貴方がリーダーならどうしますか?シリーズvol273 なかなか育たないスタッフに、「何でこんなことまで言わないといけないの?」と嘆いたことってございますか?


 昔、私の会社では、よくありました。
「何で社会人にもなって挨拶ができないの?」
「何で遅れることが分かっているのに、連絡ができないの?」
「何で先に食事をしたら、「お先でした」の一言が言えないの?」
「何で最後にサロンを出るときに、エアコンを消さずに出るの?」
「何で開始時間が過ぎているのに、レッスンする準備ができていないの?」
と…。
 美容室経営に限らないと思いますが、なかなか育たないスタッフに、「何でこんなことまで言わないといけないの?」「常識でしょ!」と嘆いたことってございますでしょうか?
 そんな時に、同業他社のスタッフを見て、「何でこんなに良く気がつくのだろう?」「何でこんなにしっかりしているのだろう?」って思った経験ってございましか?
 ただ単に、隣の芝生が青く見えるだけなのか?それとも、入社してくる元々のスタッフの質が違うのか?と…考えてしまいがちですよね。
 若いころの私も、そう考えていました。今考えると、愚かな考え方だと反省しております。
 スタッフの元々のポテンシャルのレベルの違いではなく、育てる側の『教育力』の差だと、今ではそう思います。
 では、教育力が高いとは、どういうことなのでしょう?教え方が上手ということなのでしょうか?もちろん、教え方のレベルもあるかも知れませんが、私が思うに、事前教育力が高いのだろうと思います。
事前教育とは、起こる前に事前に教える教育のことです。
 逆に事後教育とは、起こった後に教える教育のことです。
 教育力の低いサロンは、事前教育がほとんどなされず、事後教育主体になっていることが多いと思います。
 例えば、事後教育とは、入社したスタッフが挨拶をきちんとできていない現場を見かけて、『挨拶をきちんとしなさい!』という指導をすることです。
 教育力の高いサロンは、新人研修で、事前に、挨拶の大切さと正しい挨拶の仕方を指導していきます。
 事前教育と事後教育、同じに感じるかも知れませんが、全然違います。
事後教育の場合は、できなかったことに対して指導が入りますので、スタッフからすれば、いつも指摘されている感を感じるようになります。場合によっては怒られているように感じます。
 一方、事前教育は、起こる前の教育ですから、指摘をされている感はゼロですよね。しかも、丁寧に大切な理由や正しいやり方も教えるので、できないスタッフはゼロにはなりませんが、かなりの確率で減ります。
 しかも、事前教育だけで、できるようになっていれば、褒めてあげることも可能になりますよね。
 では、事前教育主体の会社にするためには、どのような取り組み方が必要なのでしょうか?

①先ずは、現状の新人やアシスタントやスタイリストの問題点を列挙していきます。
②その問題点を考察してみて、もし事前に何かの教育をしておけば、起こらない問題ではなかろうか?という視点で、仮説を立ててみます。
③そして、その仮説をもとに、事前教育の育成マニュアルに加えていきます。
 誰か一人が起こした問題でも、一人が起こしたということは、これからも起きる可能性があると考えるのです。
 例えば、お客様に釣銭を少なく渡してしまったとすれば、ミスを犯したスタッフ一人を責めるのではなく、会社全体の問題として、二度と同じミスが起こらないような手順や仕組みを考え、育成マニュアルに落とし込んでいくと、同じミスを犯さない教育力が高まったという事になります。
 教育力が高まるのは、問題が起きたときに、スタッフのせいではなく、会社の教育に問題があると考えることが重要だという事だと思います。
 事前教育の数と質が増えれば増えるほど、人がスクスク育つ教育力がついているのだろうと思います。


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