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国家ブランド指数を考える

2月9日の日経新聞で、「日本はブランド力を生かせ」というタイトルの記事が掲載されました。アンホルト―イプソス社が毎年発表している「国家ブランド指数」(NBI: Anholt-Ipsos Nation Brands Index)」で、2023年に日本が初めて1位となったことについて取り上げたものです。米国とドイツ以外で1位となった国は初めてだそうです。

同記事の一部を抜粋してみます。

このランキングは世界的にどのように認識されているかによって各国をランク付けするもので、フランスの市場調査会社イプソス・グループが6万人以上を対象に実施したインタビューに基づいている。

国家ブランドとは、単にその国の良い評判のことだ。特定の企業や人に良い評判や悪い評判があるように、国にも良い評判や悪い評判がある。日本の国家ブランドの将来性は高まっている。日本は輸出指数で最も強く、科学技術への貢献、創造的な国、製品の魅力に対する印象でトップとなった。また、日本は活気ある国として高い評価を得ているため、人と観光指数でも良い結果を残した。

日本が総合ランキングで1位となったのは、2つの重要な属性で1位となったことが大きい。それは「この国で作られた製品は信頼できる」と「他の国にはない魅力」だ。製品への信頼だけでなく、公共スペースなどでの人と人との関係にも信頼が厚い。

日本は「この国を世界経済のリーダーだと思う」という項目でも総合2位だ。環太平洋経済連携協定(TPP)の取り組みや、中国とバランスを取りながら発展途上国の大がかりなインフラプロジェクトを支援するリーダーシップへの評価は高い。

もっとも、他の指標では日本の評価はあまり芳しくない。スイスのビジネススクールIMDが毎年発表する「世界競争力ランキング」では日本は35位だ。政府とビジネスの効率性は低いスコアで、上級管理職の国際経験で最下位、語学力、デジタル技術力でも最下位に近い。スイスの「EFプロフィシエンシー・インデックス」は非英語圏市場における英語力を測定しているが、日本は87位で毎年順位を下げている。

とはいえ、評判の良い国ほど投資先として適しており、国際的な人材をひき付けることができるはずだ。外国人投資家は安定した信頼できる市場を好むと同時に、より高い投資収益率も好む。日本の政府や企業などは世界の好意的な見方を利用して、他の面でも競争力を向上させてほしい。

関連サイトを参照すると、2023年度の「国家ブランド指数」ランキング上位10ヶ国の評価スコアは、次の通りです。同調査は2008年から行われていますが、日本はずっと7位以内をキープし続け、特に2019年の5位からは1年に1つずつ順位を上げ、2023年に1位になったようです。

日本(69.85)
ドイツ(69.43)
カナダ(68.91)
イギリス(68.80)
イタリア(68.69)
アメリカ(68.43)
スイス(68.24)
フランス(67.95)
オーストラリア(67.80)
スウェーデン(67.75)

同調査では、「輸出」「ガバナンス」「文化」「人材」「観光」「移住と投資」の6つのカテゴリーで構成されていて、回答者は各カテゴリーに設けられた3つから5つの評価質問に対して、1(最低または最悪)から7(最高または最良)までの数値で回答するようです。各国の総合的な「ブランドイメージ」のパワーと魅力を測定するものとされています。

冒頭の記事からは、2つのことを感じました。ひとつは、日本は評価されている国家ブランドイメージを生かしきれていないのではないかということです。

記事はカリフォルニア州立大学フラトン校名誉教授 ナンシー・スノー氏により投稿されたものです。外国人の学識者による「日本は世界の好意的な見方を利用するべきだ」という指摘は、受けとめるべきメッセージであると同時に、そのブランドイメージを生かしきれていないという示唆だと思われます。

人が移動できる環境も戻り、世界の物資の供給網も地政学的に新たなあり方を求めている中で、良いものやサービスが買い求められる機会は一層高まっていると言えます。よいブランドイメージがあるのであれば、それを利用しない手はありません。同記事からは、そのことをもっと認識すべきなのだろうと感じます。

もうひとつは、内側にいる人の実感値(自己評価)と、外側の人がどう見ているかは、違っているかもしれないということです。

国内にいる日本人で、「この国を世界経済のリーダーだと思う」人は、どれぐらいいそうでしょうか。(私だけかもしれませんが)あまり多数ではなさそうな気がします。しかし、国外の人はまた違った見方をしていそうだということになります。

例えば、しばらく前から日本の株式市場に、外国人投資家からの資金が流入していると言われています。なぜなのかの理由が今ひとつピンときにくいかもしれませんが、同調査結果などを知っておくことで理由が見えやすくなると思います。九州エリアをはじめとする、世界的企業による増資も、ブランドイメージと無関係ではないと思われます。

同記事にもあるように、日本に改善すべき点が多いことも事実です。そのうえで、国家のブランドイメージがかつてないほど高まっていることは素直に認識し、日々の事業活動などに活かしていく視点も大切だと思います。

<まとめ>
2023年の国家ブランド指数で、日本が米国とドイツ以外では初めてとなる1位の国である。


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