国家ブランド指数を考える
2月9日の日経新聞で、「日本はブランド力を生かせ」というタイトルの記事が掲載されました。アンホルト―イプソス社が毎年発表している「国家ブランド指数」(NBI: Anholt-Ipsos Nation Brands Index)」で、2023年に日本が初めて1位となったことについて取り上げたものです。米国とドイツ以外で1位となった国は初めてだそうです。
同記事の一部を抜粋してみます。
関連サイトを参照すると、2023年度の「国家ブランド指数」ランキング上位10ヶ国の評価スコアは、次の通りです。同調査は2008年から行われていますが、日本はずっと7位以内をキープし続け、特に2019年の5位からは1年に1つずつ順位を上げ、2023年に1位になったようです。
日本(69.85)
ドイツ(69.43)
カナダ(68.91)
イギリス(68.80)
イタリア(68.69)
アメリカ(68.43)
スイス(68.24)
フランス(67.95)
オーストラリア(67.80)
スウェーデン(67.75)
同調査では、「輸出」「ガバナンス」「文化」「人材」「観光」「移住と投資」の6つのカテゴリーで構成されていて、回答者は各カテゴリーに設けられた3つから5つの評価質問に対して、1(最低または最悪)から7(最高または最良)までの数値で回答するようです。各国の総合的な「ブランドイメージ」のパワーと魅力を測定するものとされています。
冒頭の記事からは、2つのことを感じました。ひとつは、日本は評価されている国家ブランドイメージを生かしきれていないのではないかということです。
記事はカリフォルニア州立大学フラトン校名誉教授 ナンシー・スノー氏により投稿されたものです。外国人の学識者による「日本は世界の好意的な見方を利用するべきだ」という指摘は、受けとめるべきメッセージであると同時に、そのブランドイメージを生かしきれていないという示唆だと思われます。
人が移動できる環境も戻り、世界の物資の供給網も地政学的に新たなあり方を求めている中で、良いものやサービスが買い求められる機会は一層高まっていると言えます。よいブランドイメージがあるのであれば、それを利用しない手はありません。同記事からは、そのことをもっと認識すべきなのだろうと感じます。
もうひとつは、内側にいる人の実感値(自己評価)と、外側の人がどう見ているかは、違っているかもしれないということです。
国内にいる日本人で、「この国を世界経済のリーダーだと思う」人は、どれぐらいいそうでしょうか。(私だけかもしれませんが)あまり多数ではなさそうな気がします。しかし、国外の人はまた違った見方をしていそうだということになります。
例えば、しばらく前から日本の株式市場に、外国人投資家からの資金が流入していると言われています。なぜなのかの理由が今ひとつピンときにくいかもしれませんが、同調査結果などを知っておくことで理由が見えやすくなると思います。九州エリアをはじめとする、世界的企業による増資も、ブランドイメージと無関係ではないと思われます。
同記事にもあるように、日本に改善すべき点が多いことも事実です。そのうえで、国家のブランドイメージがかつてないほど高まっていることは素直に認識し、日々の事業活動などに活かしていく視点も大切だと思います。
<まとめ>
2023年の国家ブランド指数で、日本が米国とドイツ以外では初めてとなる1位の国である。
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