、

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朝のことごと 1

朝のことごと 1

 天地(あめつち)が分かれ、陰陽の別が出来、亦世に光が溢れる、その以前から、世界に朝があったかどうか、思いを巡らせてみても、この思いの行き着く先がない。 
 昔、山陰の故郷に帰ったとき、あばらや同然になりかけた爺さまの家で、キジが二羽、つがいで裏庭に憩いしていたところを見た。朝のことである。雄は赤だの青だの派手な色を、複雑微妙なグラデーションに落とし込んで、あっさりとした調子に自分を見せた。雌は一

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