先日、ある企業様で、ベトナムでの従業員採用活動についてお聞きする機会がありました。同社様では、これまでも外国人従業員の採用実績はありますが、募集してきたら応じるという対応で、積極的には採用活動を行っていませんでした。
しかし、今後継続的に従業員数を確保していこうとすると、より踏み込んだ外国人の採用活動が不可欠だという判断になったそうです。初めてベトナム現地に行き候補者との面談も行ったということです。
次のようなお話でした。
あくまでも、いち企業によるひとつの事例のため過度な一般化には無理がありますが、参考にはなるかもしれません。渡航先として有力である一方で、日本企業での労働で日本人と同じ給与を支払うと認識されているわけではなさそうな点は、改善の余地を感じます。
6月22日のNHKニュース(おはよう日本 7:00~)で、「外国人材育成 企業は」という特集が放送されました。以下のような事例が紹介されていました。
これらの内容は、冒頭の企業様のお話に通じるものがあります。改めて、次の2つのポイントが指摘できるのではないかと考えます。
・同じ貢献をしている人に対しては、同じ賃金(対価)を支払う。そして、賃上げを実現しその水準を年々あげていく。
・国籍の別によらず、コミュニティー(組織)の一員として受け入れ、ともにそのコミュニティーを支える存在として協業していく。
このことは、外国人材の採用・育成に限ったテーマではないと思います。
例えば、今月12日に発表された世界経済フォーラム(WEF)による男女平等の実現度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は調査対象の146カ国中118位となったそうです。過去最低だった前年の125位より改善したものの、まだ低位のままです。
6月13日の日経新聞記事「日本、賃金格差の是正急務 男女平等118位でG7内最下位 EUは企業に改善義務」の中で、次のように紹介されています。(一部抜粋)
「説明できない格差」とは、職能、役割遂行、成果など、その会社が定義する何らかの尺度で「同じ貢献価値」とみなされても、賃金になぜか差異があって、その差異が説明できない、ということです。これでは、「女性活躍」などを標榜していても、当然ながら限界があります。
そのうえで、結果を開示し改善に向けて具体的な対策をとっている記事中のメルカリや資生堂は、国内でも先進的な企業だと言えると思われます。
同記事によると、「ジェンダー・ギャップ指数」が良好とされる欧州諸国でも、性別間の賃金の不公平は克服できていないそうです。EUは23年、域内の企業に同一労働同一賃金の強化を義務付ける指令を出し、従業員100人以上の企業で正当な理由がない男女格差が5%以上ある場合は是正を求める、と紹介しています。逆に言うと、そのことが実現できていない状況がまだ多く見られるということになります。
国籍や性別などの属性に左右されない同一労働同一賃金は、なかなか実現が難しい、よって注意深く現状把握し具体策を実行すべきテーマである、と言えそうです。
<まとめ>
同一労働同一賃金の考え方で、コミュニティー(組織)を支える一員と認識して人材を受け入れる。