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保険会社の永久劣後債について【債券の基礎シリーズ⑭】

こんにちは
ウェルスパートナー(https://wealth-partner-re.com/)で富裕層向けIFAをしている藤村大星(https://twitter.com/wp_fujimura)と申します。

実は保険会社の永久劣後債でも元本削減条項がついているものもあります。だから投資を避けるべきだと言う訳ではないですが、知らずに投資をしている方もいたので解説します。

永久劣後債については以下の記事で解説しています。

↓永久劣後債の基礎知識↓

永久劣後債の投資ポイント

(1)保険会社の永久劣後債の一例

保険会社が発行する架空の永久劣後債を見てみましょう。欧州の保険会社が発行する永久劣後債はこういったものが多いです。

【保険会社A 米ドル建永久劣後債】
⚠️架空の債券です

  • 期間:満期はなし、2028年10月10日以降各利払日に発行体の裁量で、発行額の全部または一部を繰上償還可能

  • 利率:2028年10月10日まで年率6.5%、それ以降は米ドル3ヶ月Libor + 2.5%(3ヶ月毎にリセット)

  • 確認事項:発行会社またはグループに求められる、ソルベンシー・マージン比率が100%を下回った後に開催される株主総会において、増資かその他の方法によるソルベンシー・マージン比率の回復について否決された場合には、元本が削減される。

  • 発行体格付:A

  • 債券格付け:BBB 

(2)元本削減条項がついている場合もある

主に欧州の保険会社の永久劣後債を見ると以下のような元本削減条項がついている場合があります。

「ソルベンシー・マージン比率が100%を下回った後に開催される株主総会において、増資かその他の方法によるソルベンシー・マージン比率の回復について否決された場合には、元本が削減される。」

⚠️発行体によって異なるので要注意です。

CoCo債券のCET1トリガーに近しいものを感じますね。
生命保険会社の場合はソルベンシー・マージン比率という指標がとても大切です。この例だと100%以下になった後に回復の見込みがない時の最終手段ですが元本削減トリガーとなるパーセンテージ等は債券によって異なります。

(3)ソルベンシーマージン比率とは

ソルベンシー・マージンとは、「支払余力」を指します。
生命保険会社の劣後債や永久劣後債も一定の範囲でソルベンシー・マージンへの算入が認められているため、こういった債券を発行します。

保険会社は保険金の支払いのために責任準備金を積み立てており、予測できる範囲の支払いについては責任準備金で対応できます。

しかし、大災害など、予想もしない出来事が起こる場合があります。
このような「通常の予測を超えるリスク」に対応できる「支払余力」がどの程度あるのかを判断するための指標がソルベンシー・マージン比率です。

200%以上が健全性の目安とされています。

(4)直近のソルベンシーマージン比率

債券の発行体でよく見る保険会社のソルベンシーマージン比率です。
アクサ 217%(2021年)、アリアンツ 208%(2023年)でした。
ギリギリ健全といったところでしょうが、毎年これくらいの数値のことが多く、安定はしています。

さらにソルベンシートリガーの水準は100%以下になったら等なので抵触する可能性は現時点では低いと思います。

以上、保険会社が発行する永久劣後債についてでした。

他に資産運用に関する記事を書いています。
以下のリンクが目次になるので併せてご覧ください。

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