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導入事例インタビューの制作フロー(SmartHRの場合)

ご無沙汰です、ふじじゅんです。今日はビズみあるnoteです。

■■ 【前置き】なぜ導入事例に注力しているか?

SmartHRのマーケティンググループでは、これまで注力してきたリードジェネレーション/リードナーチャリングや絶賛強化中のブランドマーケティングと並行し、お客さまがお客さまを呼びたくなるような仕組みづくりを「サーキュレーションマーケティング」と定義して、今まさに循環を生んでいこうとしています。

そのために必要なのが、熱量の高いファン(アドボケイト)を発見する、あるいは生み出す「カスタマーアドボカシー」の実践。中でも、その起点のひとつになりうる導入事例の拡充に取り組んでおり、より体制を強化すべく新メンバーを募集中です。

とはいえ、こと導入事例に関していうと、業務フローが世の中的に確立されていないこともあって、求人ページを公開しているだけでは、応募する以前にわかりづらさや不安がまさりそうだなと。

というわけで今回、SmartHR社における、導入事例制作にフォーカスし、これまでの変遷と現在のフローを公開することで、その不安を解消したい所存です。それだけでなく、このフロー自体発展途上のものなので、よりよい知見やフィードバックが集まることを願って筆をとりました!

■■ 以前のフローと課題

□ 以前のフロー

・インタビュー企業候補さがし
・アポ依頼
・想定質問表の送付
・事前情報収集
・インタビュー(マーケ1〜2名)
・文字起こし
・編集/校正
・先方確認
・(必要に応じて再編集と校正)
・公開
・社内外でのシェア

□ 上記のフローにあったピックアップ課題

・インタビュー企業候補さがし
多くの場合マーケだけで探している状態で、社内のニーズをうまく拾えていませんでした。そもそも営業・CSも含めたビジネスサイド間での連動ができていなかったように思います。

・アポ依頼
先方にどのような役職・担当の方に出演いただきたいのかを細かくリクエストできていませんでした。そのため、実際にお受けいただく際に、担当者さんだけだったり、あるいは決裁者さんだけだったりのパターンも。

双方の立場の方が揃わないと、導入事例のストーリーを深く引き出すのが難しいことを痛感しました。

・想定質問表の送付
当時送っていたのは、企画書ではなく汎用的な想定質問表でした。そのためどのようなストーリーを伺いたいのかを共有できておらず、断れることもしばしばだったように思います。

これは仮説ではありますが、依頼を受けるユーザーさん側の立場に立ってみると、どのようなユーザーさんも自社がサービスを使いこなせているかどうかはなかなか自信を持てないのではないか。なぜなら他社の利用状況がわからないから相対的な自信を持ちにくいと。そのため、「なぜ弊社にインタビューを?」がわからず「受けよう!」の気持ちが芽生えにくかったのではないかと推測しています。

効率だけを考えたら汎用的な基本項目を揃えてインタビューするほうが効率的ではありますが、コンテンツごとのストーリー構成が似がちで、執筆編集時に頭を悩ませる課題もありました。

・事前情報収集
立ち話で担当営業もしくは担当カスタマーサクセスマネージャー(以下CSM)に状況をサラッと聞く程度でした。
それ以外の事前情報の多くが、社内の共有ドキュメントや先方のウェブサイト頼みだったんです。

・インタビュー(マーケ1〜2名)
マーケだけでインタビューに臨んでいたため、質問の視点や切り口が偏りがちでした。CSMや営業の目線も踏まえた、導入時・導入後のやり取りについての対話や深堀りができていませんでした。

また、音声録音しつつもメモをすることに気を取られていたため、僕自身インタビュアーとしてのテンポの悪さ、結果的な単調さも目立ったんじゃないかと思っています。

・編集/校正
前述のとおり、「汎用的な質問が多かった」「単一視点で切り口が単調」などの課題があり、記事ごとのストーリーを立たせるべく編集に苦労しました。書き上がった原稿の構成を、まるっと変えざるをえなくなったこともしばしば。

そのほか、インタビュー時に言葉のメモに気を取られていたからこそ、インタビュイーが身振り手振りをもって伝えたいメッセージが何なのかをおさえられていませんでした。結果的に、編集時にリアリティの無い言葉選びになってしまったり、抑揚がついていなかったりで、インタビュイーが最も伝えたいことを上手く訴求できていなかったように思います。

・社内外でのシェア
記事公開後の社内や社外でのシェアはしていたが、事例記事に載せきれなかったこぼれ話を社内展開するなどの工夫は徹底できていませんでした。

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これらの課題の多くは、自社のディレクション上の配慮不足で改善の余地が多いにあるなと。

特に、インタビュー慣れしてないインタビュイーは決して少なくないため、最大限臨みやすい状態を生み出すことの重要性を痛感しました。

■■ 現在のフローと各ピックアップポイント

上記の課題を解決すべく、2019年10月の宅美さん入社後、業務標準化も兼ねてフローを見直しました。以下にその流れとポイントを紹介します。

□ 現在のフロー

・インタビュー企業候補さがし
・担当CSMとの打ち合わせ、情報収集
・仮説ストーリーの構築と企画書兼想定質問表の作成
・アポ依頼
・事前アンケートの実施(必要に応じて、かつ任意)
・インタビュー(マーケ1〜2名&担当CSM1名)
・文字起こし
・編集/校正
・社内確認(同席した担当CSM)
・先方確認
・(必要に応じて再編集と校正)
・公開
・社内外でのシェア

□ 各ピックアップポイント

・インタビュー企業候補さがし
マーケとしてアプローチしたい企業はもちろん、営業やCSMからトスアップをいただける関係づくり、連動ができていると感じます。

例えばSlackにおける受注報告時には、導入前の課題感や、導入時に決め手になったポイントを記載いただいており、そこから事例チャンスをキャッチアップし、インタビューにつながることも。

また、CSMやチャットサポートチームがお客様からありがたい声をいただいた時に、そのサクセス事例が社内で共有されることもあるほか、SNS上で目にしたお客さまからの声に対しアプローチし、取材が実現した例もあります。

・担当CSMとの打ち合わせ、情報収集
従来も担当CSMから事前に話を聞くなどはしていましたが、ミーティングの機会を設けるなどはせず、立ち話程度でした。

現在は、担当CSMから30分ほど状況ヒアリングする機会をいただいています。これにより、先方の導入前・導入時の課題やサクセス状況を理解することで、インタビューの解像度が鮮明になります。

・仮説ストーリーの構築と企画書兼想定質問表の作成
担当CSMからヒアリングした情報をもとに、「こんな話が引き出せそうだ」と、仮のストーリーをアウトラインレベルの粒度で構築し、仮タイトルもつけています。その仮のストーリー構成から想定質問項目を逆算。

取材趣意として読者に届けたいテーマや方向性を記載しつつ、想定質問項目を加えた企画書兼想定質問表を作成し、社内確認します。

・アポ依頼
ここまでのフローで「なぜ御社に話を伺いたいのか」「そのためにどのような質問をするか」が明確になったので、いよいよアポ依頼です。

ただし、それでも他の不可抗力(例えばコロナ)などでお断りされるケースもゼロではありません。「企画書」と「想定質問表」を分けるなどして、質と効率のバランスの観点から、それぞれの送付とアポ依頼のタイミングを引き続き試行錯誤する余地はまだまだ大きそうです。

・事前アンケートの実施(必要に応じて、かつ任意)
前述のとおり、インタビュイーは必ずしもインタビュー慣れしている方ばかりではありません。事前に想定質問表を送っているとはいえ、緊張からうまく話せなかったり、必要以上に脱線してしまったり、あるいは長い時間の回答疲れてしまったりすることも考えられます。

そこで、絶対にヒアリングしておきたい項目を「Google フォーム」などで事前に回答してもらうことで、最低限必要な撮れ高を確保できれば、インタビュー当日は深堀りして聞きたいポイントにフォーカスできるようになります。

また、事前に情報がある程度おさえられていることで、メモに気を取られることなく対話に集中でき、さらには当日おさえていただく時間を短縮できるなどのメリットも(90分→60分、など)。

(ちょい脱線)
コロナ禍においてオンライン会議でインタビューを実施していますが、複数人からインタビューする場合オフラインと比較してテンポが悪くなるため、すべてをインタビューでまかなおうとすると、時間配分が苦しくなり不完全燃焼に終わることも考えられます。事前に簡単にでも回答いただくことで、進行は幾分かスムーズになるはずです。

▼ 実際にオンライン会議で実施された導入事例

・インタビュー(マーケ1〜2名&担当CSM1名)
マーケだけではなく担当のCSMに同行してもらうことで、視点や切り口が偏りません。導入時の状況はもちろん実際のサービス利用およびサクセス状況について、相互で振り返ってもらうなどで、より深く話を掘り下げられます。

ただしCSM自体がインタビュー慣れしていないケースもあるので、ヒアリングを挟んでほしいときはメインインタビュアーが適宜モデレーターとして上手く話を振るのも大切です。

ちなみに、インタビュー前にたてた仮のストーリーから逸れるのは大いにOKだと考えています! もちろん脱線も。なぜなら事前情報から自分たちが考えも及ばなかった話は、意外性としてストーリーを際立たせられる要素になりうるからです。

・編集/校正
骨子を明確にしてインタビューに臨んでいるため、編集しやすくなっています。また、ボリューミーになっても、当初の目的にかえって記事として絶対に載せたい情報と載せきれない情報とを整理しやすくなっているはずです。(「載せきれない情報」については後述)

・社内確認(同席した担当CSM)
もともとCSMとして持っている情報に加え、インタビューでヒアリングした話に基づき、事実確認してもらっています。マーケティンググループだけで確認するより、はるかに認識の齟齬をなくしやすく、先方が確認にかかる負荷をかなり抑えられるはずです。

・社内外でのシェア
ボリュームの関係で泣く泣く載せきれなかった情報を、オフレコ話も含めて社内限定で共有しています。導入事例記事だけで読むよりはるかに顧客理解が捗る。

□ シン・制作フローの効果

このシン・制作フローで宅美さん主導のもと、以前より遥かに記事質が高まり、確認進行もスムーズになったと感じるとともに、業務標準化につながっています。

実際に、2019年12月入社のせっちん丸( @OKB460 )はオウンドメディアの主担当でありつつも、導入事例制作にも一部携わっており、今回のフローをもとにスムーズに制作を進行してくれています。

▼ せっちん丸が担当した導入事例

また導入事例記事では触れきれない、こぼれ話もオウンドメディア「SmartHR Mag.」にて公開しています。

なお、今回紹介したフローは、宅美さん( @kotaro53 )の入社後に確立できたものです。宅美さんは、導入事例インタビューのみならず、ディレクトリ自体の改善にも取り組んでいます。

■■ おわりに

これらは、「導入事例制作」というひとつの施策フローを簡単に記載したに過ぎず、現在募集中の求人ポジションのミッションの本分は、カスタマーアドボカシーの実践による「お客さまがお客さまを呼びたくなる仕組みづくり」。ビジネスの循環、つまるところサーキュレーションマーケティングにあります。

例えば、この1年では、導入事例に出演いただいた方によるカンファレンスやユーザー会での登壇、お客さまを通じた見込み顧客の紹介、SNSでの拡散など、徐々にその熱が生まれつつあるのを感じています。

▼ 導入事例に登場いただいている3社が登壇したパネルディスカッション

この循環を、導入事例を起点にしつつ、マーケティンググループの他ユニットはもちろんカスタマーサクセスや営業を巻き込んで、確かなものにしていきたいと考えています。

というわけで、最後に告知ですが新メンバーを募集中!

気になった方、話を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、上記エントリーフォームからはもちろん、Twitterなどからお気軽にDMくださいませ(^o^)

次回は、事例インタビューの前と最中に心がけていることを書きます!


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