見出し画像

カロリーメイト歴代CMに見るターゲット設定の苦悩と表現のクオリティ vol.1

今年も大塚製薬のカロリーメイトの受験生応援CMがオンエア開始となりました。 今回でなんと第7弾!
2012年から始まる、毎年恒例のプロモーションとなります。
そこでこれまでのカロリーメイトのCMを振り返りながら、広告の狙いについて紐解いて行きたいと思います。

先に前置きしておくと、この恒例のプロモーションはTVCMを通じて提供したいものが何なのかが毎年少しずつずれていて、
どこにTVCMの価値を置くべきなのか、ターゲット設定において苦悩している様子が窺い知る事が出来る、TVCMのメッセージ戦略設計って難しーなーと改めて感じる、学びの多いプロモーションです。

カロリーメイトという商品に対する分析

スクリーンショット 2020-11-21 23.48.28

上記はプレスリリースの内容です。「バランス栄養食」と表現されるように体に必要な栄養とカロリーを手軽に摂取する事が出来る、食事代替商品です。

Occationに記載されているスポーツ中は多分無理です(圧倒的に口がパサついて喉を通りません)登山とかなら行けるかも。

よって朝食・勉強・仕事中というシーンがメインです。では普通の食事を取る暇がなく忙しい人ってどんな状況の人達でしょうか?

まさにそれがTVCMのメッセージにあたる「受験生」「一人暮らししたての新社会人」です。

ではここから毎年のCMがどうだったかを見ていきましょう。
※動画はYoutubeで視聴する事が出来るリンクを貼っていますが、公式ページではない為、リンク切れとなる可能性がありますのでご了承下さい。

2012年 第1弾 受験生向けファイト!(満島ひかりさん)

スクリーンショット 2020-11-22 0.05.15

※画像タップでYoutube動画へ遷移します

記念すべき第1弾は満島ひかりさんがアカペラで往年の名曲であるファイト!(中島みゆき)を熱唱に合わせて、大学受験に挑む高校生が一人ひたむきに努力する姿が描かれています。努力の隣には常にカロリーメイト。受験の高校生をストレートにターゲットにした作品となっています。

コピーは「とどけ、熱量。」
このコピーの発案者である博報堂の福部氏は当時のアドタイで下記のように制作に関する想いを綴っています

世の中はゼロカロリーブームだけど、何か違和感がある。必ずしもカロリー=悪というわけではないのでは」という思いが福部氏の中にはあった。そこで「カロリーメイトは訳すと、“熱量の友”。熱量を持って、前向きに生きる人を応援する存在であるべきでは」と考え、このコピーが生まれた。

ここで反響がよかったため翌年以降もシリーズ化、となったと見ています。

このCMに対する私の見解です。
そもそもこのCM、受験生をターゲットにしていると思いきや、カロリーメイトの購入者は高校生の母親(50代)であり、実は中島みゆきのファイト!世代。この購買層に刺さった事が受験生向けのプロモーションがうまくいったと思われます。

2013年 第2弾 新社会人向け 浪漫飛行(満島ひかりさん)

スクリーンショット 2020-11-22 0.18.31

翌年は満島ひかりさんがアカペラで米米クラブの浪漫飛行を熱唱。ただし、映像は打って変わって新社会人向けのストーリー。
コピーは変わらず「とどけ、熱量。」
これは前年にターゲットユーザーを想起させるプロモーションをした事で、狙いの顧客(受験生)開拓に成功したため、次なるターゲットである社会人なりたての若者を取りに行こうという、マーケ担当の想いが感じられます。感じられるのですが・・・

前年のCMでは購買層が母親世代だったので、歌われる曲との世代マッチしていたのですが、2012年では新社会人が購買層となっているCMに対して、なぜ米米クラブの曲???有名ではあるものの・・?
ちょっと昨年のCM世界観を踏襲しすぎたのでは?という感が否めません。

翌年2014年はカロリーメイトプレーン発売のため、商品宣伝CMのみに終始していったんおやすみに入りました。

2015年 第3弾 受験生向け 黒板アート(平祐奈さん)

スクリーンショット 2020-11-22 0.36.43

一時休止を超えて、再登場したら完全に受験生にフォーカスしたCMに。
曲は岡本孝子さんの「夢をあきらめないで」、出演者は平祐奈さんという絶妙な組み合わせ。
曲の「夢をあきらめないで」は親世代にしっかり刺さりながらも、実は受験生も音楽の教科書などで親しみのある曲。
 出演者も受験生と同世代であり、チョークアートという作品クオリティも担保させる高尚な作品となりました。

そしてコピーも一新
「見せてやれ、底力。」
何とも親目線でもあり受験生当事者目線も持てる秀逸なコピーで、今も続くメインコピーとなりました。

この年以降「見せてやれ、底力。」のコピーの実力が発揮されつつも苦悩の姿を垣間見る事となります。

2016-2020年の考察はvol.2に記載します!

本日はここまで!

藤本

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?