先日、社員の評価制度を再構築している企業様と打ち合わせる機会がありました。
「これまでは、社員が何をしたら評価されるのか、明確でなかった。評価結果のフィードバックも十分になかった。互いの納得感がある中での評価ではなかった。今着手している制度リニューアルによって、評価すべき要素が評価され、かつなぜそれが組織として評価対象となるべきなのか理由が語れるようになると感じる」というお話でした。
4月22日のヤフーニュースで「【日本ハム】好調の裏に〝査定改革〟 新庄監督「やる気にさせるっていうことは大事」という記事が掲載されました。一部抜粋してみます。
プロ野球で、上記に例示もある四球選びの意義を訴えて査定を上げ、成果に導いた例としては、昨年念願の優勝を果たした阪神球団の例が知られています。
プロ野球PRESS「「四球の年俸査定ポイントを上げてくれ」阪神・岡田彰布監督は開幕前にフロントに直談判…急増四球が“あの球界のエース”の撃破を生んだ」によると、次の通りです。(一部抜粋)
私はスポーツにはあまり詳しくなく、野球も何となく見ることがある程度です。年俸は「チーム成績への貢献もそうだが、目立つ個人成績や集客への貢献を残した人が、たくさんもらえるのでは」程度の認識しかありませんでした。想像以上に、同記事にあるような細かい査定項目で年俸が決まっていることを初めて知り、意外でした。
同記事を参照すると、四球にはチームの勝利につながる価値、及び選手本人にとってもシーズン通年の調子を整えることにつながる価値が高いことがうかがえます。
しかしながら、素人の憶測ですが、四球を選ぶよりヒットやホームランを打ったほうが、野手としてはうれしいだろうと思います。よって、四球を選ぶより、打ちにいってアウトのほうを選ぼうとする野手も少なくないのではないかと想像します。
ましてや、査定で四球がさほど評価されなければ、なおさら積極的に四球を選ぼうとする意欲は喚起されないのだろうと思います。そこで、年俸にも直結する査定方法を変えて、四球の価値をメッセージとして伝え、行動変容を促す。そして成果につながった、というわけです(同記事から、四球以外の要素も見受けられます)。
ショービジネスの要素もあり、会社員に比べて自己顕示欲も高い=自分のやりたいようにプレーしたがる人も多いだろうと想像されるスポーツ選手であっても、査定項目が行動変容を促すというわけです。会社員であればなおさら、査定の与える影響は小さくないのではないかと思います。冒頭の企業様のお話も、そのことに通じるものがあります。
査定がモチベーションの本質だとは思いませんが、査定は組織の考える、本人が取り組むべき大切な要素を伝えるメッセージとなるものです。軽視すべきではないというのを、改めて感じます。
<まとめ>
査定改革は、行動変容を促すメッセージになる。