海外で稼いではいるが
12月18日の日経新聞で、「投資会社化するニッポン 海外での稼ぎ、GDP比1割」というタイトルの記事が掲載されました。日本経済が海外で稼ぐ構図が強まっていると説明しています。
同記事の一部を抜粋してみます。
上記から2点考えてみます。ひとつは、海外市場で稼ぐことの重要性です。
国内市場は人口減少などの影響で、多くの業種にとって市場性は今後頭打ちとなっていきます。海外市場で収益が狙える商品・サービス、ビジネスモデルをもっている会社にとって、上記は改めて海外市場の重要性を示唆していると感じます。
もうひとつは、海外からの投資を呼び込むことの重要性です。
同日付日経新聞「きょうのことば」やダイヤモンドオンライン記事を参照しながら、経常収支について考えてみます。
経常収支=貿易収支(財貨の輸出入)+サービス収支(知的財産権等使用料、旅行など)+第一次所得収支(対外投資で得られる収益)+第二次所得収支(他国への援助など)です。
対外投資には、海外に工場をつくったり海外企業を買収したりする「直接投資」と、利益を得るために株式や債券を購入する「証券投資」があります。取得した株の議決権の割合などによって、直接投資か証券投資かのどちらに当てはまるかが決まります。
第1次所得収支では、日本側が得た利益は受取額、海外投資家が日本への投資で得た利益は支払額で、差し引きして受取額が多ければ黒字となります。この額について、21年で26.6兆円の黒字だったのが、今は年間で50兆円の勢いということです。急拡大中と言えます。米独仏などを上回り、世界最大の第1次所得収支黒字国というわけです。
一見すると、第1次所得収支の黒字拡大は望ましいことのように見えます。しかし、上記英国の例とは逆に、海外からうまく対内投資を集めることができていない=日本が魅力的な投資対象エリアだとみなされていない、と言うこともできます。このことは、長期的な国の発展を考えると、望ましいとは言えないことです。
加えて、海外で稼いだ日本企業が、国内にその稼ぎ分を再投資せずそのまま海外子会社で留保していることの表れだと、指摘することもできそうです。
さらに海外市場に活路を求める、海外で稼いだ利益で国内に再投資する、外国からの対内投資を呼び込む。私たちの事業活動でできることとして、3つのいずれも今後の日本にとって一層必要なことであり、そのいずれであっても日本の発展への貢献につながることだと思います。
<まとめ>
第1次所得収支の黒字はよいことではあるが、同時に改善の余地も示している。
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