脳を磨く習慣
月刊誌の「致知」11月号で、脳科学者の岩崎一郎氏による「脳科学が明らかにした「誰もが幸せになれる法則」」というタイトルの記事が掲載されました。脳全体をバランスよく協調的に働かせる訓練である「脳磨き」を提唱しています。
同記事によると、「脳磨き」を「歯磨き」のように、脳を鍛えることを毎日の生活習慣として取り入れることで、脳が活性化され人生が豊かになるそうです。
同記事の一部を抜粋してみます。
上記を参考にすると、私たちは(既に普段から脳をどれだけ使えているかにもよりますが)今より数百倍ほど幸せな脳の状態になる潜在力があるということになります。
岩崎氏は、自身が過去に極度の人間不信に陥り、人と関わることを長らく苦手としてきたそうです。そのうえで、研究活動で渡米した後、ネックになっていた人間関係への向き合い方を変えようと、シカゴの街頭で3,000人に声をかける「荒行」を断行したことがあると言っています。そうした実践と研究の成果から提唱される「脳磨き」には、説得力を感じます。
同記事では、脳磨きの具体的な6つの方法も紹介されていました。以下に抜粋してみます。
「感謝の気持ちを持つ」について、「生きていること」など当たり前で些細と思えることにも感謝の気持ちを抱く「普遍的感謝」が大切で、そのことを脳磨きで推奨しているのだそうです。これに対して、私たちが普段行っている感謝の言動は、誰かに何かをしてもらった時に感謝をする「恩恵的感謝」だとしています。「恩恵的感謝」も大切ながら、より踏み込んで「普遍的感謝」も積極的に行うことがポイントというわけです。
筋トレで筋力が増していくように、普遍的感謝を意識的に行うことで脳が活性化し、思いがけない素晴らしい発想を得たり、皆で心を一つにできる場をつくったりすることができるのだそうです。
「前向きになる」について、脳にはネガティブなことに意識が向きやすい「ネガティブバイアス」という特性があるため、「ネガティブバイアス」に打ち克つ必要があるようです。脳科学的に効果のある、ポジティブになる10のコツも同記事で紹介されています。
相手を「褒める」活動を励行している会社も多いと思います。「褒める」がねじ曲がって事実に反して相手をおだてたり、できておらず本来指摘が必要なことを黙認したりする行動はマネジメント上NGですが、賞賛されるべきことに対して積極的に言葉をかけたり、目立たない貢献や相手の長所を積極的に探して言語化したりする行動は大切なことだというのを、上記からも改めて感じます。
そして、そうした行動は、急にできるものでもないのでしょう。普段から意識して普遍的感謝を言葉に出す習慣を実行することなどを繰り返していくうちに、自然とできるようになっていくものなのではないかと、同記事の示唆からは感じます。
同記事では、「心温まる、心を一つにできる人間関係を持ち続けられること」が、どんな境遇で生まれ育とうと幸せで豊かな人生を送る人の間で見られるたった一つの共通点であると、ハーバード大学の研究結果も紹介しています。
この観点からは、職場での人間関係がこのような状態であるほど職業生活が豊かになりやすいのは、言うまでもないことだと思います。一見すると、業務上の直接の成果につながっているとは感じられない組織活動についても、改めて評価してみると、このような人間関係を維持発展させるうえで有益な役割を果たしていると言えることが中にはあるかもしれません。
脳磨き。日々の仕事や生活の中で、取り入れたい習慣だと思います。
<まとめ>
歯磨きのように、意識して脳を磨く時間をつくる。
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