貴方がリーダーならどうしますか?シリーズvol240 美容室の経営者として現場を上がる理由とタイミングは?

 美容室の経営者として、一生涯美容師であり続ける人生。立派な生き方だと思います。根っから美容師という職業が大好きで、お客様のことも大切に思っておられる方が多いような気がします。
 一方、ある程度スタッフ人数を抱えて、経営者としての道に専念したい方が、現場を上がる決断をされる方もいらっしゃいますよね。
 私もその一人で、32歳の時にハサミを置きました。美容師としての32歳という年齢は、丁度油が乗っている時期ですよね。

 技術が大好きで、特にカットが大好きでしたので、現場を上がってからしばらくは、寝言を言いながら枕の角を摘んでカットしていたらしいです。(笑)

 そんなに美容の技術が好きなのに、なぜ、現場を上がったのか?不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。プレイングマネージャーとして、立派に経営されている方も多いなか…
 私も正直、これと言った理由があってのことではありませんでした。
 強いて言えば、尊敬する先輩の経営者から、『現場を上がったほうが、経営に専念ができるよ!』と言われて、その意味も分からず現場を上がりました。(笑)

 意味が分からなかったので、現場を上がった後は、何をすれば良いのか?さっぱり分かりませんでした。どうやって時間を潰そうか?と、時間をもて遊んでいました。

 やることが見つからなかったので、とりあえず、簿記を習いに行きました。10代の若い人に混じって…講師の方から簿記検定を受けるように言われましたが、資格が欲しかった訳でなないので、事情を話して、商業簿記、工業簿記、会計の講義を二年間ぐらい受けました。
 この学びが、経営に活かされたか?と言いますと、あまり活かされていなかったです。(笑)強いて言えば、どんぶり勘定的な経営から脱却できたぐらいでした。
 現場を上がりますと、自分自身にある変化が芽生えました。
 スタッフへの感謝心です。
 第一線でバリバリ美容師をやっていた頃は、自分で稼いでいる感があったせいか、スタッフへの感謝の気持ちが薄かったかも知れません。

 現場を上がりますと、スタッフたちが、自分の生活を支えてくれていると思うと、有り難く感じるようになりました。

 スタッフへの感謝が大きくなればなるほど、当然、スタッフを大切に考えるようになり、スタッフの待遇面や将来的なキャリアプランも考えるようになりました。 

 また、現場を上がったからだと思いますが、自然と任せる経営ができ、スタッフがその分成長していました。信頼して任せる大切さを学べたような気がします。

 また現場を上がったお陰で、立派な経営者との出会いが増えて、多くのことを学ぶことができました。
 会社の教育面、仕組み、キャリアプラン…現場にいたのでは、なかなか学べないことばかりでした。
 その学んだことを会社に落とし込むのに、多くの時間とエネルギーを要しました。時間がいくらあっても足らないぐらいでした。

 現場を上がって時間をもて遊んでいた自分から、いくら時間があっても足らない自分になっていたのを今でも覚えております。

 今、考えれば、自分は早い段階で現場を上がって良かったと思います。

 最近、クライアントさんから、現場を上がるタイミングのご質問を受けることがあります。
 私的に考えるのは、経営者が現場を上がっても、経営者ご自身のお給料が、スタッフの負担にならない規模になってからだと思います。

 ではどれくらいの規模かと言いますと、年商一億を超えたぐらいです。
 スタッフ数が13人〜15人ぐらいですかね。その規模になりますと、幹部教育も必要になり、会社経営を意識せざるを得ない規模だと思います。
 この規模からさらに大きく飛躍するには、マネージメントに専念する人が必要になると思います。
 私が言える立場ではありませんが、現場を上がるためには、現場を上がる目的を明確にされることをお勧め致します。


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