パーソナルトレーナー藤井自伝25

ついに銀だこに勝つ!

ついにたこ焼き屋さんも1年が経過する。
目の前の銀だこは相変わらずお客さんが並ぶが、うちができてからはその並んだ列から流れてくるようになった。
じつは見えないところでうちも列ができるのだ。

そんな折、元気よく商店街の入口で

「美味しいたこ焼きいかがっすか〜」

と呼び込みをしていると、大きな声で

「銀だこここで〜す」

と当たり前のことをちっちゃい旗?のようなものを両手にはためかせながら大声で叫ぶ人がいた。
銀だこ店長その人である。

世間一般の方から見れば普通にありえない光景である。
あの全国チェーン店が呼び込みをしているのである。
もちろんその呼び込みをきっかけに銀だこに入る人はいない。
そもそも銀だこへ来る人は最初から銀だこに来ようと思ってきているのだから。

そんな悲痛な呼び込みをよそに目の前で呼び込んでいるのが僕だ。
銀だこに並んでいる人を横目に見ながらあえて目を向けずに大声で呼び込む。

一人二人と銀だこ前に並んでいる列から興味を持って近づいてくる。
あと2歩くらいの距離になったらすかさず声をかける

「たこ焼きだよね?美味しいの?どこ?」

と呼び込み完了。
こうしてうちのたこ焼き屋の売上は安定したのである。
もちろんたこ焼きの需要は増えていないため、後々銀だこのアルバイトスタッフに聞いたことだが、銀だこの売上は大きく下がっていたらしい。
銀だこのアルバイトスタッフもうちのたこ焼きを食べに来るくらいだ。

そして売上の下がった不動の店長は他の店舗に左遷?されたそうである。

続く

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