2月17日の日経新聞で、「イノベーション 起こすには(中) 賃金上昇・安価な新技術カギ」という記事が掲載されました。日本の生産性が諸外国より低いこと、それに関連して賃金上昇幅が抑えられてきたことが各所で言われていますが、そのことについて示唆的な考察を加えている内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
例えば米国と比較した場合、産業全体として日本の生産性のほうが低いとしても、個別に見ていくと化学工業など日本のほうが生産性が高い業種も一部あるというわけです。
私たちは、「日本の生産性が低い」と聞くと、そのことをすべての環境や現場に適用させてモノを見ようとしますが、個別に是々非々でとらえるべきだということを改めて感じさせます。課題の本丸は、生産性向上の余地が大きい規模の事業所・業種にあるというわけです。
上記からは、かつて工業を営む中小企業で生産性が低いという問題テーマが存在したこと。賃金上昇=コスト増の動きが加速する中で生産性向上を迫られ、必要投資を行うことで生産性を改善し飛躍していったことがうかがえます。そして、そのことが現在同様の問題を抱える、サービス産業を営む中小企業でも当てはまることを説明しています。
上記はサービス産業に限らないと考えます。私も普段さまざまな企業の現場に行ったり話を聞いたりする機会がありますが、工業系の現場においてもまだまだ生産性向上の余地はあると感じます。
人手不足の採用難の折に賃上げの社会的要請も高まり、どの企業も難しいかじ取りを迫られていることと思います。そのうえで、今は生産性向上に特に向き合うべき時期=発明に必要な母だと捉えようというわけです。アクセスしやすくなった新技術への必要投資を行って今の局面を乗り越えることができれば、生産性にあふれた職場環境が見えてくるのではないかと、同記事は示唆しているように感じます。突破口を見出して取り組めば光が差してくる。そう思えば、力も出てくる気がします。
同時に、投資を必要としないレベルでの効率化も一層必要です。お客様に提供しているサービスの中で付加価値を伴わない過剰なもの(お客さまがそこまで求めていなかったり、価格に反映されなかったりする)、お客さまへの提供とは直接関係ない内部活動で時間をかけているものなどについては、圧縮するかやめることができないか取り組んでみることも大切です。
<まとめ>
賃金上昇、低価格で新技術へのアクセスが可能になる今の環境は、生産性向上の絶好の機会である。