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舞台『ブレイキング・ザ・コード』は愛の物語だった

舞台『ブレイキング・ザ・コード』を見てきました。

すごくよかった……。

時々劇団四季や2.5次元のお芝居は見るんですが、そういうものではない舞台をちゃんと見たのは、もしかしたら初めてかもしれない。

シアター・トラムという三軒茶屋の小劇場だったのですが、思ったよりも役者さんと観客の距離が近くてびっくりしました。映画の中にカメラマンとして入り込んでいるみたいでした。

『ブレイキング・ザ・コード』は映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などに出てきたアラン・チューリングをえがいた作品です。
ただ、映画とは違って、ドイツ軍のエニグマ解読といった功績よりも、同性愛者として、そしてひとりの人間として、苦悩するチューリングをえがいていました。

数学、科学、暗号、人工知能、などに関連した難しい言葉がたくさん出てくるんですが、やっぱりこの物語の中心は「愛」で、それがすごく繊細にえがかれていて、本当に美しいお芝居でした。

チューリングは同性愛者であり、作中に男性同士のキスシーンなどが結構たくさんあります。途中、チューリングと恋人が暗い場所で抱き合うシーンがあるんですが、足元から白い光が差していて、一瞬時間が止まったみたいで……そのシーンがすごく印象的で、はっとしました。

ラストもとてもよかったです。『イミテーション・ゲーム』も見ていたし、お芝居を見る前に少し調べていたので、チューリングの生涯はざっくり知っており、「きっとこんな感じで終わるだろう」という予測はしていて、事実そのとおりではあったのですが、思ってた以上に余韻があって素晴らしかったです。

そしてなにより、主演の亀田佳明さんの演技が本当に本当に素晴らしかったです。いわゆる天才のアラン・チューリングを、あんなに違和感なく演じられるなんて本当にすごい。

途中、人工知能の話が出てくるんですが、2023年、今まさに「そのとき」が来ようとしていて、それを見据えたチューリングが、時を超えて現代の観劇者に訴えかけているような気がしました。

お芝居、楽しいね。今度また、別の舞台も見てみたいなと思います。


書いてみたいもんだぜ……いい文章、ってやつを、サ。