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口のトップアスリートへの道

皆さんは、ブクブクうがい、できますか?歯みがきの後にブクブクしますし、もちろんできますよね。では、次のようなルールに従ったブクブクうがい、できますか?上下の歯をかみ合わせたまま、右で10回ブクブクブク、左で10回ブクブクブク、1秒に1回くらいのペースで、頬をしっかりふくらませてブクブクする。

こうやって規制されてブクブクすると、なかなか大変です。私がすると、だんだん後頭部あたりが痛くなってきて、3~4往復するのがいっぱいです。(皆さんも、口に水を入れず空気でよいので、これを読みながら、上記のようなルールでエアーブクブクうがいしてみるとおもしろいかもしれませんよ。)これでは、もし仮にブクブクうがい世界大会があったとしても、私は、日本代表はおろか、昭和区代表にもなれそうにありません。もっと、自分の口を鍛えなくては。でもまわりを見てみると、私のように後頭部あたりが痛くなる人だけでなく、頬骨あたりが痛くなる人、舌下部あたりが痛くなる人などもいて、3~4往復が限界という人、結構います。頬を片方ずつふくらませることができずに、このルールに則ったブクブクうがい自体できない人もいます。自分に都合の良い、自分を甘やかせるようなブクブクうがいをしている人、わりといるのかもしれません。

私自身、普段どのようなブクブクうがいをしているのか、歯みがきの後に意識を集中してみました。そうすると私は、左右を分けることなく、なんとなく口全体をふくらませて、軽くブクブクしていることが判明しました。こんな甘いブクブクうがいでは、口のトップアスリートにはとてもなれません。これが習慣になっていると思うと、悲しくなってきます。でも、大きな発見がひとつ。私は、前歯部あたりの口腔前庭もふくらませてブクブクしていました。これって、他の人たちもできることなのだろうか?

まわりを見てみると、前歯部あたりの口腔前庭をふくらませられない人、仮にふくらませられても上下を分けてふくらませられない人がわりといることがわかりました。この部位をふくらませられない人がそれなりにいる中、私はこの部位でブクブクうがいまでできる、これなら私が昭和区代表になれるかも。。。

少し調子に乗って、前歯部あたりの口腔前庭を上下交互に1秒に1回くらいのペースでしっかりふくらませる、こんなルールを作れば私は最強かも、と考えてやってみました。そうしたところ、この動きをするとまたまた後頭部あたりが痛くなってきて、上下30往復くらいが限界でした。まわりを見ると、もっとたくさんできる人がそれなりにいます。私が、口のトップアスリートになるのは、やはり無理なのでしょうか。もうよい年齢だし。。。

ちょっと視点を変えることにしました。私は舌を左右に90度回転させられます。小学生の時に、まわりの人たちができない中、私だけできて、鼻高々だったのを覚えています。舌で勝負してみよう。舌でポッピングする時には舌を口蓋に吸い付けますが、このように舌を口蓋に吸い付けたまま、3横指以上口を開けて、何秒耐えられるだろうか、こんなルールでは?これを自分でやってみると、舌を口蓋に吸い付けたまま3横指口を開けるのがまず辛い。そして指を3本入れたまま10秒くらいすると舌が口蓋からはずれてしまう。情けない。。。まわりを見てみると、30秒以上平気でできる人がわりといます。残念、このルールでも私は口のトップアスリートにはなれそうもありません。

じゃあ、舌の機敏さではどうだろう。「タタタタ・・・」と5秒間に何回言えるかというルールでは。自分でしてみると、5秒間で22回前後言えました。まわりを見てみると20回弱の人が多く、初めて自分が口のトップアスリートになれる可能性を感じました。これならいける。そう思った矢先、24~25回言える人が連発し、ふと冷静に考えると、アナウンサーなどはもっと言えるかもしれない、ということに気づきました。この競技には、すでにプロ級の人たちがたくさんいそうです。私がどうあがいても及ばないレベルです。口のトップアスリートへの道は険しい。

では、食べるということで何かできないだろうか。例えば、どれだけおいしそうに食べられるかという採点競技は。テレビでグルメ番組をたくさんしていますが、本当においしそうに食べている人はごくわずか。食べ物を見たときの表情から、食べ物を口へ入れ、本当においしそうに咀嚼しながら食べ物を飲み込み、ごちそうさまと言うまでの一連の流れを評価する。フィギュアスケートのように技術点と構成点などを多面的に採点すれば、一つの競技になりそうです。これなら、私がトップアスリートになれるかも。いや、考えるまでもありません。そもそも私には演技力もなければ、ブクブクうがいなど基礎的な口の動きでも他者より劣っています。こんな競技があったとしても、役者というプロ級の人たちがたくさんいる中で、私がトップアスリートになるのは難しそうです。

仕方がないので、私が口のトップアスリートになるのは、諦めることにします。しかし私は、いろいろな口の競技を考え、それを自分で実践し、いろいろな口の動きにチャレンジしました。これらの練習のおかげか、私の口は今のところ、いたって健康です。毎日、おいしく食べられています。

あれ??これって、もしかしてとても重要なことなのでは?口のトップアスリートになれなくても、普通のアスリート、いや、毎日ちょっと口を動かすくらいでも、毎日おいしく食べられれば十分だし、感謝すべきことです。

ここまでお読みいただき,ありがとうございました。


某大学同窓会から依頼されて寄稿した原稿を一部修正して掲載しました。
転載禁止です。


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