海外就労の金銭的魅力が高まる
5月29日の日経新聞で「Zワーカーズ(中)海外就職、決めて良かった 駐在より永住、円安も誘因」というタイトルの記事が掲載されました。Z世代の中で、海外就職志向が高まっているのではないかということをテーマにした内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
同記事からは、2つのことを考えました。ひとつは、憶測で物事を仮説づける、結論づけるのは危ない、ということです。
「最近の若い世代は、海外志向が弱くなった。海外にチャレンジしたがらない。海外赴任や留学などにも消極的だ」といった物言いを時々聞くことがあります。転勤などに消極的で、地元志向をはっきりと主張する若手人材もいるために、なんとなくそのような全体感があると感じられるのかもしれません。
同記事の事例だけで全体をとらえようとするのも短絡的ですが、少なくとも、同記事も参考にすると上記のような物言いも偏った印象によるもので、的を外している可能性がありそうに思います。
同記事の図表を参照すると、海外永住者は男女とも過去最多を更新し続けています。長期滞在者はコロナ禍の20年から減少が続いているようですが、10年単位のトレンドで追うとやはり増え続けています。特に女性は、これまで長期滞在者数>永住者数で推移してきたのが、2023年に逆転しそうな勢いで永住者数が増えています。
細かい年齢の内訳までは出ていませんので、もしかしたらシニア層が数字を押し上げているのかもしれませんが、同記事からはZ世代も例外ではないことを彷彿させます。
もうひとつは、他国との比較における日本の経済力低下です。他国と比べた場合の、所得の伸び、物価の伸びの違いに加え、為替の影響によるものです。
海外渡航・滞在は、私たちにとって経済的な負担が大きくなっています。特に、長期滞在し、その間ほぼ支出のみで収入の予定がない海外留学は、費用の捻出が難しくなってきています。「もっと留学にもチャレンジし、視野を広げよう」といっても、物理的に難しくなっているわけです。
一方で、海外で就業し現地通貨での収入を得ることの魅力が増しているため、そのことを実行に移す人も増えているわけです。
日本人の人材獲得競争には競争相手に日本国内企業だけでなく他国も含まれている、という認識を明確にもつ必要がありそうです。巡航速度に沿った物価上昇、それも受けての賃上げによる所得増加を実現させていくことは、やはり大切だと感じます。加えて、同記事の事例のイメージで、自分の能力発揮やキャリアの展望が描けると求職者が思える環境を追求することも、やはり大切になります。
<まとめ>
Z世代は、海外で就労して稼ぐことに意欲的かも?
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