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決算賞与を現金で手渡す

先日、経営者が集まって意見交換する会に同席する機会がありました。そのときに複数の企業様から「決算賞与を現金で手渡ししている」という、示唆的なお話を聞きました。

具体的な支給方法はお聞きした各企業様によっても異なりますが、概ね以下のようなイメージでした。

・夏・冬の一般的な賞与以外に、期末に3回目の決算賞与を支給する。

・支給条件を明確にしておく。会社業績が一定の条件を上回り、利益を3回目の賞与として社員に還元できる条件になった場合にのみ支給する。よって、金額は毎年変動し、支給されない年度もある。

・支給可能な額の算出式を決めてある。年度ごとの会社の売上・利益情報とともに、算出式は社員に開示している。

・アルバイトスタッフなど、非正規社員含めた全従業員に対して支給する(金額は雇用形態等の違いによって異なるが)。

・支給は現金による手渡しで行う。全額分新札でそろえる。

そして、上記を行っている企業様はいずれも、「効果は非常に高い。お勧めだ。」と言います。また、(もちろん、このことだけが理由ではありませんが)そのように言う企業様はいずれも、新卒採用での学生からの応募数が地域内で最も多い企業、業績拡大中の超有力企業など、よい会社なのが印象的でした。

主な効果と理由としては、次の通りのようです。

従業員の業績に対する意識が高まる。行動も変わる。いくら社長や上司が「売上を稼げ」「利益をあげろ」とひたすら叫んでも、それで従業員が動くわけではない。情報を開示して、結果が出たら何かの形で還元すれば、動き方も変わる。

現金だからこそもらった感がある。口座に振り込まれて明細だけ渡されてもリアリティがない。

・そのまま自分の小遣いとして使える。

人事や経理は、年1回とはいえ結構な額を現金支給する仕組みの導入は、大変嫌がるそうです。新札を何千枚と準備し管理する手間と気遣いが発生しますので、当然です。しかしながら、今では人事や経理がむしろ積極的に賛同して手配しようとしているという企業様もありました。それだけ、このことに対する効果を感じているからだそうです。

上記のすべてを満たしているのがポイントになるのだと考えます。例えば、以下のような要素を含んだ渡し方だと、現金で渡したとしても上記ほどの効果は期待できなくなるでしょう。

・会社業績に関係なく支給される
・どうなったらいくら支給されるかの計算式が決まっておらず、支給根拠が不明
・会社業績の情報が非開示
・従業員の中で、もらう人ともらわない人がいる
・折れたりシワが入っていたりの中古の紙幣

「このデジタルな時代に、なんというアナログな制度よ」と思われるかもしれません。しかし、想いや意識を共有するためのコミュニケーションは、対面・現場現物に勝るものはありません。現金を直接手渡しするからこそ、伝わるもの、汲み取れるものがあるのだと思います。

結構な時間がかかる取り組みだと思いますが、上記のような効果が得られるなら安い投資だと思います。

<まとめ>
対面・現場現物だからこそ感じ取れることが、やはりある。


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