他国の状況と関連づける

10月19日の日経新聞で、「中国経済、すくむ民需 7~9月4.9%成長に減速」という記事が掲載されました。
同記事の一部を抜粋してみます。

~~中国経済の停滞感が強まっている。中国国家統計局が18日発表した7~9月の実質国内総生産(GDP)は、季節要因をならした前期比で0.2%増にとどまった。資源高で企業収益が悪化。雇用回復の遅れが消費に不安を残す。政府の規制強化も影を落としている。

GDPの前年同期比伸び率は4.9%増と、4~6月の7.9%から縮小した。市場予想の5.0%もわずかに下回った。需要の伸び悩みが背景にある。~~

中国は日本と違い、例年高い成長率を実現させてきた経済圏です。上記は低い数値です。中国経済は新型コロナウイルスの感染拡大も比較的抑え込むことができていて、世界経済もけん引していたわけですが、ここにきて需要低迷に連動しての減速を示唆する指標が指摘されています。

同記事や関連記事も参照すると、需要の伸び悩みの主な要因として、次のことなどが挙げられます。

・コロナ感染再拡大に伴う移動制限
・9月に本格化した電力制限
・他国の状況とも連動した供給制限
・「共同富裕」に根差した格差是正を重視する規制(不動産、学習塾など)
・これらを背景とする雇用回復の鈍化

これら中国経済の動きに関しては、2つの観点で捉える必要があるように思います。ひとつは、継続性です。

先日の投稿「PMIとDIを考えてみる」では、中国の9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が49.6という発表があったことを取り上げました。

好不況を判断する分かれ目とされる50を下回ったのは2020年2月以来です。PMIは、企業の購買担当者に生産や受注、価格動向などを聞き取り、その結果を指数化したもので、景気の先行指標と言えるものです。9月にその先の動きを示唆する指標が悪化しているわけですので、このままいくと、10~12月の中国GDPも継続的にさらに下げてくる可能性が高くなります。

コロナ禍が始まった直後の景気の悪化は、急激だったものの、一時的なものであるという捉え方もありました。実際に、その後ある程度持ち直してきました。しかし、今回の上記中国の状況は、一時的なものというより継続的な流れになりそうな要素が見られます。

もうひとつは、範囲を広げて捉えることです。
日本国内では緊急事態宣言も解除となり、移動制約の緩和など明るく開放的な兆しが見られます。第6波も懸念されますが、今時点では、経済活動と感染対策の両立を目指して前向きなトーンが目立ってきています。

しかし、上記の通り、海外市場の中でも消費や生産活動の最上流に位置しているの中国に加えて、米国をはじめ各国でインフレ圧力、金融引き締めをなどによる景気減速の懸念が高まっています。日本国内の身近な経済圏の様子で景気全体を判断しようとすると、見誤ってしまう可能性があります。

世界が全体的に景気停滞し、かつそれが継続性のある流れとなると、当然ながら日本もコロナ感染状況如何にかかわらず、それらの影響を受けることになります。

企業活動においてもやはり当面は、資金や仕入れ、生産活動の計画などに慎重な姿勢を求められる状況が続くのではないかと思われます。

<まとめ>
景気の先行指標の今後に引き続き注意する。


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