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大企業から中小企業に転職して失敗する人のパターン

「人」と書きましたが、おおむね40~50代の、大企業でキャリアを積んできて、社長に気に入られるなど何かの事情で、中小企業に転職してきたビジネスマン・ビジネスウーマンのことを今回は指します。

 ぼくは、中小企業の社長と話すことが多いのですが、多くの中小企業の社長では、年中人材を求めています。そして、大企業のブランドを割と信用します。ある中小企業の社長から話を聞いたときのことです。

「取引先(大手)に50代前半のすばらしい人材がいて、ぜひウチの会社に来て欲しくて役員として迎えました」

「はい」

「ところが来てしばらく、現場の責任者が『社長、あの人はダメです』といってくるのです」

「あらら」

「聞くと、『前の会社ではこれが当たり前だったのに、どうしてこの会社ではこれができないのか』みたいなことばっかり言うのだそうです」

「それは禁句ですね」

「確かにウチは彼のつとめていた会社から比べると弱小ですよ。できてないのは事実です。彼はまちがったことを言っているわけではない。しかし、現場の連中はおもしろくないですよね」

「社長だっておもしろくないでしょう」

「まあ……ぼくがイチから築いてきた会社ですからね。本来は優秀な人間だと思うのですが、とにかく現場のみんながそっぽ向いちゃって、彼から『やめたい』と言ってきましたので受け入れました」

聡明なみなさんはおわかりだと思うのですけど、大企業から中小企業に転職すると、「え、こんなこともできてないの」ということに直面します。しかし、そこで禁句なのが『前の会社では当たり前だった』というセリフです。

これは現場の反発を生むとともに、せっかく招いてくれた社長にとっても面白くないセリフです。

また、社長のほうにも問題があって、その人が優秀なのは『大企業のブランドを背負って働いているからそう見える』からかもしれません。中小企業の社長とはそういうブランドに惑わされがちです。

何社かそういう事例を見てきて、自分なりにまとめてみました。

(1)『前の会社ではこんなことはできてた』というようなセリフは禁句。

(2)中小企業は現場に力を持った社員がいる。頭ごなしに押さえつけるのではなく、まず誰が優秀なのか、最初は「ウオッチ」に徹する。それを見定めないと、その現場の実力者が社長に直言する。社長は、はじめあなたの味方をするが、だんだん実力者のセリフに傾いていく。

(3)中小企業は社長が絶対的な権力者。その権力者に招かれたのであれば、それを大事にする。嫌な言い方だが、その権力を使って現場に丁寧に接して、信用を得るまで耕す。「ウォッチ」が終わり、現場の人間の力や関係を見定めたら毅然として自分のやり方を断行する

(以下2月19日追記)転職を考えている方の参考になればと思って中小企業の例で書きましたが、「スタートアップ」としても同じようなことが起きているかもしれません。

人によって幸せの基準はいろいろ違うと思いますが、「仕事が楽しい」というのはかなり幸せの中でも大切なところにあると思います。どうしたら仕事が楽しくなるかを毎日考えてきた小さな会社の代表です。