強み資産や遊休資産を活かす
7月31日の日経新聞で、「賃上げ景気の実力(2)30年越しに沸くニュータウン AI投資はメガトレンド」というタイトルの記事が掲載されました。千葉県北部の印西市でデータセンターが増えていることを説明した内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
当面は、国内投資がさらに加速しそうな環境が想定されるということです。日銀による利上げ決定が先週話題になりましたが、それでも同記事の指摘の通り、超低金利で物価上昇率を下回っている実質金利マイナスの状況は変わりません。将来的に金利が上がっていかないうちに、投資しておこうという動きも当面強まるのかもしれません。
同記事からは、3つのことを考えました。ひとつは、強み資産や遊休資産を活かすということです。
印西市による「千葉ニュータウン」構想は、結論からすると失敗だったということでしょう。しかしながら、当時整備した大規模な送配電網が、膨大な電力を要するAI関連のデータセンターを設置する環境に適しているというわけです。使われず遊休資産となってしまっていたものが、強みとして活用できるということです。
これに似たことは、身のまわりの家庭や会社であり得るかもしれません。「前から存在しているのに、使われていないもの」の利用価値が、新たなところに発見できるかもしれないわけです。このことは、設備など見えるモノだけではなく、人の知識・資格・経験など見えないものにも当てはまります。新たな利用価値を積極的に見つけていきたいところです。
2つ目は、社会経済の環境変化を察知することの大切さです。
ある経営者様が先日話していたことです。
「人口減少、国内製造拠点空洞化で、電力消費は長期の減退トレンドだと想定してきた。ところが数年前から流れが変わり、円安もあっての国内投資の活況とAIの電力消費の伸びもあって、電力消費は長期で増加トレンドに想定が変わってきた。電力関係への部品を納入する自社でも、しばらく前から設備増強させている」
同記事の例も、データセンターの需要増、それが膨大な電力を必要とする、という環境変化をいち早く察知しての構想スタートだったのではないかと想像します。
強み資産や遊休資産を的確に活かす、そして先行者利益を大きくとるには、環境変化を察知してそこに強み資産の利用価値を照らし合わせることが大切だと考えます。
3つ目は、人材確保の取り組みがますます求められるということです。
同記事に「人を雇うよりもロボットや自動化に投資する方が効率的だと考える経営者が増えている」とありますが、どんなに効率化させてもそれに携わる人材が必要です。同記事からは、その人材には、ますます高い金額でのオファーが必要になってきているのがうかがえます。
7月30日の日経新聞では、韓国の総人口が増加したという記事が目に留まりました。「韓国総人口、3年ぶり増加 外国人労働者が流入」から一部抜粋してみます。
韓国の出生率は0.72で、少子化は日本以上に深刻な問題テーマになっています。その韓国で総人口が増えているということは、相当な外国人受け入れの取り組みをしていることが背景にありそうです。
私の周囲でも外国人従業員雇用に一層の力を入れている企業が散見されますが、今後は韓国、中国、台湾など東アジア地域との外国人人材獲得競争がさらに激しくなることが想定されます。
日本人、外国人、双方に対して、これまで以上の賃金の見直し、及び賃金以外の魅力を訴えて、自社で人材獲得していくための取り組みを行うことが求められそうです。
<まとめ>
遊休資産・強み資産を活かす機会はないか、環境変化からも考える。
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