会社は誰のためにあるのか
先日お会いした方との間で、「会社は誰のためにあるのか」というテーマで話題になりました。株主のためか、お客さまのためか。。古くからある命題で、「決まったひとつだけの正解がこれ」と言い切れない問いだとも言われています。改めてこの問いについて考えてみたいと思います。
「会社は誰のためにあるのか」のテーマで、試しに生成AIに質問してみました(生成AIに直接的な回答を出してくれることを期待してはいないのですが、試しで)。すると、下記の答えが返ってきました。
対話式に流暢な回答をしてくれましたが、やはり「○○のためである」と言い切ることはありませんでした。
この回答に対して、追加で質問をしてみました。「ありがとうございます。会社は誰のためにあるのかという問いに、一つの正しい答えがないことが分かりました。おそらく、経営者、従業員、顧客、株主、社会などがすべて答えになり得るのだと思います。そのうえで、経営者、従業員、顧客、株主、社会の中で優先順位をつけることは可能でしょうか。」
これに対して、追加の回答が以下です。
お願いしてもいないのに、詩も作ってくれました。
決まったひとつだけの正解というのは言えない、と対話式に出力してくる点は、日々発展する生成AIの進化を感じさせます。
さて、ここからは、私なりの考察と整理です。
まず、会社は設立者がいないと始まりません。そして、何らかの社会課題を解決するためにつくられます。
「社会課題なんて直接は見ていない。自分は自分のやりたいことをやるために、会社をつくった」という設立者がいるかもしれませんが、事業は相手がいてはじめて成り立つものです。すなわち、自分のやりたいことを買い求めてくれる人がいるということです。買い求めてくれるということは、お客さまの何らかの課題解決に役立っているということです。つまりは、お客さまを通してなんらかの社会貢献をしていることになります。
「会社は株主のためにある」という見方もあるかもしれませんが、株主は、お客さまを通して何らかの社会課題を解決する事業に対して、出資をしているという立ち位置です。何かを成したい経営者と事業があって、それに共感する株主や社員が集まった、という順序になるはずです。
会社法上は、株式会社は株主の所有物で、利益を上げるための道具とみなされているかもしれませんが、そもそもなぜ、何のために会社が存在しているのかの流れから考えれば、本質はそこではないということになると思います。同じ観点から、「会社にとって最優先すべきは社員」といった見方も、的を外しているのではないでしょうか。
「会社は利益を上げることを目的としている」という表現も時々聞かれますが、そうであるなら「利益を上げる」という目的のために「事業という手段」があるという関係性となります。もちろん、手段が何でもよいはずはなく、違法でない手段でなければなりません。そうなると、「利益を上げる」ために「社会的にOKとされる手段の中から事業を選ぶ」という構図となり、何でもよい=もはやその会社である必要はなくなってしまいます。
ステークホルダーはみな大切な存在です。ステークホルダーのうち、どれかひとつだけのために会社があってよい、というわけではありません。そのうえで、上記のように考えると、あえて優先順位をつけるとしたら何が上位にくるか、何が上位には来ないかについて、答えは自ずと見えてくるのではないでしょうか。
<まとめ>
資金調達や利益は、手段であって目的ではない。
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