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私の伊東 2年目

伊東へ移住してから2度目の風景画展が終わりました。ご来場いただいた皆さま、行きたかったと気にかけてくれた皆さま、サポートしてくださった皆さま、Izu Flowの皆さま、ありがとうございました!

まさか1度目の風景画展の8ヶ月後に2度目をやることになるとは思っていなかったので、自分でも驚いています。でもふと振り返れば、伊東へ来てからは思っていなかったことの連続です。そもそも、今まで描いたことのない風景画を描き始めた時に、まずは100枚描いてから先を考えることにしていました。それは、100枚描いたら自然と何かが見えてくるだろうと思っていたからです。20代では先にゴール地点を決めて、そこまで頑張って走るみたいなやり方を散々やり、辿り着いた場所は定めた目標よりも上か下か、成功したか失敗したかという狭い答えのみでした。本来答えとは、学校のテストのように決められたものがあるのではなく、もっと多彩なグラデーションで存在し、その中から自分で拾い上げていくものだと思うのです。空の色は何色ですか?という問いに対して、答えが青だけではないように、それぞれの問いには無数の答えがあります。だからこそ、ゴール地点を決めていなかった風景画を通して、色んなことが起きているのではないかと思っています。


1度目の風景画展はまだ移住して間もなかったこともあり、新鮮さがテーマになっていました。海や干物、河津桜、古い民家など、これまでの私の人生にはなかったものを描いていることが多い。伊東での生活に慣れてくると、私の目には人々の生活や、街の全体像が映るようになったらしく、鮮明さや密度が加わっていきました。

どれも当たり前な景色であり、他の街にもよくありそうな景色ではありますが、私にとっては伊東での日常そのものが特別なようです。当たり前のことを当たり前だと気がつけなかったこと。いつも側にあったはずなのに見えていなかったこと。そういったものたちを、ここでの暮らしを通して初めて感じることができています。だから、風景画に描いている景色は全て、私にとっては特別なのです。


そうやって暮らしてきた足跡のようなものが、2度目の風景画展ではたくさんありました。新井のご近所さんや、伊東で知り合った方々が足を運んでくれたり、1年目に来てくれた方々が再び伊東へ戻ってきてくれたり、さらには友達や知り合いに勧められて来たという方や、何かで知って来てくれた方がたくさんいて、ああ私はこの街で本当に暮らしているんだなと実感できました。絵を見ながら自分の思い出と重ねてエピソードを話してくれたり、改めて街を歩きたくなったと言ってくれたり、実際にその場所まで足を運んでくれたり、それぞれの視点で絵を受け取ってもらえたのもとても嬉しかったです。

私はシンガーソングライターでもあるので、やっぱりお客様へ直接伝えたいという思いがあるのですが、今回は途中で酷い鬱に突入してしまい、あまり在廊することができませんでした。本当は毎日在廊したかったくらいなんですけどね(笑)それでも絵は変わらず伝え続けてくれるし、Izu Flowの皆さまもいてくださったおかげで走り切ることができ、本当に感謝です。

ありがたいことに、この街を描いてほしいというリクエストや、次も楽しみにしてますというお声もたくさんいただきました。風景画熱は全く冷めそうもないので、ぜひ気長に待っていただけたら嬉しいです。


そして前回に続き、今回もシンガーソングライターとしてライブをやりました。以前から自分が描いた絵に囲まれながら、自分が作った曲を歌うライブをやりたいと思っていたのですが、まさかの伊東で実現できるとは思いもせず。過去に作ってきたものが静かに存在し続けていく絵と、リアルタイムで作っているものがダイレクトに伝わりながらも跡形もなく消えていく音楽の両方を同時に見せるというのは、私にとっても初めての体験で、なんだか不思議な気持ちでした。それぞれが交差して共鳴し合っているような感覚もあり、これからもさらにこの共鳴を磨き上げていきたいなと思っています。でも、やっぱり両方やるのはなかなか大変なので、末永く続けられるようにぼちぼちマイペースにやっていきますね。


これからの暮らしの中で、さらにどんな景色が映るようになるのか、どんな音が聞こえるようになるのか、どんな空気を感じられるようになるのか、とても楽しみです。


伊豆新聞掲載


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