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石破氏が左翼になった日

(石しかあってないですが、目つきの悪いうさぎがかわいい。。。)

 ネットサーフィンしていたら見つけたコメントに、驚きを禁じ得ない。

『石破支持は在日かパヨクだ』

 確かに在日の方の中には、石破氏支持の方はいると思う。石破氏は、現在自民党の総裁選に出ている、あの強面の彼なんだが、それなりにベテラン議員であるし、それなりに人気もあるし、選挙に強い人である。

 だがパヨクだ、という確定的な台詞には、かなり驚く。

 パヨクとは、ネトウヨ同様、ネット上の左翼というような意味らしいが、ともかく左翼のことをさしているんだろう。しかし、私は今まで生きてきて、石破氏が左翼だった時を知らないし、左翼の人に支持された事実を知らない。

 石破氏と言えば、極右とは言わんが、中道よりはかなり右寄りの人だったはずだ。右寄りだからいけないと言うこともないが、自衛隊の軍備拡大について、昔から積極的な人だったし、軍事オタクである(まあ、それはいいんだが)

 少し前までは、確実に右翼(それもかなり右)とみられ、それ故に自民党の中でも主流派にならなかった人だ。

 昨今、一般的にも日本の自衛的軍備に対して、積極的な意見が強くなってきて、安倍政権が右よりだったこともあり、最近では専守防衛から、先制攻撃を許可するのかどうかと言う論議まで進んできている。

 こうなってくると、軍備に詳しいが故に、現実的な意見を言う石破氏が、返って抑制的な発言をしているように見えてきてしまっているのは事実だが、だとしても、石破氏が左翼だなどと、どうしても信じられない。

 彼は昔から保守で、極右とよばれることはあっても、間違っても左翼ではない。

 左翼の基準がぶれている

 何だってこんなことになっているんだろうかと思い、少しばかり調べてみたのだが、おそらく石破氏自身は、以前から現在まで、主張の傾向は変わっていないようだ。ではなぜ右から左になったかというと、右翼とか左翼とかの基準そのものがぶれてしまっているためのようだ。

 最初に私が見たコメントで『石破支持は在日かパヨクだ』とあったのだが、一つにはここにヒントがある。

 石破氏は日本と韓国の外交について、必ずしも安倍政権とは同じ考えを持っていなかった。ここ数年日本と韓国の外交は最悪で、そこにはいろいろな問題があるわけだが、韓国にその責任のすべてがあると言い続けた安倍政権と比べ、石破氏の意見は慎重だった。安倍政権よりも慎重だったという、そのことだけが理由で、『在日』や『パヨク』の支持をしているという話になるらしい。

 別に石破氏でなくても、現在の日本と韓国の外交問題が、まずい状態にある事はわかっている。韓国が声高に要求することは、日本人の多くが苦々しく思っているかもしれないが、だから批判だけすればいいかと言えば、そういうわけにもいかない。いや、個人的には無責任に悪口を言っていてもあまり影響はないのだが、日本全体からすれば、そんなことは言っていられない。

 韓国と日本の貿易量は決して少なくない。日本で売られている商品の多くは韓国製だ。人的交流も多いし、インバウンドも多かった。さらに日本には在日の人たちも多く住んでいる。日本と韓国(旧朝鮮半島の人々)とは、現在に至るまで深い交流がある。

 それどころか、ごく最近まで、韓国が少々無謀な要求をしても、それをある程度受け入れ、ある程度注文をつけながら、それでも国交を続けてきたのは、誰あろう自民党政権である。戦後日本は、ほとんどの時間が自民党政権によって内閣が構成されていたのだから、ともかく今までの韓国との国交を決めてきたのは、自民党である。

 旧来の自民党は、ずっと韓国には融和的だった。もう少しいえば、過去の自民党は北朝鮮にも、非常に融和的だった。自民党には、金丸というフィクサーがいたのだが、(現在の二階氏みたいな人だ)この金丸氏は非常に北朝鮮と友好的な人で、北朝鮮に国賓待遇で迎えられたことがある。この人が力を持っていた時代、拉致問題は、政府に門前払いされていた感が否めない。

 自民党が北朝鮮に強い態度を取るようになったのは、金丸氏が失脚した後であり、韓国に敵対的な意見が出てきたのは、ごく最近である。少なくとも、それまでの自民党は、両国に融和的だった。

 石破氏は、朝鮮半島の歴史を再確認して、より良い外交を考えているそうだが、少なくとも彼の韓国朝鮮に対する意見は、昔の自民党ではそれほど珍しいものではなかったはずだ。現在の安倍政権とは違っているかもしれないが、だからといって昔の自民党は左翼だったわけではない。自民党は出来てから現在まで、中道より右寄りの政党だ。

 結果として、石破氏は現在も右寄りの政治家だと思う。その石破氏を左翼が支持しているとするなら、それは石破氏が右から左まで広い範囲の支持を得ているという意味か、もしくは、『石破支持者はパヨク(左翼)』と言っている人の右翼から左翼の基準がぶれているのだと思う。

 三段論法はともかく、そこに意味を理解しない政治用語を使うのはだめだと思う。

 有り体に言うと、現在石破氏を左翼が支持する政治家と思っている人は、左翼のなんたるかを知らないと思う。ただ彼らは、安倍政権を支持し、安倍政権を右翼だと理解し、それに反発する石破氏は、左翼だと思っているようだ。

 恐ろしいほどの三段論法だと思うが、百歩譲って、どの政治家を支持するかの理由は、個人の自由なのであって、言ってもしょうがないのかもしれない。例えば、石破氏の顔が嫌いだから支持しないとか、安部氏の顔が好きだから支持するとか、理由は何であっても良いのかもしれない。

 ただ、政治用語は正しく使ってほしいと思う。明らかに右翼と左翼の意味が違っていると思う。

 そもそも、在日の人が全員彼を支持するとも思えない。自民党支持で、かなり右寄りが好きという人だけだと思う。もしくは安部氏に反対で、その結果石破支持ということはあるかもしれないが、現政権を支持しないなら、普通は野党に流れる。

 支持が自民党内にとどまっているという事実だけで、その人は右翼もしくは右よりの(保守と言ってもいいのかな)支持ということになると思うのだが。

 『石破支持は在日かパヨク』

 ああ、なんだか頭を抱え込みたくなるほど間違っている。

 石破氏が左翼に支持されてるわけないだろう。

 彼は自民党を離れていた時期さえ、保守的な政党にいたのに。

 石破氏に比べたら、憲法改正すると言いながら、及び腰の改憲案しか出せなかった安部氏の方がよほど左よりだ。だから安部氏は、右寄り支持者に、結構失望されている。

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