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"令和のマイホームの建て方"

地価・建築費の高騰・金利不安からますます住宅を購入することが難しくなっています。人生最大の買い物!家探しがプロの助けが必要です。お役に立てるノウハウを提供してまいりますので是非ご一読いただけますと幸いです。

~プロが教える土地の購入から注文住宅を建てるまで~

「夢のマイホーム」


このキャッチコピーの持つ力は、令和の時代になっても変わりません。
しかしその「夢」は、一昔前よりもさらに遠くなっているように感じます。というのもここ数年で建築費は高騰し、以前なら2,000万円で建てられた家も、今では3,000万円出しても建てられるかどうか、という状況になっているからです。

基本的な話としても、土地を買って自分好みの注文住宅を建てるというのは、非常にハードルが高い。
都心で土地を探して注文住宅を建てようと思ったら、土地だけで数千万円、家でさらに数千万円かかってしまいます。そして心のなかではひそかに「10年後にこの家を売ったら、どれだけの価値があるのだろう?」と考えるかもしれません。不動産の値上がりを見込むなら、少々無理をしてでも家を建てる価値はあると感じるからです。

しかし自分の思いの詰まった個性的な注文住宅は他人にとってはクセが強く、お金をかけた割には売却査定価格はそれほどでもない、ということも珍しくありません。
では、建売住宅にすれば10年後でも高く売れるのではないでしょうか?確かに都心の土地価格は堅調ですが、それだけに「家自体の価値」に対する考えが後回しになってしまう危険性があります。
自分たちのライフスタイルにピッタリの家に住むのが一番優先度が高いはずなのに、将来の売却のことばかり考えて妥協を重ねるのは本末転倒ではないでしょうか?
それならいっそのこと、中古住宅を購入してリノベーションすれば良いのでは?とも考えます。
ところがその場合も、「家自体の性能が現代の基準に満たない」、または「ランニングコストが高くつく」などのデメリットも無視できません。

あれやこれや考えても、結局答えは出ずに堂々巡り…。

そもそも多くの人にとって家を買うというのは一生に一度のことであり、購入のためのノウハウはもちろんのこと、どこから手を付けて良いのかさえも分からない、という人がほとんどではないでしょうか。

そのため、家づくりのプロの助けが必要なのです。
考えてみてください。

あなたが、個人事業主として新しく事業を始めるとします。事業自体は自分の専門分野なので、特に他人の助けは必要ありません。
しかし、経理については全くの素人です。
経費や仕訳帳の管理、確定申告をどうしたら良いのかも良く分かりません。

どうしますか?

ゼロから勉強するのも手ですが、そのために本業の時間が取られては元も子もありません。
それよりは、経理のプロである税理士に相談してアドバイスをもらったり、いっそのこと全てお任せするのが一番ではないでしょうか?

家づくりについても、全く同じです。

非常に複雑で、検討しなければならないことが多岐にわたるマイホームの購入について、全て自分一人で考えて決定すること自体が無茶なのです。

例えば、住宅ローン一つとっても非常に複雑で、面倒くさい。

その点について、私が実際に関わった案件を一つご紹介しましょう。

三鷹に土地を買って、注文住宅を建てたいというご夫婦が私のところに相談に来られました。


夫婦の合算で借り入れできる金額が、9,000万円

ただ土地を買うといっても、その土地にどのくらいの大きさの家を建てるのかをイメージできなければ、購入することはできません。
そこでそのご夫婦が気になっているというI工務店のショールームに一緒に行って、建物のイメージと、必要な土地の大きさを共有しました。
その上でご夫婦が気に入った土地が見つかったのですが、そこは人気らしく、すでに他に検討している人がいるというのです。

こうなると土地の値段交渉もできませんし、すぐに決断しなければなりません。
とはいえ、建物が決まらないと、土地も買えないのです。
予算は9,000万円ですから、家の値段が分からないとその土地が予算に収まるかどうかも判断できないわけですね。

そこでI工務店に建物のプランを出してもらいたかったのですが、プランだけでで800件待ち!だというのです。
それではとても間に合いませんから、とりあえず以前に出してもらった仮のプランをこちらで整えて、資金計画書だけは建坪ごとに3パターン出してもらって、これならその土地を購入しても予算内で収まります。という具合に決めていったわけです。
その土地を買うかどうかすぐに決めなければならない状況で、初めて家を建てるという人がそこまで考えて判断するのは非常に大変です。

そしてさらにややこしいのが、住宅ローンです。

次のチャート図をご覧ください。

土地を購入して家を建てる場合、物件を探し、購入の申込みをして契約、そして支払い(決済)という流れになります。

しかしその場合、土地と建物のそれぞれで決済しなければならず、しかもどこからお金を借りてくるかで流れも大きく変わってくるのです。

例えば、金利が一番安いと言われている「ネット銀行S」では、今回の案件で予算が9,000万円でほぼ100%の借り入れの場合、土地の代金も建物の代金も、完成後にはじめて受け取ることができます。

そのため、土地購入時の代金、そして着工時に支払う「工事着工金(概ね建物代金の30%)」や上棟の際などに必要な資金をつなぎ資金として借り入れなければなりません。最終的にネット銀行Sから借りられるお金を担保に、つなぎ資金を借りるわけですね。

しかしK銀行で住宅ローンを借りる場合は、審査が通れば土地を購入する時点で土地の代金が、そして建物の着工時に建物分の資金が融資されるため、つなぎ資金を別に借り入れる必要はありません

少し、まとめてみましょう。

<ネット銀行S>
● 融資のタイミング:建物完成後
● つなぎ融資:必要
● メリット:金利が安い
● デメリット:つなぎ融資分の利息支払いが必要

<K銀行>
● 融資のタイミング:土地購入時と建物着工時のそれぞれ
● つなぎ融資:不要
● メリット:つなぎ融資分の利息支払いが不要
● デメリット:ローン返済が早まる

では、「ネット銀行S」と「K銀行」のどちらからお金を借りるのがこのご夫婦にとっては良いのでしょうか?

K銀行でローンを組む場合はつなぎ資金を借りる必要がないかわりに、建物が完成する前からローンの返済を始めなければなりません。

そうすると、今住んでいる家の家賃に加えて、住宅ローンの支払いが重なってしまう可能性が高くなります。すでに持ち家などに住んでいる人が新しく家を建てるというのなら問題ないかもしれませんが、賃貸住宅に住んでいる人の場合はこの支払いの負担が大きい。

ただもちろんその分、ローン完済の時期も早まるわけですから、支払いが早くなっても構わないという考え方もできるわけです。

一方でネット銀行Sの場合は金利が安いかわりに、つなぎ資金を借りなければなりません。そしてさらに話がややこしくなるのは、I工務店はネット銀行Sと提携しているため、つなぎ融資の金利も安く抑えられるという事情も考える必要があります。

どちらが良いかとは、一概に言えないわけです。

さらに、タイミングのことも考えなければなりません。

I工務店の場合は本来なら「確認申請」が降りてから「着工」するところを、先に着工に入ってしまいます。建物を工場で造る関係で予約を取る必要があり、着工を先にしてしまうんだそうです。

そのため、本来なら借りられるはずの住宅ローンの審査が通らないケースも出てくるのです。

というのも一般的に銀行で土地と建物の金額を100%借り入れる場合、土地の分のお金を先に融資してもらうことになります。

例えばK銀行では、最初に土地の融資が行われます。土地の取得契約が成立した後、住宅ローンの本審査時に土地と建物の両方について審査が行われますが、建物の詳細な契約書は必要ではなく、見積書で問題ありません。

土地の取得と融資が実行されてから、建物の請負契約書を元に建物分の住宅ローンの本審査となります。そして融資の実行は建築確認後となります。

ただしI工務店の場合は建物の着工が確認申請前に行われるため、工事着工金を先に支払わなければなりません。通常なら「確認申請→融資実行→着工」という流れが、「着工→確認申請→融資実行」となるわけですね。

そのため着工時に必要な工事着工金を、融資前に支払う必要があるわけです。

もしその工事着工金を用意できないと、K銀行は利用できない可能性が高くなります。

一方で金利の低いネット銀行Sでは、土地取得後の住宅ローン本審査で「建物請負契約」を行う必要があります。これはつまり、土地の取得後すぐに建物の契約を結ぶ必要があることを意味します。

土地が決まってすぐに建物の請負契約を結ぶなんて考えてみるとすごい話ではありますが、ハウスメーカーの場合はこの辺りもしっかりしています。建物の仕様もパッケージも分かりやすくできていますから、決断もしやすいんですね。また請負契約を結んだ後でもキャンセルできるため、話が進めやすいということもあります。

さらにネット銀行Sの場合は先に説明したように、融資の実行は全て建物の完成後となります。

そのためつなぎ資金を借りる必要があるのですが、それにも当然利息がかかります。今なら金利は2%弱くらいでしょうか。I工務店のようなハウスメーカーと提携しているネットバンクを利用すると、つなぎ資金も他の提携銀行から借り入れられるため、金利も安く(1.6%など)借り入れられます。

またさらに、特殊な仕組みがあります。

土地の代金はつなぎ資金を借りて実行し、建物分は確認申請が降りた時点で融資を実行できるというものです。

I工務店の場合は上で述べたように確認申請が降りた時点ですでに着工に入っているため、つなぎ資金は一ヶ月分だけで十分なことも多く、その場合は利息も少なくて済むわけです。

通常なら確認申請が降りてから建物が完成するまでにはI工務店なら4ヶ月程度ですから、その分の利息が必要なくなることになりますね。

またネット銀行Sで住宅ローンを借り入れる場合でも、I工務店のように提携しているハウスメーカーで建てるのとそうでない場合で、返済方法も異なってきます。

ハウスメーカーの場合は着工し始めたら建物が完成しないということがないため、提携している銀行では確認申請が降りた時点で建物分の代金を全て出してくれるのです。

そのため同じネット銀行Sで住宅ローンを借りるにしても、I工務店のように提携しているハウスメーカーで家を建てる場合は、着工の時点で一括で土地と建物の資金が融資されるため、その分ローンの返済も早まります(返済方法①)。

しかしそれ以外の場合は建物が完成した後に融資が実行されるため、その分つなぎ融資に頼る期間が長くなるわけです(返済方法②)。

ここまでの住宅ローンの説明について、一度で全て理解できるでしょうか?

多分、難しいと思います。
でもそれが、普通なんです。

このように非常にややこしい住宅ローンについて、自己資金やタイミング、実際の金利などを見図りながら、ベストな選択を見つけなければなりません。

そしてさらに住宅ローンだけではなく、税金も細かく関わってきます。

ある銀行では、確認申請が降りた時点で資金を全額出してくれる。ただその場合は建物は当然未完成なので、登録免許税の優遇がなくなってしまうんです。建物が完成した後なら1000分の1で済むところが、1000分の4になってしまう。

また別の銀行では、土地も建物の分も全部つなぎとして貸してくれる。その場合は登録免許税は建物の完成後になるので1000分の1になりますよ、なんて言ってくるわけですね。

どうですか?
どこから借りるのが一番良いでしょうか?

自己資金がどの位あるのかによっても変わってきますし、銀行ごとに金利も当然異なります。
土地を買って家を建てる場合の住宅ローンって、本当に複雑なんです。

それでも借りられるだけまだましで、土地の場合は契約から決済まで1ヶ月くらいしかない場合もあって、そうすると自分が借りたいと思っていた銀行からは借りられない(間に合わない)ということもあるわけです。

こんなにも複雑で面倒なことを、初めて土地を買って家を建てるという人が正しく判断し、決定できるでしょうか?

私は、無理だと思います。

だからこそ、プロの助けが必要なわけです。
今回紹介したのは、土地選びと住宅ローンに関することの一部に過ぎません。
しかし夢のマイホームを持つまでには工務店選びから建物の基本性能、立地による建ぺい率や容積率、住宅が密集した場合は斜線のことなども考えなければなりません。

決められた予算の中で何を優先させるのか、どこは妥協できるのかを考えるだけで、混乱してしまうでしょう。

土地を買って注文住宅を立てる場合には、土地のこと、建築会社のこと、そしてお金のことを常にグルグル回りながら考える必要があります。

しかしグルグル回りながら考えるにしても、ある程度の知識がないとグルグル回りっぱなしで、永遠に決断することができなくなってしまう。
そこで私たち不動産エージェントがお客様の代理人として、正しい答えにたどり着けるように一緒に考えていきたいのです。

巷には、マイホームを持つためのHOW TO本が溢れています。

しかしどれも、大雑把で具体的なアドバイスに欠けているように見受けられます。

そこで当ガイドでは、土地を購入して注文住宅を建てたいと思っている人向けに、それぞれのステップごとに具体的で今の時代にあったやり方を説明していきたいと考えています。
家づくりについての情報が溢れている今だからこそ、様々な疑問や選択肢に対する最適な答えを出すための情報を提供していきます。

このガイドが、皆様の住宅購入や建築の成功に少しでも寄与できれば幸いです。

次回は土地と住宅購入の見えないコスト

総予算について、土地の見えないコスト、境界線など見落としがちなポイントについてお話ししたいと思います。❤️を押していただけますと幸いです。



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