現預金の増加を考える
12月21日の日経新聞で、「個人金融資産2000兆円 日本30年で倍増、現預金が過半 米は6.7倍で株・投信比率高く」というタイトルの記事が掲載されました。同記事の一部を抜粋してみます。
首相官邸ホームページの資料を参照すると、2012年には家計が保有する現預金は866.7兆円でした。10年間で現預金は200兆円以上増えたことになります。この間、GDPすなわち家計の収入はほとんど変わっていませんので、いかに一人ひとりが現預金を積み上げたのかがわかります。現預金に年金と保険を足すと、金融資産の8割程度になります。株と投信の比率は15%のみです。
先日の投稿では、企業も個人も、減価償却分以上の投資をすることの重要性について考えました。
冒頭の記事内容も手がかりにすると、企業活動としてもそうですが、個人の単位でも投資の行動がいかにできていないかがわかります。
別の投稿では、年間所得が1億円を超える人はその多くが投資した結果の金融所得(給与所得ではない)によるものであることについて取り上げました。
つまりは所得が1億円未満で、1億円以上の人に比べてより所得を増やしていきたいはずの層が、投資をしていないということです。上記記事内容と照らし合わせてみると、現預金を積み上げて投資していない結果、GDP拡大の原動力に寄与していないというシンプルな図式が、改めて確認できます。
このことは、金融資産の半分強が株と投信という米国とはまったく異なる状況です。東南アジアの知人に聞いても、現地の人たちの投資意欲は旺盛で、所得のうち結構な割合を積極的に投資に回していると言います。
日本に住んで周囲の人たちの生活スタイルを見聞きすると、生活必需品等の消費に使って残った現金をそのまま預金するのが当たり前に感じられます。しかし、国際感覚からすると、その行動は一般的ではないということを認識しておくべきだと思います。所得は使えばよいというわけでもありませんが、未来投資によって個人のキャリアも豊かになり、社会経済の発展にもつながるという考え方は、もっておくべきだと考えます。
同記事には、「若者を中心に変化の兆しがある」とあります。国を超えた情報にも敏感な世代です。上記のことにも何となく感づくことで、貯蓄傾向も今後変わっていくのかもしれませんね。
<まとめ>
所得から一定の割合で計画的に投資に回すことは重要。
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