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脳を磨く習慣(2)

ある経営者様から、「GRATITUDE (グラティチュード) 毎日を好転させる感謝の習慣」(スコット・アラン氏著)という書籍をぜひ読んでほしいと、強く推奨されました。それを受けて購読してみたのですが、気付かされることが多く、必読の書だと感じた次第です。

前回、「脳磨き」をすることで、脳が活性化され人生が豊かになるということをテーマにしました。そして、脳磨きの具体的な方法のひとつが「感謝の気持ちを持つ」ことで、「生きていること」など当たり前で些細と思えることにも感謝の気持ちを抱く「普遍的感謝」が大切だということを取り上げました。同書は、そのことに通じる内容が書かれています。

同書では、感謝の心を持てるようになるうえで有効な方法がいろいろと出てくるのですが、その中から第3章で紹介されている4つのステップについて以下に抜粋してみます。この4つのステップだけでも、同書のエッセンスは凝縮されていると感じます。

1.感謝しながら1日のスタートを切る
目が覚めた時に気分がよくなくても、何かひとつのことに感謝する。例えば、無事に目が覚めたこと、家族がそばにいてくれることなど。

2.常に感謝の言葉を唱える
1日中感謝すべき対象を探す。例えば、シャワーを浴びる時に、自分はいつでもお湯できれいに体を洗える環境にいることに感謝する。事あるごとに「私は(  )に感謝し、幸せを感じる」と唱える。

3.あらゆる状況で感謝の心を持つ
例えば、上司から緊急会議に呼び出される、同僚が休んで仕事が増えるといった時でも、れっきとした職業を持って収入を得られていることに感謝する。

4.自分が受けている恩恵を書きとめる
1日の終わりに、自分がどんな恩恵を受けているかを日記に書く。日中、何か思い浮かぶたびに、その都度簡潔に書きとめておくとよい。当たり前だと思っていることでも、感謝すべきことはいくらでもある。

先日、ある企業の経営幹部の方から、次のようなエピソードをお聞きしました。同社様ではメンバーとのコミュニケーションをテーマにした研修にも取り組まれていて、その研修内にて「感謝の言葉を伝える」や「相手を承認する」ことの重要性を取り上げていたという経緯があります。

自社では毎月、給与支給日には社長が各事業所を回り、事業所の管理者に従業員分の明細書をまとめて渡している。事業所管理者が事業所内の従業員に手渡していく。今日は給与支給日だった。

ある事業所の従業員から「今、給与明細が手渡されました。○〇さん(事業所の管理者)が、従業員一人ひとりへ感謝の言葉かけをしながら渡してくれました。感動しました。」とチャットで自分宛(同経営幹部の方)に連絡がきた。(以前は、感謝の言葉をそこまで明確には表に出していなかった)

その連絡を受けて、同経営幹部の方は、同従業員へは「連絡をくれて有難う。とても良い事ですね!」とチャットで返信をし、同管理者に対しては「今回の行動に対して感動したと連絡をもらいました。私も感動して、お電話をした次第です。いつも本当に有難うございます。引き続き宜しくお願いします。」と感謝を伝えた。本人は照れくさそうだったが、『わざわざご連絡有難うございます』と逆に言ってもらった。

月に1度の給与日には、心からの感謝の気持ちを添えて、相手に給与明細を渡すことの大切さを改めて感じた。これも研修会で学んだ成果のひとつではないかと思う。

以前の7月29日の日経新聞記事 「言葉のちから」(若松英輔氏)に、次の一文がありました。(一部抜粋)

「あたま」から発せられたものは、相手の「あたま」に届き、「こころ」からのものは「こころ」に、そして「たましい」から発せられたものは「たましい」に届くように感じられる

上記のエピソードは、まさに「こころ」か「たましい」から発せられた言葉だったのだろうと推察します。そして、意識して感謝の言葉を使うことが脳磨きにつながるということにも合致してそうです。

同エピソードにあるような感謝の言葉を伝えることは、特殊な技術が必要なことではないものの、なかなかしない・できないことだと思います。そのうえで、そのようなことの積み重ねが、組織や文化をつくっていくのでしょう。

給与明細も、電子データで各人宛にメール送信するシステムなどにすれば、紙で印刷する必要はなくなります。同社様の場合、社長→事業所管理者、事業所管理者→従業員で、結構な手渡しの工数がかかっています。そのうえで、紙でわざわざ手渡しするのは、今回のようなところに意味を見出せるのかもしれません。

一見非効率と思えるやり方にも、やりようによっては人間関係を維持発展させるうえで有益な役割を果たすことにつながるのだと思います。

冒頭の書は、「自分がするすべてのことは選べる」と示唆しています。つまりは、何を着て、何を食べて、どこへ行って、どんな行動をするかは、すべて選ぶことができる。よって、簡単に実行できる4つのステップで感謝の心を持つかどうかも、自分の選択であるというわけです。

予定が立て込むなど自分に余裕がなくなると感謝の心を持ちにくくなりますが、余裕がない時にこそ感謝の心を持ちたいものだと思います(自戒を込めて)。

<まとめ>
「1日のはじめ、おわりに、感謝の言葉」を習慣化する。

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